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福岡のクリエーターに技術交流の場を!サイバーコネクトツーの松山洋氏が熱く語る

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●人材育成の一環として、“九州ゲーム塾 第3回九州クリエイターズ・サーキット”を開催

 2008年1月27日、九州大学の西新プラザで“九州ゲーム塾 第3回九州クリエイターズ・サーキット”が開催され、サイバーコネクトツーの代表取締役 松山洋氏が講演を行った。

 九州経済産業局では、九州におけるゲーム産業の拠点形成を目指し、ゲーム産業での人材育成の促進を図るための“ゲーム産業人材育成総合プログラム”を展開しているが、今回の講演もその一環として実施されたもの。九州のゲーム会社10社から構成されるGFF(GAME FACTORY’S FRIENDSHIP)が“ゲーム産業人材育成総合プログラム”に協力しているところから、サイバーコネクトツーの松山氏による講演が行われることになった。会場には、一般からの聴講者に加え、サイバーコネクトツーを始めとするGFF加盟各社のクリエーターなど200名近くが参加。松山氏の言葉に耳を傾けた。

▲人材育成を目的として、九州経済産業局の主催で行われている“九州ゲームクリエイターズ・サーキット”。講演は九州大学の教授などをゲストに招き4ヵ月連続で行われているが、今回はその3回目にあたる。


 ”九州をゲームのハリウッドに!”を合言葉にしているGFFだが、登壇した松山氏はまずは講演の意図について説明した。

 「本気で九州・福岡をゲーム産業の拠点にしたいと考えています。そのために今後展開していきたいのが、“九州クリエイターズ・サミット”。GDCやCEDECのようなイベントを福岡でも……と考えているんです。福岡のゲームクリエーターが技術交流できる場を作りたいと思っているんです」(松山)

 

▲アグレッシブな松山氏はいつもどおりの軽妙なトークを披露。エンターテイナーぶりを見せつけた。

 今回行われた、“.hack//G.U.の裏側〜クロスメディア展開の秘密としかけ〜”は、じつは2007年9月にCEDEC 2007で行われた講演をもとに、その後の4ヵ月の成果をプラスアルファした内容で、サイバーコネクトツーの看板タイトルのひとつであるプレイステーション2用ソフト『.hack//G.U.』シリーズ(発売元:バンダイナムコゲームス)のプロジェクトについて明らかにするというもの。クロスメディア展開のしかけに迫る“第1部 『.hack//G.U.』のクロスメディア戦略-展開の概略と、その結果”と、開発の効率化の秘密に迫る“第2部 PS2専用ゲームソフト『.hack//G.U.』における開発効率の秘密”の2部構成で行われたのだが、「現場で役に立つ情報を開示していく」(松山)とのコメントどおり、まさに現場のクリエーターのための実践的な内容となっている。

 松山氏みずからが講演した第1部は、いかに『.hack//G.U.』のクロスメディア展開を意図的に行ったかを検証したもの。テレビアニメ、ラジオ、専門雑誌、カードゲームと多岐に渡るクロスメディア展開を実施した『.hack//G.U.』だが、前シリーズ『.hack//』シリーズの販売状況などを分析した結果、Vol.2の売れ行きこそがシリーズのすべてを決めると判断。イベントやコミックの刊行など、2006年9月に発売されたVol.2にプロモーションのピークをもってくるように1〜2年まえから準備をしたという。また、Vol.2でシリーズのラスボスを明らかにする“衝撃の二段階(ダブル)エンディング”をするなど、かなりの種明かしをVol.2で行った結果、『.hack//G.U.』はシリーズモノとしては異例の右肩上がりの販売本数を記録するに至る。

 そうしたプロモーション展開に際し不可欠だったのが、「実際は本来ならありえないことですが、いち開発会社に過ぎないサイバーコネクトツーが、バンダイナムコゲームスの中に入りハンドリングをする」(松山)ことだったという。実際その過程では、松山氏が先行で決めたことも多く、関係者にかなり怒られもしたそうだが、「誰かが情熱をもってハンドリングをしないといけないし、最終的には商品を手にとってくれるお子さんをがっかりさせたくない」という思いを胸に乗り切ったという。最後に「誠心誠意謝れば誰もが許してくれるし、謝っておもしろいものができるんならいいじゃないですか」と、松山氏らしいコメントで締めくくられた。

 

