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『アイドルマスター』のあのダンスシーンができるまでが公開!
CEDEC 2007

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●『アイドルマスター』に『エースコンバット6』、『鉄拳6』のアニメーションができるまで 
 

▲バンダイナムコゲームスの3Dアニメーションへの取り組みを紹介した、バンダイナムコゲームスコンテンツ制作本部第1制作ディビジョン第1制作ユニットアニメーション課の3名。左からアシスタントマネージャーの中村彰司氏、森本直彦氏、佐々木久美氏。


 バンダイナムコゲームスのXbox 360用ソフト『アイドルマスター』と『エースコンバット6 解放への戦火』、業務用ゲーム『鉄拳6』の3作品を題材に、”バンダイナムコゲームスにおける3Dアニメーションへの取り組み”と題されたセッションが実施。

 

 『アイドルマスター』に関するプレゼンを行ったのは、バンダイナムコゲームスのコンテンツ制作本部第1制作ディビジョン第1制作ユニットアニメーション課の佐々木久美氏。この作品は業務用からXbox 360への移植作だが、佐々木氏はXbox 360版について制作過程を紹介していった。Xbox 360版では、キャラクターが動くモーション部分を業務用から一新。佐々木氏によると、「マシンスペックが上がったことによってより緻密な表現が可能になったから」、新たに作り直したのだそうだ。たとえば、業務用では3人のキャラクターが同じ振り付けで踊るシーンではひとつのデータを使い回していたが、Xbox 360版ではモーションキャプチャーを3回行うことで少しずつ動きを変えるなどの工夫が取り入れられている。さらには、業務用では振り付けに欠点があり、途中で立ち位置が変わってしまう箇所もあったそうで、新たに作り直すことでクオリティーアップが図られているのだ。

 

 アニメーションの総量は、全部で1000ファイル以上にも及ぶとか。とくに重かった作業は、キャラクターがテレビ出演する際のダンスシーン。16曲すべてが違う振り付けとなっている上、プレイヤーがカメラ視点を変えることが可能なので近くで見ても遠くから見てもおかしなところが出ないように調整されている。

 

 ダンスシーンでは、実際のダンサーが踊っている動きを取り込むモーションキャプチャーという技術が使われている。実際には3人のダンサーに分担して振り付けを考えてもらったそうで、入念に打ち合わせをくり返して振り付けを決めていった。開発チームからダンサーへの要望は、「ユーザーが覚えやすい、真似しやすい振り付けで」、「足が長く、上半身が小さく、カメラはおもに上半身を映すため、上半身の振り付けを大きめに」、「トリオのときを重要視しているが、ソロ、デュオのときも見栄えのする振り付けに」などなど。佐々木氏は、モーションキャプチャーにあたって「最高の演技を目指すためにダンサーのモチベーションを大切にした」そう。3人のダンサーのうち、ふたりは業務用でもお願いした方だったが、3年まえのことなので当時踊った内容を忘れてしまっていた。そのため、業務用のゲーム映像を取り込んで、事前にダンサーに見てもらうなど配慮したという。また、パートとパートのつなぎ目では、いったんその場所から移動すると立ち位置がズレてしまい、時間のロスが多くてダンサーにも負担がかかる。そこで急遽、独自に足型を用意した。左右それぞれの靴のワクに沿ってダンボールをくりぬいたもので、つま先の方向などもわかりやすいようになっており、重宝したそうだ。

 

▲何度も打ち合わせやリハーサルをして、本番のモーションキャプチャーに臨む。3人のキャラクターが踊るシーンはキャプチャー本番も3人同時に行うが、誰かが振り付けを間違えてNGを出してしまうリスクも高いとか。


 モーションキャプチャーをして取り込んだデータはそのままでは使用することができず、修正を加える必要がある。とくに、『アイドルマスター』のキャラクターの体型は現実の人間よりも足が長く、頭が大きく、肩幅が狭い。このため、キャプチャーデータをそのまま当てはめると、足が曲がってしまったり鎖骨の動きがおかしくなってしまう。これらの修正に加えて、ほっぺたなどの柔らかい部分に腕が触れた場合などは多少めり込むようにするなど、細かい調整が必要だった。佐々木氏は、「単なる修正のように見えますが、手付けモーションのスキルを高く求められました」と振り返った。ちなみに、デフォルトの衣装についてはめり込みが発生しないよう調整したが、アクセサリーや髪の毛、追加衣装へのめり込みは基本的に気にしないことにしたそう。たとえば、ダウンロードコンテンツの”うきうき浮き輪”を着用して踊っている際には腕が浮き輪を貫通してしまうが、おもしろみがあるからという理由でそのままに。もともとのキレイなアイドルを見ているからこそ、アクセサリーなどを使って壊すユーザーの遊び要素をあえて残してあるのだ。

