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キャビアの高橋プロデューサーが届ける『バレットウィッチ』開発現場の声
CEDEC 2007

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●オリジナルに挑戦するか? 既存タイトルに安定を求めるか?

 

 AQインタラクティブのXbox 360用ソフト『バレットウィッチ』を開発したキャビアの高橋徹プロデューサーが、”オリジナルタイトルの意味と次世代機開発について〜『バレットウィッチ』開発現場から”というテーマのセッションに登壇。中規模の開発会社がどうやって次世代ハード向けのオリジナルタイトルを作ったのか? 『バレットウィッチ』を題材に、その経緯が語られた。

 

▲AQインタラクティブのXbox 360用ソフト『バレットウィッチ』。高橋氏の話のまえにタイトルのプロモーション映像が流された。

 

 「我々が次世代ハードでオリジナルコンテンツを作ることになった経緯ですが、当時マイクロソフトさんから”今度発売されるXbox 360はこんな機能を持っているんです”と聞かされたことがキッカケでした。『バレットウィッチ』の企画自体はそのまえからありましたが、このハードなら作品にピッタリはまるのではないかと思い、Xbox 360に乗り換えたんです。新しいハードはいろいろな機能がついたり、Wiiのように操作方法に独創性があったりと、いままでとは違うアイデア、より高度な技術を使ったゲームが作れるだろうと思いました」と高橋氏。新ハードが出るときに開発が思うことは、(1)いままでにできなかったことができそう、(2)ユーザーをあっと言わせたい、(3)うちの会社はこれだけおもしろいゲームが作れるんだ、(4)新しい技術を取り入れて自分たちが成長できるかも、と、高いモチベーションを持ってゲーム開発に取り組めるという。

 

 ただし、良いことばかりではなく、開発費の高騰という弊害も。開発にかける時間もかかるようで、「キャビアは社員120人中、プログラマーは20〜30人しかいないうえに、みんながみんなひとつのタイトルだけを作っているわけじゃない」と、いかに効率よく作業できるかが、次世代ハードのソフト開発では重要。これができないと、発売が延び、スタッフのモチベーショは下がり、現場の雰囲気も悪くなってしまう。それを回避するために、「スタッフとしっかりと話し合いをして、タイトルの到達点を定めるんです」(高橋)

 

▲次世代マシンの登場でゲームはSDからHDに移行。「グラフィックの表現力は向上し、見ているだけでもすごいと思えるが、HD対応のモニターはまだ一般家庭に普及しておらず、せっかくのグラフィックがきれいに見られる環境が整っていない」、「単純に開発コストや作業時間が増加する」という弊害も。

 

 つぎにリスクヘッジによるタイトル開発のジレンマについて。高橋氏は「新コンテンツというのはチャンスが非常に大きい。まだ参入していないゲームタイトルだったりジャンルだったり思考だったり。売れたときはレベルファイブさんの『レイトン教授と不思議な町』のようにコンテンツとしても立っているし、会社も潤う。でも失敗したときは開発会社は後ろ盾がない分、こけるときは本当にすごいこけかたをします(笑)。それもあって、会社としては当然既存コンテンツに依存しようとする。いくつもコンテンツを持っている大手のメーカーやパブリッシャーによくある傾向で、リスクヘッジの考えかたとしては当然だと思います。うちみたな会社は売り出すコンテンツがないところは、リスクが非常に大きくなります」と説明。ただ、既存コンテンツに頼りすぎることに「新しいコンテンツを作りづらい環境になってしまい、どこかで見たことのあるタイトルばかりというマンネリ化になる恐れがある。既存タイトルばかりだと、ユーザーもシリーズものばかりに目を向けてしまい、結果ゲーム業界全体が小さくなるのでは」と高橋氏。それを打破するためには、オリジナルタイトルを作ることが必要であると語った。

 

▲Xbox LIVEでダウンロードコンテンツの配信も行っていた『バレットウィッチ』。高橋氏は「体験版の配信など、作る側のアイデアの幅が広がる」と、ダウンロードコンテンツに可能性を感じているとのこと。

 

 次世代ハードのオリジナルタイトルを作るにあたり、キャビアのスタッフの反応はどうだったのか? 高橋氏曰く、「キャビアのプログラマーは既存のライブラリは使いたがらないです。次世代ハードでゲームを作るなら、いちから技術を構築することに楽しみを感じています。次世代ハードでゲームを作ることでプログラマーのモチベーションを保ち、積極的にプロデューサーに意見を出してくる。そんな状況が開発現場として理想的な形で、開発中のゲームもまとまりやすくなります」。ただし、「あまりプログラマーに自由にやらせすぎると、予算オーバーやスケジュールの圧迫につながるので、そこはさじ加減は必要です」(高橋氏)。既存タイトルは安定しているがマンネリ化、オリジナルタイトルはリスクはあるが新しい可能性もある。こういったジレンマの中、高橋氏は最終的に「オリジナルタイトルは売れても売れなくても、新しいものを生み出しという充足感を得られ、さらにいきいきと今後のゲーム開発に取り組める」というひとつの答えを導き出した。そして高橋氏は、オリジナルタイトルについてあらためてつぎのように語った。

 

 「この開発会社はここがいいと言われるような、何か突出していたりフックする要素、その会社独自の方向性を打ち出してブランドを確立する。キャビアとしては、いまのコアな路線でオリジナルタイトルを追求することは、僕はありだと思う。ゲーム業界で働く我々は、コンテンツ産業でエンターテインメントを生み出しているんだから、会社、スタッフとともにユーザーにいかに楽しんでもらえるかという意識を持つことが大事。せっかくここまで大きくなったゲームという産業を縮小させないために、いまよりももっと大きくするために、そう考えながら開発に取り組みことでおもしろいゲームがができるんじゃないかなと思っています」(高橋氏)

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