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KONAMI五十嵐氏が語る!「2Dゲームは希望の光となりえる」
【GDC 2007 リポート】

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●『悪魔城ドラキュラ』シリーズを例に2Dゲームのメリットデメリットを詳しく解説

 3Dが主流の現在のアクションゲーム市場で、"2Dアクション"というスタイルの新作をコンスタントに発売し、国内のみならず欧米でも大きな支持を得ている『悪魔城ドラキュラ』(英題『キャッスルヴァニア』)シリーズ。そのプロデューサーであるKONAMIの五十嵐孝司氏が"2Dゲームの光と闇"と題し、いま2Dのゲームを作ることのメリットやデメリットについて、自身のさまざまな現場経験を交えながら講義を行った。

 五十嵐氏はまず、アクションゲームのゲーム性に関わる要素として"タイミング"、"距離"、"位置取り"、"方向性"の4つを挙げ、そのうち2Dのゲームでは、とくに"距離"の遊びの導入が容易であることを説明。その理由として「3D視点のゲームは、画面に表示される3D空間のスケールと実際にプレイヤーが意識している距離感とのギャップが生じやすいが、2Dのゲームは画面の情報からすぐに距離を認識してアクションを実行できるため」と述べた。たとえば"避ける"というアクションを比べた場合、3Dゲームでは距離の概念が曖昧なために、「何となく避けている」といった気分にプレイヤーがなりやすい。その点、2Dのゲームは距離の概念が非常に明確化しているため、「きちんと見てから避ける」ことが可能となり、「見て避け、攻撃する」といった駆け引きが成立しやすいわけである。また、「遊びの選択肢が多いということは、プレイヤーが気にしながら遊ぶことが多くなるため、一概にいいことばかりではない。開発者はプレイヤーがとまどわないように、意図的に遊びの幅をせまくしたり、明確に遊びを示すための演出が必要になる」(五十嵐)と述べ、通常2Dのアクションゲームの場合は、重力によって(位置取りと方向性の)遊びが制限を受けるために、より緻密な"タイミングや距離の遊び"が作りやすいことに言及。そういった遊びは「昔ながらのゲームらしいゲーム」となり、『ドラキュラ』シリーズでもこだわりを持って取り入れていると述べた。

 つぎに、2Dの『ドラキュラ』シリーズでは"ドット絵"が大きな意味を持つことを紹介。ファミコン時代は4色、それ以降はすべて16色でキャラクターが描かれているなど、シリーズを通して色数や画面比率がほとんど変わっていないため、過去の資産の利用が容易とのこと。過去の優秀なデータが使用できることは、開発コストの削減はもとより、「質の底上げが自然と行われる」面も大きいそうで、「過去の作品以上にしなければ」という基準となり、質のコントロールや新人育成の面でも有益だという。そのほかドット絵には、「作業工程が短い」「デフォルメされたダイナミックな表現が可能」などの利点があり、逆に「アニメーションが滑らかでない」、「アニメーションパターンの種類に比例して作業が増大」、「絵の力量がそのまま出てしまう」といった点が不利であると解説。

 続いてプログラム面での2Dの利点は「(3Dゲームでカメラがゲーム性の非常に大きな割合を占めるのに対し)カメラの概念がない。基本的にXY軸だけのため処理が非常に軽い」、「完成型がイメージしやすく、それをプログラマーと共有しやすい」など。問題点としては「カメラが固定されているため、3Dに比べて演出で劣りやすい(アングル変更などの大きな演出が不可、エフェクトのみに頼りやすい)」「旧世代の技術が円熟しているため、進化の伸び幅が少ない」などを挙げ、「非常に簡単に分けると、2Dはゲーム性のプログラムが組みやすく、3Dは演出のプログラムが組みやすい」(五十嵐)とまとめた。

 また、3Dゲームと比べて開発規模が小さい2Dゲームは、チームのモチベーションを維持しやすいという利点も強調。ちなみに昨年発売の『悪魔城ドラキュラ〜ギャラリー オブ ラビリンス〜』の開発期間は約1年4ヵ月。チームは最大20名程度で、3Dゲームの半分以下のイメージとのことだ。五十嵐氏はチーム内でのスタンドプレイをとくに大事にしているそうで、「作業量が増える→仕事の細分化が進む→自分の仕事から全体像がつかみにくくなり、スタンドプレイがしづらくなる→作業感が増え、情熱が持てなくなる→モチベーションが低下し、作品の質に影響」という生々しい例も紹介。その防護作の苦労談を交えつつ、「開発者のもっともモチベーションが上がるときは、よい作品になっているという実感を得ているとき」と断言して、セッションに参加した開発者たちの共感を誘っていた。 

 「現状、2Dゲームはさまざまな問題を抱えている」と五十嵐氏。「3Dゲームのほうが演出、見た目に優れているためマスに受け入れられやすく、総じて2Dゲームは売り上げの面で評価されにくい」といった市場での問題。または「2Dが旧世代の技術であり、3Dに対する取り残され感を感じる開発者たちのキャリアアップへの不安」、「ドット絵の不足、人材確保の難しさ」。ドット絵は特殊な技能職であり、しかもすでに円熟しているためにハードルが高いと感じられる、あるいは限界のある表現力に魅力を感じない新人が増えており、プレイステーション以降、ドット職人の激減は非常に深刻な問題であるという。

 だが、「それでも2Dゲームに重要な"タイミングと距離の遊び"は決してなくならなることはない」と同氏は続ける。「市場的に見ても、ニンテンドーDSの普及やXbox Liveアーケード、Wiiのバーチャルコンソール、モバイルゲームなど、まだまだ2Dゲームの需要はある。むしろ、いま増えているゲームに時間をかけられない人にとって、手軽な遊びの2Dゲームは今後もっと市場が見込めると考えている。開発コストが無限に増えていく昨今のゲーム制作において、2Dゲームは希望の光となり得るのではないか」と。

▲今回がGDC初参加という『ドラキュラ』シリーズプロデューサーの五十嵐氏。現在、同シリーズは国内以上に海外で大きな成功を収めているという事実を証明するかのように、講義後は多くの海外ファンがサインや握手を求めていた。

 

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