岡本節炸裂! 『ストII』、『バイオ』、『鬼武者』・・・・・・あの名作はこうして生まれた
GDC 2008
●岡本氏のプロデューサー論”改造と創造”
最近では『GENJI(ゲンジ)』シリーズを手掛け、カプコン時代は数々の名作の誕生に立ち会ってきたゲームリパブリックの岡本吉起氏が、2008年2月21日にGDC
2008の講演を行った。ふだんジョークを交えたトークが目立つ岡本氏だが、今回のセッションは”改造という創造”というふだんのイメージとは異なるしごくマジメなお題に。冒頭でも「集まっていただいた皆さんにはうれしくない、楽しくない話になるかもしれません。新しくない話かもしれません。今回は皆さんが持っている知識を体系化し、整理できるようなお話をしたいと思います」と、いままでの岡本氏とは違った低いトーンで講演は始まった。
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▲ゲームリパブリックの岡本吉起氏が”改造という創造”というテーマのセッションを実施。「新しい最先端の技術を追いかけるのは見返りも大きいがリスクも大きい」ため、岡本氏は「既存のビデオクリップや娯楽作品からポテンシャルを見抜き、気になる部分を抜き出して改造することで、ほかの新しいものにする」と語った。 |
まず、岡本氏は自分自身を新しい最先端技術を追い求めるタイプではないことを明言し、「既存のコンテンツや娯楽作品のポテンシャルを見抜き、気になる部分を取り出し、改造する仕組みを説明します」と明言。「これだけ聞くと卑怯な感じがするかもしれません」としながら、世界的に有名な作品を”改造”の一例として挙げた。
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▲映画『スター・ウォーズ』を「改造によって創造された最大の娯楽作品」(岡本)とし、「マネが上手な日本人である僕がこれをマネしないわけがない(笑)」とジョークを交えて”改造”について分析した。 |
その一例に挙げられたのは、映画『スター・ウォーズ』。日本が誇る映画監督、黒澤明監督の映画『隠し砦の三悪人』にインスパイアされたキャラクターがR2D2とC3POであることは、日本のオールド映画ファンには有名な話だが、同映画はそのほかの映画や小説などをもとにしながらも、斬新な映像によってまったく新しいコンテンツとして世界中の人々に受け入れられたことを紹介。岡本氏は「マネが得意な日本人である僕が、(スター・ウォーズ』の生みの親)ジョージ・ルーカスのマネをしない理由はない」とし、同氏がこのサンプルを活かし、どのようにゲーム業界でヒット作品を生みだしたのかが語られた。
岡本氏が『スター・ウォーズ』を参考にして作ったと言うのが、『バイオハザード』シリーズ。1作目は岡本氏が「最後しか関わらなかった」(岡本)が、2作目は企画スタート時から携わり、シナリオのプロデュースに注力したという。ヒットしたシリーズ1作目を今後も続けていくために、岡本氏は「今後シリーズが続くためにも、しっかりとした物語を作る必要があった」とし、脚本家の故・杉村昇氏を起用したエピソードを語った。同氏の力強いシナリオによって「シリーズ作品として、続編や派生作品を作ることができた」と岡本氏は最大級の賛辞を送った。
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▲映画『ゾンビ』やPCゲーム『アローン・イン・ザ・ダーク』などからヒントを得たという初代『バイオハザード』。それがたくさんの名作へと繋がった。 |
その後『バイオハザード』シリーズは、アクション性を追求した『鬼武者』や爽快感を追求した『デビル
メイ クライ』に姿を変えたと、岡本氏は語る。「ゲーム性が異なるタイトルにも関わらず、操作感覚は似ていて、新たな操作を考えるコスト削減が実現できたとともに、ユーザーの”新たに操作を覚える”という負担を軽減することができた」と、ゲーム性は新しくても単なるオリジナルゲームとは違ったことを紹介した。
岡本氏の実例は続き、話は『ストリートファイターII』誕生秘話へ。本作はもともと岡本氏が携わっていないアーケードゲーム初代『ストリートファイター』の続編として発売されたタイトル。続編とは言え、「初代『ストリートファイター』を作った人たちが会社を辞めたことで、一から検討することができた」と岡本氏は当時を振り返る。初代『ストリートファイター』は、圧力感知ボタンを使って技をくり出す方式で、ユーザーからも受け入れられていたが、「コスト削減や直感的な操作を実現するため」レバーと6つのボタンによる操作に変えたことや、キャラクターの見直し、ひとりで遊んだときの敵キャラクターをランダムに出現させるといった細かい”改造”が一時代を築いた要因だと、岡本氏は分析した。
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▲ヒットしていたアーケードゲームの初代『ストリートファイター』をさらに改造することで、対戦格闘というジャンルで時代を築いた『ストリートファイターII』。 |
そのほかにも岡本氏は、キャラクターデザインやスタッフのイメージ共有、スタッフ編成に至るまで”改造”がキーワードになる説いた。キャラクターデザインは、「マンガや映画などを参考にし、主人公以外が没個性的だった初代『ストリートファイター』のキャラクターたちを、主人公よりも個性的にした」とし、「バーチャルな世界でグラフィックはユーザーの目を引きつけるのに重要な要素」と力説した。また、イメージ共有に関しては、改造する元のネタを土台してスタッフたちがイメージすると、作品の方向性が定まりやすいと利点を語り、「ユーザーもインターフェースなどのイメージがしやすくなり、安心して購入する動機づけにもなる」とした。
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▲ストリートファイターII』制作スタッフの役割などを説明したもの。スタッフの構成について岡本氏は「突出した才能の人間だけではうまくいかない。それを支える実務的な人間が必要になる」と語った。 |
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▲図のAから改造が始まり、Cがもっともバランスがいい状態(黄色い四角はユーザーの数)。岡本氏は「複雑化したものを単純化するのは難しい。要素を抜いただけだとユーザーが損をしてしまった感覚に陥るから。単純かするためには抜いた要素を補完する付加価値が必要」と説明した。 |
「僕はアイデアを出すよりも観察や調整が得意な人間です。そしてつねにユーザーとスタッフの気持ちを推し量っています。スタッフがのびのびと働けるよう、作品に欠点が生まれないよう、”改造”の作業を続ける。そして、突っ走りすぎないよう、個のスタッフが自分で気づくよう誘導するのが僕の仕事です」(岡本)
「ゲームリパブリックは有能な社員やパートナーを捜しています! 僕の講演を聴いて興味を持った人はぜひ僕にコンタクトしてください(笑)」と最後は岡本氏らしいジョークで会場を沸かせた。
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