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『バイオハザード5』の竹内潤氏、そして“実績の達人”たちがセッションを実施
【Gamefest Japan 2008】

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●カプコンの海外戦略、“実績の達人”によるセッションの2本立て

 

 マイクロソフトが主催するゲーム開発者向けの技術説明会“Gamefest Japan 2008”。イベント最終日となった2008年9月5日にもパートナー企業によるセッションが実施された。カプコンのCS開発統括編成部長の竹内潤氏は、同社の海外戦略および次世代機への取り組みについて、そしてXbox 360の“実績の達人”たちは実績機能に関してディスカッションを行った。


▲最終日も数多くの人が会場に足を運び、有意義なセッションに耳を傾けた。



●「研究なき開発はただの製造業」(竹内)


▲経営側ではなく、開発側の視点から海外戦略について語った竹内氏。

 国内メーカーの中でもいちはやく“海外展開”、“マルチプラットフォーム化”を掲げ確かな成果を上げてきたカプコン。その成功事例を代表するタイトルとも言える『ロスト プラネット』を手掛け、現在は『バイオハザード5』の開発に取り組んでいる竹内氏からは“カプコンにおける海外戦略と次世代機への取り組み”と題したセッションが行われた。

 

 竹内氏によればカプコンの開発チームは「どちらかと言えばゲームを作っている時間が、嫁といるよりも恋人といるよりも好きで、ゲームが作れる環境を求めて人がやってくる」のが特徴だという。これはよい点でもあるが、一歩間違えれば開発することだけに没頭してしまい、販売にも影響が出てくると竹内氏は語る。実際、5年ほどまえのカプコンはその要因もあって経営状態があまりよくなく、当時竹内氏は稲船敬二氏とともに対策を練っていたそうだ。その中で竹内氏らは「開発者としても、自分たちのお金は自分たちできっちり管理していこう」という答えを導き出し、それを実現するひとつの手段として海外戦略というスタンスができあがったのだという。

 

 ここで竹内氏は話を世界のゲーム市場に移し、スクリーンに日本、アメリカ、イギリス3地域の現時点でのハードシェア割合を提示。日本ではニンテンドーDSが圧倒的なシェアを誇っているのに対し、アメリカ、イギリスではいまなおプレイステーション2が現役であるといった説明を行い“ハードの多様化、地域でのハードに差が出ていると”分析。続いて竹内氏はハードごとの国内ソフトの総売り上げ本数のデータと、そこからファーストパーティータイトルの売り上げを抜いたデータのふたつを並べて紹介し、いずれのハードもファーストパーティータイトルの数字が大きく占めていることを指摘。「我々は、国内ゲーム市場にしっかりと食い込めていない」(竹内)と結論づけた。

 国内市場で、こういった結果になってしまった背景には“ユーザーの目が肥えてきた”という要因に加えて、メーカー側の開発姿勢にも問題があったと語る竹内氏。その一例として、あるジャンルからヒット作が出た場合、それを追従するように各社から似たようなタイトルが乱発される事例を挙げ、「類似商品では開発の技術が身につかない」(竹内)と断言。そういった傾向が続くとお金で優秀な人材を持ってくるという流れが生まれてしまい開発コストが高騰。結果的に会社は経営基盤が揺らぐほどの人件費を抱え、そのしわ寄せが発売されるソフトにも表れ「あえて言えば粗製乱造」(同)なタイトルが増えるというわけだ。

 

 かと言って、国内市場がダメだから海外市場へ目を向けるのは賢い選択ではないと続ける。自社のタイトル『デビル メイ クライ 4』を例に挙げ、マルチ展開、多言語展開の苦労を紹介。「とくにマスター承認プロセスが大変で、『デビル メイ クライ 4』では12種類ものマスターを提出する羽目になりました(笑)」(竹内)。そのほかに、まわりが敵だらけの状況からスタートしたという『ロスト プラネット』の開発プロセスも明かし、それらの経験から、海外を相手にする場合はより効率的な開発を行うか、海外にフィットするタイトルを制作しなければリスクが増大するだけ、という答えが得られたという。加えて、問題克服には会社のマーケティング部門だけでなく「開発みずからがマーケットを理解することが重要」であると語る竹内氏。日々研究を止めなければ「開発できないタイトルはない」(同)と、マーケティングも含めた総合的な開発力向上の必要性を説いた。
 

