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ゲーム産業が国の予算を獲得するためのポイントは? 経済産業省の職員が講演
CEDEC 2007

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 ●ゲーム産業が国の支援を獲得するには世の流れに乗ること!

 

▲経済産業省メディアコンテンツ課でゲーム産業の振興を担当する阿部氏が、2007年度の取り組みとゲーム産業が国の予算を獲得するためのヒントを明かした。


 ゲーム開発者向けの技術的な内容が多いCEDEC 2007にあって、異色だったのが”ゲーム産業戦略と経済産業省の施策について”というセッション。2007年度の経済産業省の取り組みと、ゲーム産業振興のために経済産業省には何ができるのかといったことが報告された。講義を行ったのは、経済産業省商務情報政策局文化情報関連産業課(メディアコンテンツ課)新映像産業専門職の阿部幸子氏。

 

 経済産業省は、2006年4月から8月にかけて”ゲーム産業戦略研究会”を実施し、”ゲーム産業戦略”という報告書を取りまとめた。そこでは、ゲーム産業の現状を分析して課題を明らかにするとともに、今後ゲーム産業の振興のために必要とされる国家的な取り組みを設定している。阿部氏はまず、このゲーム産業戦略の概要を説明。日本のあらゆるコンテンツ産業の中でも、ゲーム産業は最大の輸出産業であり、日本ブランドの発信に貢献している重要な産業と位置づけられる。だが、国際競争の激化や、国内市場の伸び悩みなど、この産業を取り巻く環境は明るいものばかりではない。そこで、ゲーム産業戦略では、開発戦略への対応とビジネス戦略への対応、コミュニケーション戦略への対応の3つの取り組みが掲げられた。

 

 開発戦略への対応としては、ゲームクリエーターのポテンシャルを引き出す環境整備の一環として、優れたゲームのクリエーターに対する権威ある表彰制度の創設などが挙げられた。これについては、現在経済産業省でも検討を続けているとのこと。また、ゲーム開発技術を産業全体で共有していくために、基盤技術開発事業を検討していて、たとえば、各メーカーが共通で使える開発エンジンや、モーションキャプチャーなどのライブラリを国の予算で作り、誰でも利用できるようにすることを考えているそうだ。

 

 ただし、各メーカーにプレゼンを行ったものの最終的な詰めまでは至らず、予算の問題もあって2007年度は凍結に。阿部氏は、「ニーズがあり、実現性があれば来年度にまた提案していきたいと思います」と前向きにコメント残したが、2007年度は人材育成促進のための予算が組まれており、10月以降本格的に事業に取り組む予定だと明かした。

 

 ビジネス戦略への対応については、おもに東京ゲームショウの情報発信力の強化が掲げられていた。ご存じのように、東京ゲームショウは2007年から”JAPAN 国際コンテンツフェスティバル(通称コ・フェスタ)”の一部に組み込まれ、マンガやアニメなどとともにゲームコンテンツの海外への発信力を強めている。これは、2006年に経済産業省が旗振りをして推し進めたもので、2007年度も一部の予算を出したとのこと。コミュニケーション戦略への対応は、社会全体にゲーム産業が認知されるための施策だが、具体的には何も動いていないようだ。阿部氏は、「ただ、青少年の健全育成に対する取り組みという意味では、CEROのレーティング制度が広く認知されつつあることを評価しています。各都道府県の有害図書などの条例も、CEROの提示するレーティングに準拠するものが増えつつあり、非常にいいことではないかと思っています」と語った。

 

▲阿部氏が勤める部署は、ゲームソフト産業を取り扱う。ハードは別の部署が担当しており、基盤技術開発事業などはそちらの部署で予算を捻出することも考えられるとか。


 ゲーム産業戦略に基づいて2007年度に経済産業省が行っている取り組みは以上だが、阿部氏は続けて”経済産業省の支援策と考えかた”についてプレゼンを行った。阿部氏はこの内容について、以下のように説明。

 

 「日ごろ、私たちはどういった支援をしたらいいのか各社さんにヒアリングをしているのですが、国に何ができるのか曖昧でなかなか答が返ってきにくい状況があります。また、いろいろとお答えいただいても、私たちができることは限られているんです。今回は、逆に何ができるのかを示したいと思います」(阿部)

 

 行政が産業を振興させるためにできることは、おもに規制と予算のふたつなのだという。阿部氏はこれを2大行政ツールと表現し、それぞれについて解説を行った。規制という手段については、公害対策を例に挙げて「そのままでは公共上多大な問題があり、ほかに代替手段がない場合に限られます」と阿部氏。ゲーム産業で例えるならば、中国で導入されているオンラインゲームのプレイ時間を制限する施策が挙げられる。中国では、ユーザーがオンラインゲームを長時間プレイすることによる健康被害などの問題を受けて、国が主導でゲームのプレイ時間が3時間を超えるとゲーム内のポイントが半減するプログラムをすべてのゲームに導入しているのだ。では、日本でもこのような規制がありえるのか? 自分個人の考えだとしながらも「日本ではとんでもないことがない限りできない」とは阿倍氏。中国などとは違って、日本では規制は最小限に抑えるべきだという考えのもとに行政が動いており、国が整備しないとどうにもならない事態が起きない限り、業界や企業の自由に任せるのだそうだ。

 

 もうひとつの2大行政ツール、予算は、産業の振興や支援策としては非常にわかりやすいが、予算をつける場合には財務省の許可が必要となる。押さえるべきポイントとしては、「なぜゲーム産業への支援が必要なのか」というツッコミに対する説得力のある答えが重要だとか。そのためにも、ゲーム産業戦略のような識者による報告書が有効という。阿部氏のところに最近アメリカ製のゲームが売れるようになった背景について調査してほしいという依頼を受けることが多いそうだが、残念ながら予算をとるのは難しい。ゲームだけではなくほかの産業にも似たような状況がある場合や、業界だけでは対応することが困難で国の支援が必要な場合、業界全体からのニーズがあることなど、国民の税金を1産業が予算として使うにはかなりきびしい条件をくぐり抜けなければならないようだ。阿部氏は、「経済産業省デジタルコンテンツ課のひとつの事業だけではなく、コ・フェスタのようにほかの事業に乗り込んでしまうほうが、じつは予算獲得は簡単なんです」と裏側を明かした。

 

 これらの背景を受けて、阿部氏は独自の視点からゲーム産業が国の支援を獲得できるポイントを示した。それは、世の流れに乗ること。たとえば現在、格差社会や再チャレンジ支援といった社会問題が取りざたされている。ゲームでも、資格取得や学習系のソフトがつぎつぎと開発されている。阿部氏が言うには、経済産業省とは別の省で必ず再チャレンジ支援のための事業が動いているはずで、そこに名乗りを上げて予算を受けることができるはずだというのだ。「これらの社会的な問題に取り組む事業に積極的に乗り込んでいくことで、予算や支援を獲得できるだけではなく、ゲーム産業のイメージアップにもつながるはずです」と阿部氏。経済産業省としてもゲーム産業振興のために努力を続けるとして、業界からも意見やアイデアをどんどん寄せてほしいと訴えた。

▲ゲームの強みは、高齢者や子供にも説明書要らずで操作できる”わかりやすさ”や”つかいやすさ”。昨今、ゲームの技術を教育などに活用するシリアスゲームに注目が集まっているが、ゲーム産業振興のためにも大きな可能性を秘めているのかもしれない。



 

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