▲『.hack//G.U.』では勝負はVol.2との思いから、プロモーションのピークをVol.2の発売日の2007年9月に。1年まえから発売日を決めて、コミックも事前に出せるようにスケジュールを組んだという。

▲『.hack』シリーズではVol.4の販売本数がVol.1の半分になってしまったという反省から『.hack//G.U.』でのプロモーション展開を設定。結果右肩上がりの販売本数を見せるという、シリーズものではありえない結果に。


 プログラムリーダー 渡辺雅央氏とグラフィックサブリーダー 下田星児氏により行われた“第2部 PS2専用ゲームソフト『.hack//G.U.』における開発効率の秘密”で明らかにされたのは、『.hack//G.U.』シリーズの開発の効率化における秘密兵器とでも言うべき、自社ツールCyber Connect Streaming、略してCCSの存在。プレイステーションからプレイステーション2に移行するにあたって、制作体制の根本的な見直しを行ったというサイバーコネクトツーでは、グラフィッカーに比べプログラマーが極端に少なかった『.hack//』シリーズでの経験を踏まえ、プログラマーの開発を最大限に軽減するためのツールとして、CCSを開発。モデルビューアや、エフェクトエディタなどゲームを作るために必要な機能を、グラフィッカーでも使用可能にしたという。結果として、“物量作業に時間を取られないため、プログラマーがゲームのおもしろさの追求に時間を使える”、“見た目に関わる作業を本職のグラフィックデザイナーに任せることで、ビジュアルのクオリティーが一段と上がる”などの効果があったらしい。

 そしていま、サイバーコネクトツーでは、このCCSを使ってプレイステーション3向けに『NARUTO-ナルト-』を開発中。3Dツールのプレビュー用にDirectX9を導入するなど、プレイステーション3での開発に合わせてCCSを改良したという。

▲『.hack』シリーズでは7名のプログラマー(全開発者25名)でソフトを作ったが、『.hack//G.U.』ではプログラマー9名(全開発者39名)。ほとんどプログラマーを増員せずに開発できたのは、CCSの賜物。とはいえ、RPGを39名で作ってしまうこと自体あまり考えられず、会社全体でかなりの作業効率を図っているであろうことがうかがえる。

▲CCSのモデルビューア。グラフィッカーが影の調整をしたりできる。


 講演のあとには質疑応答の時間。「地方で開発に徹していれば、デメリットはないと思うが、クロスメディア展開でみずからハンドリングするとなると、打ち合わせなどがたいへんなのでは?」との質問に対し、松山氏が「モノを作るうえでのデメリットはほとんどない。メリットばかりです。アニメ会社や雑誌社は東京にあるのがほとんどなので、打ち合わせは東京です。それは仕方ないので誰かが行くしかない。私も昨年は1年間で100回くらい東京と福岡を行き来しました。週1回は東京に行った計算ですね。でも、全員で行く必要はないので問題ないです。ただし、私も今年は昨年ほど飛行機に乗る機会は減るかもしれません。いまサイバーコネクトツーでは120人のスタッフで6つのプロジェクトを手がけているのですが、現場のスタッフやリーダーにハンドリングを任せるようにしています。今後は少しずつ、彼らが東京で打ち合わせをすることになるのでは」と回答。今後のサイバーコネクトツーの制作に対するスタンスをうかがわせた。

 2時間近くにもおよぶ講演はあっという間に終了したが、今後“九州クリエイターズ・サーキット”は定期的に開催される予定だという。まずは4月にはレベルファイブによる日野晃博氏の講演を企画しているとか……。クリエーターどうしの技術交流を通じて、さらに九州・福岡の開発力を高める。「福岡をゲームのハリウッドに!」という、松山氏を始めとする福岡のゲームクリエーターのほとばしるばかりの情熱を実感しないわけにはいかない。

▲質疑応答に答える、左から松山氏、渡辺氏、下田氏。3月に発売予定のオリジナルアニメに関連して、「遊んで見ないとわからないのがゲームソフトの唯一の弱点。ソフトにさわるまえに勝負がついてしまっている。触っておもしろいソフトを作るのはあたりまえで、見た瞬間に虜になるようなものを作りたい」とのシビれるコメントも。

▲講演がはねたあとは、来場者との意見交換。こうして交流を深めることで、クリエーターの技術力を高めあっていくのが“九州クリエイターズ・サーキット”の目的になるのだろう。



※サイバーコネクトツーの公式サイトはこちら

 

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