日本eスポーツ協会設立準備委員会の平方氏が語る、eスポーツの振興の意義と取り組みとは
OGC 2008
●アジア室内競技大会の開催が日本eスポーツ協会設立準備委員会設立のきっかけに
2008年3月14日に開催された、“オンラインゲーム&コミュニティサービス
カンファレンス 2008(OGC2008)”で、日本eスポーツ協会設立準備委員会の委員長補佐であり、電通スポーツ事業局企画業務推進部部長でもある平方彰氏が登壇。eスポーツへの振興の意義と取り組みについて語った。
eスポーツという言葉になじみのない読者も多いと思われるので、まずはeスポーツが何かについて説明したい。eスポーツとは、Electronic
Sports(電子スポーツ)の略称で、競技性が高く、かつゲーム中にランダム要素が極力発生しない、ルールが公平なタイトルを使ったゲーム競技イベントのこと。チェスやダーツなど、マインドスポーツの一種として、海外を中心に広く定着しており、新しいスポーツとして捉えられている。また、昨今話題になっているシリアスゲームと同じく、ゲームをプレイするための新しい方法論(スタイル)として、世間一般に広く認知されつつある。
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▲委員長補佐である平方氏は、「ゲームからではなく、スポーツという観点からeスポーツを発展させていきたい」と述べている。 |
まず平方氏は、日本eスポーツ協会設立準備員会の設立の経緯について言及。きっかけとなったのは、2007年10月、中国マカオで開催された“アジア室内競技大会”で、eスポーツが正式種目として採用されたこと。同大会を主催するアジアオリンピック委員会から、日本唯一のエージェントである電通に対し、日本代表選手の出場について打診があった。さらに、日本オリンピック委員会から、唯一のマーケティングパートナーである電通に対し、日本eスポーツ協会設立の要請があったという。オリンピックなどの国際大会に代表選手を派遣するには、日本オリンピック委員会が選手団を結成し、種目ごとに準加盟組織、または統一団体として日本オリンピック委員会から認可されていることが必要となる。このような背景から、2007年6月30日、日本eスポーツ協会設立準備委員会が設立されたことを明かした。残念ながら、2007年のアジア室内競技大会への日本代表選手の派遣は間に合わなかったが、同年12月1日、eスポーツの先進国である韓国のeスポーツ協会と連携し、“eスポーツ日韓戦”を開催したことは記憶に新しい。
平方氏は、日本eスポーツ協会設立準備委員会が掲げる理念として、日本におけるeスポーツの国内普及と世界レベルへの向上。そしてeスポーツを通じて日本のゲーム産業の発展に寄与すべく活動していくことを述べた。さらに、(1)eスポーツの普及・発展(競技人口の拡大・会員化)、(2)組織体制作り(各地区、団体の連盟の設置・連携および47都道府県への協会事務局の設置)、(3)競技の整備・開催(日本選手権などの開催、日本代表選手の選考・派遣)という、3つの方針を挙げている。とくに(1)について、委員長の西村康稔氏から「eスポーツ先進国である韓国との連携を強化していくべき」という話が出ているそうだ。平方氏は、「まず、2009年にベトナムで開催されるアジア室内競技大会に代表選手を送り込むために、予選大会や日本選手権を開催しなくてはなりません。また、日本代表の選考・派遣については、アジア室内競技大会のみならず、世界3大eスポーツといわれている、韓国の“ワールドサイバーゲームズ”、欧州の“eスポーツワールドカップ”、アメリカの“チャンピオンシップゲーミングシリーズ”といったものに対し、日本eスポーツ協会設立準備員会が日本代表選手の公認、および派遣を手伝っていかなければならない」と語った。
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▲組織構成は、特別顧問に元総理大臣で日本スポーツ協会会長である森喜朗氏、委員長には衆議院委員の西村康稔氏、理事にはスポーツ議員連盟のメンバーで衆議院委員の馳浩氏が決定。委員長補佐としてエンターブレインの浜村弘一氏、そして平方氏が就任している。 |
●“チャンピオンシップ・スポーツ”という概念からeスポーツの発展を目指す
つぎに平方氏は、スポーツという切り口からeスポーツの発展について語った。スポーツは、ジョギングや草野球など、仲間作りや健康管理を目的とした“レクリエーション・スポーツ”と、FIFAワールドカップ、オリンピック、日本選手権、プロリーグといった、技術の習得や心身の鍛練、戦略の構築や競技力の向上を目指して競い合う“チャンピオンシップ・スポーツ”の2種類に大別できるという。eスポーツは、世界でこそチャンピオンシップ・スポーツとして認識されているが、国内に目を向けると競技志向のプレイヤーはわずか。いまだ“楽しい遊び”という領域から脱却できず、チャンピオンシップ・スポーツの概念がない状況だという。
