ファミ通.com

ファミ通媒体メニュー



東大研究員がシリアスゲームの現状を報告、”本当のシリアスゲーム”を見抜くために
GDC 2008

  • はてなブックマークに追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をつぶやく

●プレイヤーの視点に立った、新しいシリアスゲームの定義を導入すべき

 ゲームの持つ可能性をエンターテインメント以外の分野で役立てることを目的とした“シリアスゲーム”。ここ数年そんなシリアスゲームは欧米でも大きな関心を集めており、GDCでも毎年“シリアスゲームサミット”が開催されるほどになってきている。日本のユーザーにはシリアスゲームという言葉自体はあまりなじみがないかもしれないが、ニンテンドーDSの実用系ソフトやWiiの『Wii Fit』などにより、日本にもシリアスゲームの流れは確実に押し寄せてきている。欧米から見れば、じつは日本は“シリアスゲームの先進国”と目されているようだ。

 そんな日本のシリアスゲームの最新動向を報告すべく、GDC 2008の開催2日目の2月19日に“シリアスゲーム・ワールドリポート:パートII(日本&カナダ)”と題するセッションが行われた。ちなみに、今回のGDC 2008でシリアスゲームの動向がリポートされたのは、北米以外ではイギリス、フランス、カナダと日本。日本のシリアスゲームも世界的に注目を集めるようになってきた。講演を担当したのは、日本デジタルゲーム学会DiGRA JAPANの会長でもある東京大学大学院教授、馬場章氏と、馬場氏のもとでゲーム研究に励む七邊信重氏と富安晋介氏の3名だ。

▲イントロダクション役として登壇した東京大学大学院の馬場章教授。「シリアスゲームはひとつのジャンルではなくて、方法論です」と説明。
 

▲シリアスゲームの現状を報告した七邊信重氏(左)と、研究の成果を発表した富安晋介氏(右)。


 「最近では日本でも、ニンテンドーDSやWiiの登場により、シリアスゲームに興味を持つようになりました。とくに学習系ソフトでは、“楽しみながら学べる”という学習効果に期待しているユーザーが多いようです」とまずは七邊氏が日本の現状を分析。その一方で、ゲームの学習効果が薄く、おもしろくないと感じる人もいるため、シリアスゲーム全体を信用しなくなる可能性もあります」と問題点を指摘。

 

 つまり、安易な“シリアスゲーム的なソフト”が広がることで、“本当のシリアスゲーム”が受け入れられなくなることを懸念しているわけだ。その問題を解決するための方法として、七邊氏はシリアスゲームを新しくしっかりと定義すべくではないかと提案する。「従来のシリアスゲームの定義である“エンターテインメント以外の目的で作られたデジタルゲーム”という考えでは、開発者の視点での定義ではソフトのクオリティーが一定しません。やはりプレイヤーの視点を持ち込む必要があり、“学習効果などのある目的について、リサーチャーによって科学的に効果があると認められたデジタルゲーム”をこそ、シリアスゲームとして定義すべき」なのではないかとした。それにより、実際に効果のあるタイトルとそうでないタイトルをはっきりと評価できるというのだ。

 「実験や分析、モデルに基づいたデータを使ってシリアスゲームの研究を行うことが重要です」と説明する七邊氏だが、おつぎは東京大学がPC向けオンラインゲーム『大航海時代オンライン』を使ってコーエーと共同で行っている“オンラインゲームの教育目的利用のための研究”での実験結果を報告。過去3年間にわたって、香川県の工業高校専門学校で行っている実験では、歴史研究への興味や社会的スキルなどの項目で、よい効果が得られたという。

 とはいえ、「しっかりとした検証をしようと思ったら10年くらいをかけてじっくりと取り組むべき」とのことで、シリアスゲームの検証はまさに始まったばかり。今後の成果によっては、レーティング制度とは違ったゲームの新しい基準ができるかもしれない。

▲シリアスゲームはニンテンドーDSなどをとおして日本市場を席巻しつつある。2005年にソフトの販売本数トップ10に占めるシリアスゲームが2本だったのに対して、2007年は10タイトルへ。一方で、「数百本しか売れないタイトルも」(七邊)と指摘。
 

