HOME> ゲーム> 新しモノ好きのお姉さんも飛びついた『パタポン』ってどんなゲーム?
●ゲームデザイナー小谷浩之氏のインタビューも掲載!
ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(SCEJ)から発売予定のPSP(プレイステーション・ポータブル)用ソフト『パタポン』の体験イベントが、東京都の表参道にあるサンプル・ラボで開催中。
サンプル・ラボは、ドリンクやフード、コスメなど新商品のサンプルを”お持ち帰り”したり、最新家電などをその場で試すことができるスポット。新たなトレンドが発信される場所として注目され、若い女性を中心に人気を集めている。現在は完全予約制となっており、1日7回、1時間の入れ替え制で各回約100人ほどが入場。思い思いに、お持ち帰り用のサンプルを集め、新商品を試すことができる。『パタポン』は、2007年12月17日まで出展されている(毎週火曜は定休日)。
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▲『パタポン』体験コーナーは、会場中央。壁いっぱいに新商品のサンプルが並べられ、来場者は競って気に入った商品サンプルを集めていた。 |
会場には、新型PSP(PSP-2000)のカラーバリエーションが1台ずつ、合計6台のPSPが設置され、『パタポン』を自由にプレイすることができた。サンプル・ラボにやってくるのはほとんどが女性で、真っ先に飛びつくのはやはりダイエット商品やコスメ。お好みの商品サンプルを集めたあと、会場中央にある『パタポン』体験コーナーへとやってくる。積極的にPSPを手に取って遊ぶ人はそれほど多くはないだろうと思っていたのだが、予想は見事に裏切られ、試遊台はすぐに埋まってしまった。もともと新しモノ好きが集まる場だけあって、どんな商品も試さずにはいられない、といった雰囲気。あまりゲーム機に触り慣れていないと見受けられる方もいたのだが……スタッフの説明を聞きながらではあるものの、途中で投げ出すことなくプレイできていたことに驚かされた。
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▲コスメやダイエット商品など、女性向けの商品が並べられている中、PSP用ソフトは場違いかと思ったのだが、ご覧のとおり体験コーナーはすぐ満席に! |
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▲ゲーム機の持ちかたは人それぞれの自由だが、『パタポン』では基本的に使用しない左手をPSP本体の裏に添えたり、机に置いたままプレイしたりと、ユニーク(?)な持ちかたをしている方が多かったのが印象的。それでも問題なくプレイできてしまうのは、お姉さんたちの旺盛な好奇心と、『パタポン』の直感的でわかりやすい操作性があればこそ!? |
このゲームは、”パタポン”と呼ばれる不思議な生き物をタイコのリズムで操り、敵を倒しながら進んでいくシミュレーションゲーム。タイコの音が4つのボタンそれぞれに割り当てられており、音の組み合わせによって”進め”、”攻撃”、”守れ”などパタポンに命令を出すことができる。リズムに合わせてタイコを叩くと、即座にパタポンがタイコの音に対応した掛け声を返してくるので、これをくり返してパタポンとコミュニケーションするように指示を出していく。パタポンにはいくつかの種類があり、育成や部隊を編成する戦略シミュレーション要素も。リズムアクションとシミュレーションを融合したようなゲーム性となっている。
実際にプレイしてみると、独特なグラフィックで描かれる世界と、「パタ、パタ、パタ、ポン」という歌のようなリズムがマッチして、じつに心地いい。会場でプレイできたゲーム序盤のステージでは、パタポンたちがワラワラと動き回る様子を目で楽しみながら、リズムを刻むことができた。さらにステージが進むと、戦況に合わせてパタポンへの指示が複雑になり、シミュレーション要素が増していくのだが、冒頭はゲームをやり慣れていない人でも楽勝。誰でも気軽に楽しめて、ハマれるゲームなのだ。
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▲影絵のようなグラフィックが特徴的な『パタポン』。キャラクターデザインは、フランス人アーティストのRolito氏が手掛けている。また、タイコの音とパタポンたちの掛け声が歌のように響くサウンドも独特だが、こちらは『LocoRoco(ロコロコ)』のサウンドクリエーター、KEMMEI氏が担当。見た目も、ゲーム性も、新機軸尽くしのタイトルだ。 |
会場で、『パタポン』のゲームデザイナーを務めた小谷浩之氏を発見。『パタポン』のゲームデザインや、目指すべきところについてじっくりと話を聞いた。
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ゲームデザイナー |
――そもそも、このゲームを制作することになったきっかけは?