そのうえで、「ビデオゲームの持つ手軽さ、親近感、年齢や性別、体格を超えた勝負ができる楽しさに、スポーツが持つ競技性や心身の鍛練、スポーツマンシップなど、チャンピオンシップ・スポーツという概念を付加させて、eスポーツを発展させたい」と語った。さらに、「ゲーム脳、引きこもり、オタク、残虐性など、一般的に浸透してしまったゲームのマイナスイメージを、日本や世界中の人々とコミュニケーションができる利便性や、直接仲間と顔を合わせてライブでイベントが楽しめるという利点を活かし、スポーツマンシップを育てることで、マイナスイメージの払拭を行わなければいけない」と述べた。
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▲コミュニケーション能力の向上、心身の鍛練、青少年の健全育成を行っていくことを提示。スポーツマンシップを育み、従来のゲーマー像からの脱却を目指し、“アスリートゲーマー”の誕生、発展、普及を狙うことを目標としている。 |
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▲海外eスポーツが活況なことについても言及。韓国では12万人以上もの観客がeスポーツイベントに集結し、スター選手が社会的地位を確立していることに触れ、「eスポーツとして素晴らしいことだ」と述べている。 |
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▲2007年アジア室内競技大会でeスポーツ3部門を中国が独占した件について、「2003年に中国体育連盟がeスポーツを99番目のスポーツとして正式認定して以来、国策としてeスポーツに力を入れた結果」と分析している。 |
●eスポーツという概念でゲーム業界を活性化させる
日本のゲーム産業の現状とeスポーツの可能性についても言及。世界から見た、日本の家庭用ゲームソフトの販売本数が横這いであること、海外への日本製ゲームタイトルの輸出高が減少傾向であることに触れ、平方氏は「海外でのeスポーツが盛隆だからではないか」と分析。そのうえで「eスポーツを国策レベルで普及させることが急務。潜在人口の多さ、情報発信のしやすさに加え、海外eスポーツイベントの実績を取り込めば、新しいエンターテイメントとして確立するだろう。eスポーツという概念でゲーム業界の意識改革を行うことが、日本の産業の発展にもつながるはず」としている。
また、スポーツと異なるeスポーツのウィークポイントとして、ワールドスタンダートの確立、ゼネラルルールに基づいたタイトルの製作が急務だと指摘。競技会の開催がゲームメーカーなどの意向によって左右されること(メーカー主導のゲーム大会が悪いとは言わないと付け加えたうえで)、国際組織、国単位の組織体制がないことを挙げている。そのため、平方氏は「ゲームメーカーやソフト開発者の皆さんの理解を深め、日本一丸となってやっていきたい。また、世界選手権や日本選手権はもとより、中高生の部活動の延長となる大会をどんどん行い、日本の新しいスポーツコンテンツとしてeスポーツを盛り上げたい。そして、部活動として採用されるくらいマイナスイメージを払拭すべくまい進し、最終的には国際連盟を日本に設立し、世界に向けて発信していきたい」と語った。
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▲スポーツコンテンツのトレンドとして、スーパースターの擁立とナショナリズムの普及が必要。また、実際のスポーツ団体競技と同じく、ジュニアの段階から育成・普及を行うことも必要だとしている。 |
最後に、日本eスポーツ協会設立準備委員会の進むべき道について平方氏は、「日本eスポーツ協会設立準備委員会は、競技者のための団体。2009年のアジア室内競技大会へ日本代表選手を送り込むために、文部科学省の所管による財団法人化と、日本オリンピック委員会への加盟が必須条件」と述べた。そのために、「日本選手権などを開催して協会としての実績を作り、パートナーやサプライヤーを個人、企業から募集して財源の確保も行う」と語った。また、FPS(一人称視点のシューティング)やRTS(リアルタイムストラテジー)など、既存のeスポーツを盛り上げてきたメーカーやプレイヤー、アジア諸国やほかのeスポーツ先進国との協力、連携を図りたいとも語っている。さらに、平方氏は「国民体育大会でeスポーツを採用するための日本体育協会への加盟や、日本中学体育連盟・日本高校体育連盟との連携。また、学生連盟、日本実業団連盟への登録などを行い、プレイヤーにとってよりよい環境作りを行うことが、これからの進むべき道。最終的に日本のスポーツ界がまだ成し遂げていない、国際連盟の設立を日本が行い、世界へ向けて発信していきたい」とし、講演を締めくくった。
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