  

▲こちらは、製品版では使用されなかったカメラワーク。さまざまな制約があり、バックから客席が映るようなカメラワークは実装されなかった。佐々木氏は「ここ最近、歌って踊る映像がたくさん出てきていますが、まだまだ改良の余地がある分野だと思います」と、今後の可能性を語った。


 つぎに、2007年11月1日に発売予定のXbox 360用ソフト『エースコンバット6 解放への戦火』のアニメーションについて、森本直彦氏がプレゼンを行った。『エースコンバット6』では、ドラマ性を強化する目的でゲーム中に幕間ムービーと呼ばれるアニメーションムービーが差し込まれる。森本氏はこれらを担当したのだが、その総量はじつに40分強、390パートにもなることが明かされた。課題となったのは、繊細なアニメーション表現と画面密度を実現するため、作業ボリュームやコストが大幅に増加してしまうこと。森本氏は、「この作品では、効率のよい制作技術を導入して、コストを抑えることにしました」と、具体的な施策を紹介した。

 

 そのひとつがハンドキャプチャー。従来は、手の動きについては手首までしか動きの支点を取り込むマーカーをつけていなかったのだそうだが、今回は片手に6個のマーカーをつけた。親指と人差し指、小指の先にマーカーをつけることで、指先の表現が可能に。実際に、キャプチャーしたばかりのデータで動かした映像が観られたが、壁に手をついて歩いているシーンではじつに自然な動きをしていた。顔の動きを取り込むフェイシャルキャプチャーでは、29個のマーカーを使用して表情のキャプチャーを行った。口の動きがとくに難しかったようで、「あいうえお」と口を動かしている映像が公開されたのだが、初期段階の映像ではとてもしゃべっているようには見えない。何度も調整をくり返したそうで、最終的に製品版に使用されたというデータでは、きちんと言葉を発しているように見えた。森本氏によれば、結果的に手付けモーションでは得がたい表現ができたとのこと。

 

▲戦場の臨場感を出すために、ハンディカムで撮ったようなシーンもある。これは実際に手に持ったカメラでモーションキャプチャーしたそうで、写真上はほぼキャプチャーしたままのデータ、下は製品版だ。モーションキャプチャーしたデータの雰囲気がそのまま活かされている。

 

▲顔に29個のマーカーをつけて、表情をキャプチャーしている。これはかなり製品版に近づいているもので、違和感なくCGが動いていた。

 

 最後に、アシスタントマネージャーの中村彰司氏が今冬リリース予定の業務用ゲーム『鉄拳6』のアニメーションの取り組みを紹介した。『アイドルマスター』や『エースコンバット6 解放への戦火』とは違って、中村氏が担当するのは対戦格闘の各キャラクターの動き。空手などの定番の格闘スタイルであれば資料を集めることができるが、なかには架空の設定もある。中村氏は例として、『鉄拳6』から登場する新キャラクター、ザフィーナが使う古代暗殺術を挙げた。どのような格闘スタイルなのか、これだけではまったくわからず、スタッフ個人個人が持つイメージもバラバラ。まずは共通イメージを作ることから始めなければならなかったそうだ。最終的には、女性の持つしなやかさを活かしてアヤしく妖艶な動きとなった。

 

 中村氏は、「『鉄拳』は10年以上も続いているシリーズですが、この10年でなんとなくわかってきた大事なことを3つ紹介します」と、『鉄拳』シリーズのアニメーション制作におけるポイントを説明。ひとつは作業フローで、人間関係に注意していることを強調した。開発当初はアニメーションディレクターの下に各アニメータースタッフがいて、指示を受けて仕事をこなす形なのだが、最終的にはこの組織図を逆転させるのが理想だとか。きちんと人間関係を構築しておくと、スタッフが能動的に自分から仕事を作っていけるようになる。中村氏は、「ひとりずつが自己重要感を感じてもらえていると思います」と胸を張った。

 

 ふたつ目は質と量のバランスで、スタッフ間のタッチの統一が重要。各キャラクターの動きをつける際に準備を万端にしておく必要があると語り、中村氏は平八というキャラクターのモーションキャプチャーを行う際に事前に用意した映像を公開した。その映像をスタッフ全員が観ておくことで、同じイメージを共有することができる。中村氏が3つ目に挙げたのは、製品化への磨き。これは、いろいろな人がチェックをくり返し、手間をかけて修正を加えていくことを指す。「人間関係を大切にして、しっかりと事前の準備を行い、手間をかけてコツコツ積み上げていこうということです」と中村氏。最後は、「ゲームは、”人”が作るものなんです」とまとめた。

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