小谷 すべての始まりは、パタポンとの出会いですね。2年以上もまえのことになりますが、キャラクターをデザインしたクリエーター、Rolitoさんのホームページを紹介してもらったんです。いろいろなキャラクターたちのショーケースのようになっているそのサイトの中に、まだ当時名前のなかった目玉のキャラクターがいました。このキャラクターを見たとき、ゲームの内容すらイメージさせるようなパワーを感じて。すぐに、紹介してくれたRolitoさんの日本のエージェントに、「これ、ちょっと僕に預けてください。2、3日中に動きますから」ってお願いして、今回、開発を担当したピラミッドさんにも相談して動き始めたんです。
――パタポンのキャラクターありきのゲームだったんですね。
小谷 彼ら(注:パタポンのこと)の持っているプリミティブで、ちょっと残酷な子供っぽいイメージが膨らんでいって、太鼓の音と結びついたんです。楽器の音を使って、彼らとお話をするようなゲームが作りたいな、と。それをプレゼンしたら、みんなポカーンってしてましたけど(笑)。でも、当時の上司に「なんとなくおもしろいものになりそうだ」と推してもらって、プロジェクトを進めることができたんです。パタポンとの出会い、そしてそのときに彼らからもらったインスピレーションが結実して、ゲームの形になりました。
――最初から現在のゲームデザインをイメージされていたんですか?
小谷 頭の中でなんとなく雛形はできていました。そこから、いろいろと試しながらプロトタイプを作ってみたんですが、最初は本当に会話ができるようにしようとしていたんですよ。たとえば、”進め”というコマンドに、もうひとつあるコマンドを足すと、”ものすごく早く進め”になるような文法を構築していたんです。でも、それを推し進めると、どんどんマニアックなことになって、パタポン語講座が必要になっちゃう(笑)。それはひとつの方向性だけれども、あり得たとしてももっとさきの話だと思いました。非常に新しいゲームを世に出すので、まずは間口を広くしようと、プロトタイプを作り直すことになったんですね。
――試行錯誤があったわけですね。
小谷 ちょうどそのころ、パタポンのキャラクターをRolitoさんに描いてもらったりしていたんですが、まだ名前がなかったんです。僕がつけるのもおこがましいですから、Rolitoさんに「彼らの名前をください!」ってお願いしたんですよ。音みたいなリズミカルな名前がいいな、なんて言っていたら、Rolitoさんから”パタポン”という言葉を提案されて。ラテン語の俗語で、”いたずらっ子”みたいな意味があるらしいんですけど。それがキャラクター性にピッタリだったし、何よりもその言葉でパッとひらめいたことがあったんです。
――それは、何ですか?
小谷 いままでのコマンドは、○ボタンを押すとシャカンとか音が鳴っていたんですけど、それを全部擬音にしたらどうか、って。もちろん、いちばん代表的な音は「パタポン」ですよ。パタとポンでふたつの音。そこから考えを進めていって、「パタ、パタ、パタ、ポン」。これは、パタパタパタってなんだか歩いているみたいでしょう。ただの□□□○だと覚えられないものが、パタパタパタポンというと意味のあるものになって、”コマンドを覚える”という作業から抜け出せたんです。いちばん最初に、パタポンとお話したいと思っていたイメージがそこでググっと戻ってきて。パタポンとの会話をシステムに落とし込むときに、どうしてもコマンドというちょっと冷たいものになってしまっていたんですけど、温かいイメージに戻すことができたんですよね。この瞬間に『パタポン』がゲームとして成り立ったというか、現場では突き抜けた感がありました。
――確かにプレイしてみて、□ボタンと○ボタンではなく、意識の中で「パタ」と「ポン」になっている気がしました。
小谷 最初のステージでは、体で覚えてしまうくらい「パタ、パタ、パタ、ポン」をくり返しますからね。つぎに、攻撃はポンポン投げるイメージで「ポン、ポン、パタ、ポン」と覚えて、だんだんと応用のコマンドを覚えていく。ステージを進めるうちに、新しいコマンドが出てきてもすぐ対応できるようになれば、と作っているんです。
――それにしても、初代プレイステーション向けにあったような、SCEJらしい作品になっている気がします。
小谷 社内でも言われてますね、「よくも悪くもうちらしいゲームだ」とか。とくに意識したわけではないですけど……うーん、ある意味僕が作っているからですかね(笑)。以前、SCEの中で”ゲームやろうぜ!”を指揮する立場にいたときに考えていたことなんですが、ファーストパーティは新しいゲームを作って新たなユーザーさんを呼び込まなくちゃいけないと思うんです。ファーストパーティには、プラットフォームを賑やかにする使命があるというか。そういう意味では、これまで作ってきたゲームと比べても、『パタポン』は本当にすべてが新しい、ずば抜けていると思っています。
――”ゲームやろうぜ!”のときもそうですが、小谷さんはこれまでプロデューサーという立場で開発に関わられていましたよね?
