宮本茂氏が語る『Wii Music』哲学、音楽ゲームに新風を吹き込む
【E3 MEDIA&BUSINESS SUMMIT】
●「小学校の音楽授業の半分は『Wii
Music』になればいいと本気で思う(笑)」(宮本)
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▲任天堂が贈るつぎなる新基軸ソフト『Wii Music(仮題)』。 |
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▲2008 E3 Developer Roundtableで再び登壇した宮本氏。 |
任天堂の宮本茂情報開発本部長が『はじめてのWii』、『Wii Sports』、『Wii Fit』に続く革新的なソフトとして発表した『Wii Music(仮題)』。Wiiリモコンとヌンチャクをさまざまな楽器に見立てて、合奏を楽しむというものだが、従来の音楽ゲームとは一線を画す思想で作られている。
「音楽をゲームにする方法はいくつかあると思うんですが、楽譜がでてきてそのタイミングに合わせてボタンを押してよりパーフェクトな音楽に近づける、というひとつの手法が主流となっています。この手法を否定はしませんし、実際おもしろい作品は多いですが、別の方法で音楽を楽しめないかとアプローチしたのが『Wii Music(仮題)』なのです」(宮本)
実際プレイしてみると、この言葉がよくわかる。画面にはとくに音符はなく、リズムを刻むアイコンだけ。でもそれはあくまでも目安であって、ギターやバイオリン、ドラムなど好きな楽器を手に取り、演奏者になりきって、自分の思い思いのリズムでWiiリモコンとヌンチャクを動かせばいい。もともと音楽ゲーム好きの人にとっては、その自由度に抵抗感を感じるかもしれないが、自分が音楽を奏でているという実感が何とも心地よい。「僕はギターをやるんですが、人まえで演奏するのが怖い。なぜ怖いかというと、間違ったらどうしようと思うんです(笑)。でもジャズ演奏者はフリースタイルで、どんどん間違える。間違っていても、最後の最後には間違っていなかったような音にいきつくんです(笑)。それは、音楽にはコードやスケールという理論があり、彼らの頭に入っているから。僕らにはないので、これをWiiで補えば、ちゃんとアドリブでも音楽になるはずだと考えたんです」(宮本)。
合奏してみると、何よりもメンバーの楽器に応じたアクション(プレイ姿)がおもしろい。管楽器はWiiリモコンを縦に持ち、打楽器はふたつのコントローラーをバチのように使い、ギターはWiiリモコンを指板代わりにヌンチャクで弦をはじく。すべてが”エアー”だからか、見ているだけで笑える。まずは演奏者に形から成りきることが大事なのだ。
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▲6つのパートで60種類以上の楽器が楽しめる。犬やボーカルという楽器(?)もある。 |
しかしながら、がむしゃらにひけばいいわけでもない。たとえば、ドラムはとくに本格的な作りになっていて、Wiiリモコンとヌンチャクがスティック、バランスWiiボードがフットペダルの役割をする。ゲームでは稀な、クラッシュ・シンバルやライド・シンバルも備えた完全なドラム・セットになっているのだ。
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▲超絶プレイを見せた説明員。 |
これらを完全にあやつるのは初心者では到底無理だが、ドラムをひいている気持ちよさは感じることができるし、見よう見まねでリズムを刻むことができる。だが、ひとたびドラム経験者がプレイすると、感動さえ覚える躍動感あふれる音が鳴り響く。説明員がドラム経験者だったのだが、「これ以上リアルなドラムはないですね。実際の練習にもなります」と従来のゲームにはない感触を感じている様子。左手でスネアドラム、十字ボタンでトムトム、Aボタンでクラッシュシンバルなど、実際、操作は慣れが必要だが、チュートリアルも用意されるようで、「数週間練習すればきちんと叩けるようになりますよ」(宮本)。間口は広いが本格志向でもある証拠で、初心者にやさしく、上級者もやり込める、この絶妙なバランスはまさに任天堂のお家芸だ。
宮本氏が今回の出展に先駆けて、『Wii
Music(仮題)』を5〜8歳の子供たちでモニターしたところ、誰も手放そうとしなかったとか。同氏はこう続ける。「やり込む人はとことん自分の演奏を極められるし、最初に音楽を学ぶ教材としてもよくできているなと思います。小学校の音楽の授業は半分これをやればいいと本気で思っています(笑)」。
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プレイしてみないとこのおもしろさは伝わりにくいかもしれないが、いくつかの写真のとおり、みんなが笑顔に包まれていることに注目してほしい。じつは記者も従来の音楽ゲームにはまったクチなので(ヘタだけど)、本当におもしろいのか? と半信半疑の部分もあった。が、いざプレイしてみると何だか楽しい。従来だと音符とにらめっこして、演奏後に何ともいえぬ達成感を得られていたが、これはゲームプレイ中もいい意味でゆとりがあって、思いどおりにリズムに乗れても、乗れなくてもどちらでもかまわない気分になる。自然と笑顔になってしまうから不思議だ。
これまでの音楽ゲームは動体視力や反射神経、記憶力が必要で、敷居の高いイメージがあったが、今作はまったく別次元の作品。ラウンドテーブルでメディアに「このゲームは目的もない、スコアもない、評価もない、ゲームソフトというより、おもちゃみたいなソフトになるんでしょうか?」と質問された宮本氏が、「はい、そのとおりです。それでいて、ビデオゲームよりおもしろい(笑)」と笑顔で答えていたのが、この作品の本質すべてを物語っているような気がした。
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