▲そのほかに「研究なき開発はただの製造業」という開発者としての心がけも伝授された。


 以上の話を踏まえたうえで竹内氏は、海外進出を成功させるうえで必要なのは“どんな開発になりたいのか?”という部分を固め、「達成目標を持ち、経営基盤足りえる開発力を充実させる」ことであるとした。また、国内メーカーである以上あくまで基盤は国内市場に置くべきである語り、国内の不振を海外で巻き返すような方針を取れば国内市場が足枷になって失敗するだろうと断言。

 

 カプコンが世界に誇る自社開発のシステム“MTフレームワーク”についても竹内氏は言及した。竹内氏によれば同システムは“先の先”、“後の後”という理念のもと開発されたのだという。先の先とは言いかえれば“届かないなら追い越せ”というもの。つまり、圧倒的な性能を持つ海外製の開発ソフトに追いつくことはできない、じゃあ追い越してしまおう、という大胆な考えだ。これが成功したかどうかは、海外におけるカプコンタイトルの評価の高さを見ればおのずと答えが出てくるはず。もうひとつの後の後は“究極の後出しジャンケン”という意味で、竹内氏は「導入後は波乱続き、習うより慣れろということですね(笑)」と説明した。ちなみに竹内氏によれば、MTフレームワークの実力を世界にアピールするうえで先鋒の役割を担ったのが『デッドライジング』と『ロスト プラネット』で、次鋒が『デビル メイ クライ 4』だという。そして、2009年3月12日発売される『バイオハザード5』がMTフレームワークの集大成である大将として、世界にその実力を示す計画となっている。


▲最後に「黒船(海外メーカー)は必ず襲来する」と語り、そのときのためにも、国内メーカーが団結して情報共有など行うべきとした竹内氏。


 

●実績は“何もないから”美しい

 

 一定条件を満たすことでアンロックされ、その内容に応じてゲーマースコアにポイントが加算されるXbox 360の実績機能。“実績の達人によるパネルディスカッション -理想の実績教えます-”と銘打ったセッションでは、この実績機能に魅了された5人のパネリストが、それぞれのアツイ思いを語り合った。

 

▲左から松井氏、盛氏、X氏。それぞれのゲーマースコアは20000(松井)、60000(盛)、10万(X)となっている。

 登壇者はエンターブレインでファミ通Xbox 360の編集長を務める松井ムネタツ氏、5pb.のプロデューサー盛政樹氏、某大手メーカーの開発であるX氏、WEBサイト“DB-BOX360”の管理人いち氏と副管理人のれんねん氏。司会はマイクロソフトPRグループの巽重夫氏が務めた。


 まず最初にそれぞれが実績の思い出について語った。全員が楽しかった思い出などを語る中、盛氏は『トラスティベル 〜ショパンの夢〜』で、特定のアイテムを全部集めると解除できる実績“サブイ様”の苦い思い出を披露。「全部集めたのになぜか解除されないんですよ。どうやら寝ぼけながらプレイしていたときに売るか捨ててしまったようで……」(盛)。けっきょくそのアイテムを入手するためにもう1周プレイしたということも明かし、会場の笑いを誘った。

 

 “理想の実績”をお題としたトークも行われた。松井氏は「実績は取れれば取れるほどいいものではない。ゲームをクリアーした時点で全体の半分くらいが獲得でき、そこからはやり込むくらいがいい」と、苦労に対する見返りに実績の価値を見い出す。いち氏も「なんとなく取れてしまうのはおもしろくないですね。“こう遊んでもらいたい”というメーカーの意図が見たい」と松井氏に賛同。また、X氏からは、実績はユーザーの嗜好を探るマーケティングにも利用できるという意見が飛び出した。多く解除されている実績をチェックすれば、そのゲームでどの部分が好評なのか、逆にほとんど解除されない実績をチェックすればゲームの問題点があるていど把握できるというわけだ。
 

▲左からいち氏、れんねん氏、巽氏。ゲーマースコアは55000(いち)、40000(れんねん)。巽氏は司会のため、ゲーマースコアは明かされなかった。

 最後のお題は“実績の効果、要望”。「最近は実績がソフトの延命措置に使われている面も見られる。実績のためにアクションゲームを100時間〜200時間も遊ばせたら逆効果ですよ」(盛)など、愛するがゆえの厳しい意見も飛ぶ。効果の面では、さきのマーケティング利用のほか、「実績は自己顕示欲を満たすものだからね」(松井)という究極とも言える回答が。これには全員が賛同し、X氏などは「何か景品と引き換えるとかの見返りはいらない。(実績は)何もないから美しい」とXbox 360ユーザーの鑑のようなコメント。

 実績の喜びはプライスレスであることを確認し合った5人のため、セッションの最後には、さまざまなゲームの実績が解除される瞬間を収めた“実績解除ラッシュ映像”が贈られた。

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