▲大航海時代オンライン』を使ってコーエーと共同で行っている“オンラインゲームの教育目的利用のための研究”の模様をビデオで紹介。
 

▲ある程度の教育効果が認められると発表。ちなみにこの秋には研究成果を本にしたものを出版するとのことだ。

 

▲ちなみに、同じ講演では、カルガリー大学のジム・パーカー氏がカナダにおけるシリアスゲームへの取り組みを報告。政府がゲーム関連のビジネスを援助しているだけに、カナダのシリアスゲームも相当盛んなようだ。

 

GDC 2008の関連記事

特別企画・連載

一覧へ

『ペルソナ3ポータブル』の女性主人公が、頼もしい戦友たちを紹介します

PSP用ソフト『ペルソナ3ポータブル』の魅力を、元気ハツラツ系の女性主人公“月光ルナ子”がガイドする特設ページ“ペルソナ通信”。本日の更新では、謎の敵シャドウと戦う特別課外活動部の仲間たちを紹介します!

最強のクラブを創り上げろ! 『J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう! 6 Pride of J』!

『サカつく6』は、自分が創り上げたクラブで、Jリーグ制覇を目指す人気SLG『J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう!』(以下、『サカつく』)シリーズ最新作。本作のゲームの流れを確認しながら、新要素の数々を紹介する。

追加シナリオの内容が判明!『LUNAR HARMONY of SILVER STAR』!後編更新!

物語の奥深さとアニメ演出が人気を呼んだ『ルナザ・シルバースター』が、PSPに移植される!しかも、PSP版ではオリジナル版の脚本を担当した重馬敬氏による追加シナリオも楽しめるのだ。そこで後編では、その追加シナリオの内容を公開。

古きよき時代のRPGを現在の最新技術で創り出す! 『光の4戦士 -ファイナルファンタジー外伝-』!

王様や魔女、ドラゴンが登場する王道ファンタジーの世界観、オーソドックスなバトルシステムなど懐かしいプレイ感覚が満載の本作。『FF』シリーズのファンはもちろん、これまでにプレイしたことがないという人も楽しめる作品になっている。

泥だらけになるまで遊んできな!『コリン・マクレー: ダート2』!

『コリン・マクレー: ダート2』は、ラリーを始めとしたオフロードモータースポーツ全般の競技が収録されたレースゲーム。一般的なラリーより過激で、エクストリームスポーツのエッセンスもふんだんに取り込まれている本作の魅力を紹介!

さあ、ダンスの時間だ! 『BAYONETTA(ベヨネッタ)』記事、第3回更新!!

絶頂感がブッつづく、ノンストップクライマックス・アクション『BAYONETTA(ベヨネッタ)』。 本作に心奪われた編集者が主観全開で本作の魅力をお伝えしていきます!!

アトラス×スティングが放つ王道ファンタジーRPG!『エクシズ・フォルス』!

迫りくる世界の危機、神々の力を受け継いだ勇者たち、伝統のコマンド式バトルなどなど……昔ながらのRPGファンならワクワクせずにはいられない、そんな王道要素を盛り込んだ作品がアトラスから登場!

伝説の武器を巡る戦いがいま幕を開ける!『闘真伝』!

『闘真伝』は、一般的な対戦格闘ゲームとは異なり、3Dフィールドを縦横無尽に動き回りながら闘うことができる。ファミ通ドットコムでは、そんな本作の内容を全3回に分けて詳しく解説していく。

奥深い駆け引きがくり広げられるターン制SLG!『R-TYPE タクティクスII』!

名作シューティングゲーム『R-TYPE』シリーズの世界設定をベースにしたSF戦術シミュレーションゲーム『R-TYPEタクティクス』。その続編が、PSPで登場。今回は、本作の魅力をたっぷりと紹介していく。

この記事の個別URL

ソーシャルブックマーク

  • はてなブックマークに追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • この記事をつぶやく

TVゲームニュース




ゲームソフト販売ランキング

販売数ランキングをすべて見る

ファミ通協力店の皆様よりご提供頂いたデータに基づいた販売ランキングです(毎週更新)