HOME> ゲーム> KONAMIの戸島氏が“『MGS4』サウンド制作”という名の戦場からの帰還報告
●次世代サウンド制作はめっちゃおもろい
2008年9月9日から都内にある昭和女子大学で開催されているCESA デベロッパーズ カンファレンス 2008(CEDEC 2008)。本イベントは、社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が主催する、国内最大級のゲーム開発者向けカンファレンス。
KONAMIから発売中のプレイステーション3用ソフト『メタルギア ソリッド 4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』(以下、『MGS4』)。今作のサウンドディレクターを務める戸島壮太郎氏が、CEDEC 2008で『MGS4』のサウンド制作に関するセッションを行った。
“『MGS4』サウンド制作という……戦場からの帰還報告”と題したこのサウンドセッションについて、「『MGS4』の制作現場はまさに戦場だった。実際の戦場では、ベースキャンプに帰還すると(戦況などを)報告するんです。だからソフトを完成させて、制作現場から帰還した僕も、皆さんに報告しなければと思った」と戸島氏。まず、小島プロダクションのサウンドチームは“どれだけ感情を揺さぶれるか?”をコンセプトに、「怖い、泣ける、懐かしさなど、感情のアウトプット(産出)。そして、プレイヤーをその世界に引き込む演出」(戸島)を意識。そして、ないものを作り出すクリエイティブ、たくさんの音を明確に伝えるミキシングを音作りをするうえで心がけているという。
▲2001年から小島プロダクションに配属され、その後の『メタルギア ソリッド』シリーズのサウンド制作に携わってきた戸島氏。 |
ゲーム内の効果音については、環境音(建物に入ると外の銃声などがこもって聞こえたり、建物の上に行くと風の音が聞こえる、など)や、遠くでくり広げられる銃撃戦の音などを合わせることで、リアルな戦場をサウンドで再現している。「いろいろな人が関わるため、各方面からいろいろな音が投げ込まれてくる。それをうまくまとめなければ」と、戸島氏は新世代ハードのゲームにおけるサウンド制作ではミキシングが重要との考えを示した。
▲近景戦場、遠景戦場、戦場ストリームを合わせた臨場感あるサウンド作りや、音楽を流すときには効果音のボリュームを下げるといった、さまざまな手法に受講者も目からウロコ。 |
敵に発見されたり、ボス戦になると流れる音楽は、プレイヤーに緊迫感を与える効果的な演出。音楽が流れ出すと、周囲の効果音のボリュームを下げることで、よりその音楽が強調され、場面を盛り上げることができる。この音楽について、戸島氏は「ゲーム内にあるiPod(アイテム)を使って、緊迫感のある音楽じゃなく、壮大で緩やかな音楽を流してみます」と、『MGS4』のゲーム映像をスクリーンに映し出す。スネークが敵に発見された瞬間、緩やかな音楽が流れると、緊迫感が薄れ、どこかドラマチックな雰囲気に。「音楽は感情描写の手段として、最大の武器です」(戸島)
▲『MGS4』のプレイ映像を交えながら、サウンド制作の際に試みた音響演出について紹介する戸島氏。 |
デモとサウンドのシームレス接続にもこだわりを見せる戸島氏は、「ボス戦直前で“ボスが来るぞ!”という雰囲気の音楽なのに、ローディング画面になって途切れちゃうんじゃなくて、直前でほかのトラックから音を流してつなぎあわせる。これにより場面がバシッと決まるし、作る側も楽しいんです」と説明。展開の流れを止めないことで、時間のリアリティーをも表現できると、戸島氏はサウンドの持つ可能性を語った。
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