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キーワードは"利便性"。開発者向けのセミナーでSCEとマイクロソフトが講演
【ゲームツール&ミドルウェアフォーラム 2007】

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●プレイステーション3とXbox 360の開発環境の充実をお互いにアピール

 ゲーム開発者を対象としたセミナーである"ゲームツール&ミドルウェアフォーラム 2007"が、2007年6月1日に都内にて開催された。ツールメーカー5社の共催によるこのセミナーは、2003年より東京・大阪の2都市で年1回のペースで行われ、これまで多くのゲーム開発者を集めてきた。5回目の開催となった今回は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)とマイクロソフトというハードメーカー2社が初めて参加。従来に比べその規模を大幅に拡大しているのが特徴だ。「もっと具体的な開発事例が知りたい」というゲーム開発者の要望に応える形で、セガやカプコンといった大手ゲームメーカーの開発者によるセッションなども盛り込まれている。いずれのセッションもたくさんの来場者を集めており、ゲーム開発者の熱意を感じることができた。北米などではゲームクリエーターの国際的な技術交流の場として、ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス(GDC)などが行われているが、開発環境がより複雑になってきた新世代ゲーム機の時代になり、そうした技術交流の必要性が日本でも感じられるようになってきていることだけは間違いがないようだ。

 象徴的なのが、ハードメーカーであるSCEとマイクロソフトが、それぞれプレイステーション3とXbox 360の開発環境の"使いやすさ"をゲーム開発者に向けて強調している点。実際のところ、今回行われた多くのセッションでは「いかに効率よく開発を行うか」という点を口にした登壇者が多く、新世代ゲーム機向けのソフト開発のポイントとして"利便性"が大きなテーマになっていることをうかがわせる。まずは、SCEとマイクロソフトのセッションの模様から紹介しよう。

▲立ち見も多く、かなりの熱気に溢れていた"ゲームツール&ミドルウェアフォーラム 2007"。


 

▲豊氏は次世代ゲーム機の登場でグラフィッククオリティーは飛躍的に高まったが、「インタラクティブな動きはまだ未成熟」とも語った。

 SCEのセミナーでは、ソフトウェア・プラットフォーム開発本部 副本部長の豊禎治氏が登壇。開発会社に提供されているプレイステーション3の開発環境の最新技術動向についてスライドを交えた解説が行われた。まず最初に紹介されたのが、プレイステーション3のファーストパーティーであるSCEの技術を、より多くの開発会社へ還元することを目的にして制作されたツール"PLAYSTATION EDGE"。このツールは、開発が難しいと言われるマルチコアプロセッサの開発をサポートするもので、プレイステーション3の能力を最大限にまで引き出したいというメーカーに向けて公開されているもの。プレイステーション3のロンチタイトルのひとつ『RESISTANCE(レジスタンス) 〜人類没落の日〜』は実際にこのツールを使って開発されたソフトだとのことだ。

 高度な演算処理により自然な動きを実現する"Physics"など、そのほかにもさまざまな開発ツールが紹介されたが、なかでも興味深かったのが"PSSG"と呼ばれるツール。これは低予算でのゲーム開発を実現するツールで、プレイステーション3用の開発環境がなくても、PC(Windows、リナックス)だけでゲーム制作を可能にしている。さほど開発環境を整えなくてもゲーム開発を可能にしていることから、おもにカジュアルゲームやダウンロードタイトルの開発に利用されているとのこと。ただいま"PlayStation Network"上で販売が開始されているプレイステーション3用ダウンロードタイトル『flOw』なども、この"PSSG"で作られたタイトルだ。さらに"PSSG"が低コストでのゲーム開発に向いている理由として挙げられるのが、ゲームテンプレート(雛形)が無料で提供されているという点。"PSSG"にはデフォルトで3Dシューティング、ファースト・パーソン・シューティング、フィールドRPGなど豊富なジャンルのゲームテンプレートが収録されていて、開発者はこれらをベースにしてゲーム開発を行うこともできる。なお、一部のゲームテンプレートは会場内のSCEブースに出展されていて、実際にプレイすることもできた。このゲームテンプレートは、今後1〜2ヵ月のうちに"PSSG"に実装されるとのことだ。


▲欧米では積極的に利用されている"PSSG"。豊氏はこのツールから"冒険心のあるゲーム"が生まれてくること期待しているとのことだ。

▲SCEブースで展示されてた今後PSSGに収録される予定のファースト・パーソン・シューティングタイプのゲームテンプレート。ここから明日のヒット作が生まれるかもしれない。


 一方のマイクロソフト陣営がアピールしたのは次世代の開発環境XNA。マイクロソフトのXNA Team 鈴木悠司氏が、"マイクロソフトのXNA構想〜ゲーム制作のプロの方々へ〜"と題するセッションを行った。「ハードウェアの進化とともに膨大なコストがかかる。ゲーム業界が直面する問題を解消できないものか……と考えたのがXNAの発端です」と、まずはXNAというプロジェクトが始まった経緯を語った鈴木氏は、クロスプラットフォームなどを実現するXNAの利便性を強調。そのあとで、昨年12月から無償での提供が開始されたツールXNA Game Studio Expressを紹介した。XNAのコンセプトの一部を具現化したXNA Game Studio Expressは、今後コミュニティーの活性化を図り、プロへの登竜門的な役割を果たすだろうとのこと。多くの教育機関がXNA Game Studio Expressに注目しており、今後5年間で2000のプログラムが立ち上がる見込みだという。マイクロソフトでも教育機関の取り組みは熱心に支援する予定でおり、用途に合わせてカスタマイズ可能なカリキュラムを提供するなど、かなり踏み込んだ内容でのサービスを考えている。「年内にはプロ向きのXNA Game Studio Expressも提供予定です。今後は、業界を直面する問題をできる限りXNAで解決していきたいです」と力強く鈴木氏は語った。

 そして"最後の革新的なデモ"と題されたデモプレイでは、XNA Game Studio Expressで作ったタイトルをWiiリモコンで操作して、会場を大いに沸かせた。もちろんこれはあくまでデモンストレーションに過ぎないが、「XNA Game Studio Expressならマルチプラットフォームでタイトルを容易に作れる」というマイクロソフトの強烈なアピールとなった。SCEもマイクロソフトも、奇しくもともにゲームの開発環境に力を入れていることが明らかになった今回のセッション。新世代ゲーム機競争のカギを握るのは、やはり開発環境の充実にあるのかもしれない。

▲「XNAは開発環境の統合化を図るものです」と鈴木氏。

▲今後さらに進化していくXNA Game Studio Express。その道のりの先になるものは?

▲講演の最後にフィールドを転がして、玉を穴に入れていくゲームをデモンストレーション。XNA Game Studio Expressで作ったこの作品は、Wiiリモコンで動かされていた。

 

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