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シリアスゲームとニンテンドーDSの切っても切れない仲とは?
CEDEC 2007

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●世界的な潮流であるシリアスゲームの流れを講演

 ゲームが持つ“表現力”に注目し、エンターテインメント以外の目的にゲームの持つ開発技術やノウハウを役立てようという動きが世界中で広がっている。いわゆる“シリアスゲーム”だ。CEDEC 2007の初日には、日本におけるシリアスゲームの権威であるペンシルバニア州立大学の藤本徹氏が登壇。“シリアスゲームの新展開と国内外の最新動向”と題するセッションにおいて、世界的な潮流となりつつあるシリアスゲームの現状を報告した。

▲最近富に脚光を浴びつつあるシリアスゲーム。代表的な例としては、アメリカ陸軍が人材スカウトを目的に、2000年にPCで無料配信した『America's Army』や、食糧支援をテーマにWFP 国連世界食糧計画よりこれも無償で提供された『FOOD FORCE』がある。


 じつは藤本氏は、2年まえのCEDEC 2005においても同種の報告をしている。「2年まえとは劇的に状況が変わってきている」とした藤本徹氏は、この2年のあいだに世界中においてシリアスゲームを事業の基盤に据えた開発メーカーがいくつも立ち上げられたり、中規模のゲームメーカーもシリアスゲームに積極的に取り組み始めている現状をリポート。なかには、優秀な開発ツールとして名高い、エピックゲームのアンリアルエンジンをシリアスゲームの制作に使用している例もあるという。「大手ゲーム会社からシリアスゲームを展開している会社への人材の流入などもあり、ベンチャーキャピタル(成長志向性の強いベンチャー企業に対して資金提供を行う投資会社のこと)が資金を投資するケースも増えています」(藤本)という。シリアスゲームというジャンルはゲーム業界の注目株なのだ。

 そんな世界の流れに対して、「日本は若干出遅れ気味」だという。スクウェア・エニックスと学研がコラボして設立したシリアスゲーム専門の会社、SGラボなどの存在はあるものの、シリアスゲームに対して積極的な動きを見せているメーカーは必ずしも多くはない。とはいえ、じつは日本でもニンテンドーDSの大ヒットで脚光を浴びた“実用系ソフト”という形を借りて、シリアスゲーム的なものは広く受けいけられつつある。海外のシリアスゲームのビジネスモデルが、ソフト会社が企業から受注を受けてプロモーションや啓蒙のためにシリアスゲームを制作するという受注パターンが多いのに対し、日本のシリアスゲームは直接消費者と向かい合うという独自のビジネスモデルを形成しているのが特徴となる。

▲参加者がテーマを絞って語り合うラウンドテーブル。シリアスゲームに関心を持つ関係者が集まって、熱く議論した。



 セッションに引き続き行われた“ビジネスとしてのシリアスゲームの方向性と課題”と題するラウンドテーブルでは、そのニンテンドーDSに対する議論に多くの時間が費やされた。参加者がある特定のお題をテーマにディスカッションをして、お互いがそのテーマに対する理解を深めていくという形式のラウンドテーブルでは、話題が多岐にわたりその内容を要約するのは難しいが、日本でシリアスゲームを語るうえでは、ニンテンドーDSは避けて通れない話題であるとの印象を受けた。

 「日本とアメリカのシリアスゲームに対する状況の違いが現れていて、注目のされかたに違いがある。日本ではニンテンドーDSを入り口にして、シリアスゲームが広がりつつあります。一般の市場からシリアスゲームが展開できるようになりました」(藤本)

「ニンテンドーDSのヒットの影で、あまりにタイトルが多くてまとめて扱われていいものだけどユーザーに届かない……という話もあります」(開発者)

「テーマを見つけて我さきにニンテンドーDS向けタイトルを揃える……という話も聞きます。ゲーム流津だけではなくて、ドラッグストアにソフトを置くとか、流通を広げるという可能性もあるのかもしれません。地道に売れる可能性のある流通で展開していくのが肝心です」(藤本)

「実用系のゲームに関しては、ふつうのゲームのように1〜2億円投資できる状況にはありません。そういった意味ではかなり開発費を抑えないといけない。ほかの業種との連繋はかなり有効だと思いますが、ゲームを専門としてない企業がゲームを出すと、“これはクソゲーなのでは?”と思われるのが心配です」(開発者)

 「実用系の部署にまわされると、ざっくりと低予算で作るので、開発者のモチベーションが下がる……といった意見を聞いたこともあります。でも、課題の与えかた次第で開発者の興味を高めながら、おもしろいゲームを作ることもできます。アメリカの会社も試行錯誤しながらシリアスゲームを作っています。ゲームの質を高めながらテーマを貫徹するのが大事なのではないでしょうか」(藤本)

 なお、このラウンドテーブルには、カプコン、KONAMI、スクウェア・エニックス、セガ、バンダイナムコゲームスなどのゲームメーカーの開発者から教育関係者まで、30人あまりが参加。熱心にディスカッションを交わし、シリアスゲームに対する高い関心のほどをうかがわせた。 シリアスゲームが日本に定着する日もそう遠い日のことではないことをうかがわせる熱気ぶりだった。

▲藤本氏は、海外では携帯電話のゲームコンテンツにもシリアスゲームを扱う例が増えていることを紹介。いかにシリアスゲームが広い分野に渡って広がってきているかを教えてくれた。

▲ラウンドテーブルには日本で唯一のシリアスゲームを専門とする会社SGラボの代表取締役社長、前田徹哉氏も顔を見せた。同社が展開するアドバ(広告)ゲームである『The Shochu Bar』がかなりの効果を上げていることを説明した。

 

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