小谷 僕は自分では、プロデューサーじゃないと思っているんです。プロデューサーの能力はあまりないと思いますし、けっこう自分でやっちゃいたいほうで(笑)。そのあたりのこともあって、つぎのステップに進もうとSCEを辞めることにしたんですよ。プロデューサーは社内的な根回しだったり、別の能力が必要とされるので、僕とは別の敏腕プロデューサーと組んでやりたかった。会社を出てしまえば、それが実現するかな、って(笑)。今回はベストなチームを組むことができましたし、ゲームの内容にも本当に手応えを感じています。多くの人に気に入ってもらえると思いますし、あとはいかに知ってもらうかでしょうね。
――今回は異色の体験イベントになりましたが、ターゲット層はどこだとお考えですか?
小谷 『パタポン』のイメージイラストを見せると、老若男女ほとんどすべての人が「これ、いいね」って引っかかるんですよ。これは、広いところを目指すことができる、そこを目指すべきだろうな、と考えました。PSPは男性ユーザーが多い、なんていう雑音も聞こえてきて、コアなところを目指そうかと悩んだときもあったんですが。完成間近になって周囲の声を聞いて、結局は「もっとわかりやすく」、「もっとリズムを取りやすく」という方向性になりました。最後のギリギリまでチューニングを続けて、より簡単にプレイできるように調整しましたね。
――じつは個人的に、この作品は『LocoRoco(ロコロコ)』と近いものを感じていたんです。何か意識するところはあったんでしょうか?
小谷 とくに『LocoRoco(ロコロコ)』を意識してということはないですけど、開発時期が重なってはいましたね。こちらで歌を入れようとしているときに、ちょうど向こうも歌をコンセプトに決めていたり。「わー、負けられない!」みたいな、いい刺激をもらったと思います。じつは、河野君(力氏。『LocoRoco(ロコロコ)』のゲームデザイナー)は『パタポン』を気に入ってくれて、うれしかったですね。僕も、『LocoRoco(ロコロコ)』に次回作があるとしたら、つぎは何をやってくるんだろう、って個人的に楽しみにしています。
――その『LocoRoco(ロコロコ)』と比べて、手応えは(笑)?
小谷 『LocoRoco(ロコロコ)』はすごく完成度が高いと思っています。『パタポン』に関しては、僕自身ですら最初は何なのかわからなかったものをゲームにすることができて手応えを感じていますが、やり残したこともあります。まだ『パタポン』の最初の文法ができたところ。今回はわかりやすく、このゲームの土台になるところを作ったつもりです。だから、たくさんの人に知ってもらって、今後につなげたいですね。つぎにどんなことをやりたいか、すでにいろいろな人から言われていて、リストアップするだけでもたいへんなくらい。『パタポン』の今後を楽しみにしていてほしいです。
――最後に、ゲームファンへのメッセージをお願いします。
小谷 強制的に「こう遊べ」ということはあまり入れていないので、したいように遊んでもらいたいと思います。がんがん進むのもいいし、育て要素を楽しむのもいいし。1回終わってもういちど遊ぶと、また違うものが見えてくると思います。何回もやり直して楽しむこともできるし、もちろんやり込み要素もあります。パタポンと自由に楽しんでください、って感じですかね。
※『パタポン』の公式サイトはこちら
※サンプル・ラボの公式サイトはこちら
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