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LAP21(連載21回目) 2007年、国産スポーツカーの革命が起きる
【定期連載 山内一典の読むグランツーリスモ】

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●LAP21 2007年、国産スポーツカーの革命が起きる
 

 年初のデトロイトショーで、次世代のランサーエボリューション、ランエボXが正式に発表になりました。インプレッサのフルモデルチェンジも今年に予定されています。日産GT-Rも今年の秋に発売予定です。漏れ伝わってくるスペックを分析すると、いずれも通常のモデルチェンジより遙かに気合が入っていることは間違いなさそう。どうやら今年は国産スポーツカーにとって何十年かに1度の革命の年、いわば惑星直列イヤーになりそうな予感です。

 

▲東京モーターショーでベールを脱いだランエボX。


 過去を振り返ってみると`89年から`90年にかけて、同じような奇跡の惑星直列が起きました。日産 スカイラインGT-R(R32)、ホンダNSX、マツダRX-7、トヨタスープラといった新時代のスポーツカーたちが次々に生まれたのです。あのとき日本製スポーツカーは、その歴史上はじめて世界の頂点に立ちました。低価格でありながら圧倒的な高性能を発揮した日本製スポーツカーに世界中のライバルたちは震撼したのです。ポルシェやフェラーリといったスーパーカーを軽々とやっつけるGT-RやNSXの雄姿に快哉を叫んだ人たちは多かったのではないでしょうか。かくいう僕も、そのひとりで、あの時の衝撃がのちに『グランツーリスモ』を制作する動機になったのは間違いないですね。


 さて、そのあとの歴史をフォローすると、一度は世界の頂点に立った国産スポーツカーですが、バブル経済崩壊後にスポーツカー市場も縮小し、モデルチェンジすれども大きな技術革新はなく次第にライバル勢の反撃に圧倒されるようになります。そして、気が付けば、ほとんどのモデルが生産中止となりスポーツカーにとって冬の時代へ突入することになるのはご存じのとおりです。


 そう考えると今年は長い長い冬の時代に終わりを告げる、国産スポーツカー復興の年になりそうです。1989年以来、実に18年ぶりに日本発のスポーツカー革命が起きようとしています。それでは、今回起きるであろう進化を限られた情報から分析してみましょう。


 まず、国産車の性能を縛っていた280馬力規制から開放され、欧米のライバルたちと同等の350馬力から500馬力といった出力が可能になります。GT-Rは500馬力あたりを、ランエボ、インプレッサは350馬力あたりを狙って来るでしょう。タイヤホイールのサイズも19インチから20インチといった大径高性能タイヤを履きこなしてくる。同時にブレーキは6ポッドや8ポッドといった高性能なものに変わる。ハイテク4WDシステムも大出力化に伴い真価を発揮するはずです。近年のタイヤ技術の著しい進化は300馬力程度なら4WDの必要を感じさせないところまで来ましたが、500馬力ともなれば4WDのメリットが再び評価されるでしょう。三菱は4輪の駆動力と制動力を自在に統合制御する"スーパーAWD"という新技術を投入するようです。ボディ構造もアルミニウムやカーボンなどを適材適所に配置したハイブリッドなボディーとなるはずです。
 

▲再び”バケモノ”となるか、日産のGT-R。


 では、実際どれぐらい速いのか……? 言葉で語るだけではなく、僕たちならではの方法で性能シミュレーションをしてみましょう。そう、『グランツーリスモ』の物理挙動シミュレーションを使って。日産GT-Rをサンプルにします。巷間言われているように、馬力を450馬力、ミッションは6速のセミオートマチック。駆動形式は日産自慢のアクティブ4WD、アテーサET-Sを載せてみます。車重の予想は難しいのですが、昨今の安全対策がなされたクルマたちの車重から考えると1650kgあたりでしょうか。タイヤは最近のスポーティラジアルや、Sタイヤの傾向を織り込んでみます。

 

 パラメーターのチューニングが済んだら、いざ出走です。まずニュルブルクリンクから。走り出して感じるのは、やはり450馬力のエンジンは速い、ということ。300馬力のスカイラインGT-R(R34)ならリラックスして走れたニュルも、今度の新型でははるかに緊張が増します。4WDといえどもスロットルコントロールは慎重にしないと、アンダーステア、オーバーステアが大きく出る。3周のアタックラップを終えて、記録されたベストタイムは、なんと7分38秒5! スカイラインGT-R(R34)の記録を20秒以上短縮し、ポルシェGT3やフェラーリ430の走破タイムを上回りました。すばらしいタイムに気を良くして、次は筑波アタックです。バックストレートエンドでの最高速は、ちょうど200キロ。市販車としては異常に速い。そしてラップタイムは、1分1秒4を記録! 筑波を1分1秒で走る市販車なんて、もちろん過去には1台もなかった。このタイムはレーシングカーの世界です。


 今年は国産スポーツカーの革命の年、とぼくが言った理由が読者のみなさんにも伝わ
ったでしょうか。そう、今までの常識の延長線上にはない、大きな進化が起きようとしている。『グランツーリスモ』でのシミュレーションの結果は、それを雄弁に物語っていると思います。

 

▼キーワード解説

【惑星直列イヤー】今年の10月27日から開催される東京モーターショーは、これから10年先までの国産スポーツカーのトレンドを直視できるショーになると期待されている。まず日産。前回のショーでは外装のみの"GT-R PROTO"を出展していたが、今年のショーでは内装からエンジンルームまで、ほぼ完成型の状態で出展されることが予想されている。つぎにトヨタの高級車ブランドのレクサス。前回の東京モーターショーで発表していた"LF-A"をもとに、デザインを改良したLF-Aを今年1月のデトロイトモーターショーに出展した。今年の東京モーターショーではどこまで完成度が高まった状態で出展されるかが注目されている。

 

 また、トヨタブランドでデトロイトに出展されていたコンセプトカー"FT-HS"は、スープラの後継機と言われているだけに、チェックしておきたい1台だ。そしてホンダ。国産ミッドシップの名車NSXの後継機は、デトロイトで発表されたFRレイアウトの"アキュラ アドバンスド スポーツカー コンセプト"と言われている。V10エンジンをフロントに積んだこのマシンが、東京モーターショーでどのように変化して登場するのだろうか。

 

 これらのモデルがすべて東京モーターショーで登場するとなると、スポーツカー好きの人にたまらないショーになるだろう。


※『グランツーリスモ』の公式サイトはこちら
 

次回の”山内一典の読むGT”は3月23日を予定しています。お楽しみに!

 

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