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【CEDEC 2006】和田洋一氏の基調講演 ゲーム産業は第2の成長過程に!
【CEDEC 2006】

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●第2の成長段階に入ったという時代認識の共有が飛躍につながる
 

  ゲームクリエーターの情報交流を目的として毎年開催されているCESAデベロッパーズカンファレンス(CEDEC)。2006年は、8月30日から9月1日の3日間、昭和女子大学で開催されている。このCEDEC 2006、CESA会長でスクウェア・エニックス代表取締役社長の和田洋一氏の公演でスタートした。
 

 公演の題名は"日本のゲーム産業の今後"。公演で和田氏が強調したのは「時代認識を共有することが飛躍につながる」ということ。その時代認識とは、「ゲームは産業として確立し、第2の成長段階に入っている」ということだった。
 

 和田氏はまず「CESA会長という名目でお話します。作る側から見たゲーム産業の立ち位置をはっきりさせ、何をしなければならないかを確認したいと思います」と切り出して、2001年以降の世界の家庭用ゲーム機の市場規模を表すグラフを提示。資料を以下のように解説した。
 

 「欧米に比べて、日本の相対的地位が低下してきたという見かたがありますが、これは世界市場が毎年15パーセント以上の伸び率で成長してきたという数字。シュリンク、飽和といった言葉で捉えるのではなく、依然として成長過程にあると見るべきでしょう。欧米の伸び率が大きいのは、日本が先行して市場を形成したから。米国では`99年〜2000年、欧州はその1、2年後に急速に伸び、現在所定の位置に到達しました」(和田氏)

 

 和田氏が示したグラフには、中古販売やダウンロード販売、ケータイコンテンツは含まれない。和田氏はこのグラフにオンラインゲームの売上げをプラスし、世界的に見てゲームの市場規模が拡大中であるという論拠を補強した。さらに、PCやアーケード、携帯コンテンツの数字を加えたデータを示し、2001年以降は毎年1割程度で世界のゲーム市場が拡大していることを示した。
 

 続いて和田氏は、『CESAゲーム白書2006』に掲載された、一般生活者のゲームへの参加動向に関するデータを提示。男女を問わず、あらゆる年齢に渡ってゲームが浸透し、今後ゲームを楽しみたいと思っている人も多いことを指摘した。
 

 「何か自分にマッチしたコンテンツがあれば、ゲームをやりたいと思っている人が日本だけでもこれだけいます。これは、ゲーム制作の質的転換が求められているということ。ゲーム産業がスタートした当初は、小学生がメインターゲットで、彼らは大きく違わないライフスタイルをしていました。ところが現在、ゲームは個人によってライフスタイルの違うあらゆる層に浸透しています」(和田氏)

 和田氏は、質的な転換を図らなければならないという危機感を持つべきだと言い、以下のように強調する。
 

 「量的には楽観的でかまわないと思う。質的に変わっていこうという問題意識を持たなければなりません」(和田氏)
 

 続いて和田氏は、映画やゲーム以外のオンラインサービス、シリアスゲーム(教育や医療へのゲームの応用)など、ゲームがほかの産業に応用されている例を挙げ、以下のように述べた。
 

 「応用分野は、すでに実用段階に入っているものだけでもいくつもあります。今後、さらに増えていくことが見込まれます。このような他産業への適用例からも、ゲームが産業として確立し、第2の成長段階に入ったことがわかるかと思います。この時代認識を持つことが、ゲーム産業に飛躍につながるはずです」(和田氏)
 

 和田氏は以上のようにゲーム産業の現状認識を述べたあと、今後の課題について語った。

●ツールの活用、整備

●ユーザー参加型コミュニティーへの取り組み

●マルチコアプロセッサーへの対応

●産官学の連携

 

 まず"ツールの活用、整備"についてだが、和田氏はゲーム制作ツール(ゲームソフトを作るためのソフト。ミドルウェアとも言う)を使うとゲームがつまらなくなる、似たようなゲームになるという考えは誤解だとして、以下のように述べた。
 

 「ある業種が第2ステージに入ったとき、必ずほかの業種からの人材の取り入れやコラボレーションが触媒になって発展します。コンピュータグラフィックスはかつて、プログラミングの知識がなかったら話になりませんでした。デザイナーとして優れていても参加できませんでした。しかし、ツールが整備されたことで、プログラミングにさほど詳しくないデザイナーやアーティストが参加できるようになり、CGがおもしろくなったのです」(和田氏)
 

 続いて"ユーザー参加型コミュニティーへの取り組み"については、「みなさんがあまりにもWeb2.0と口にするものだから、その言葉は敢えて使いませんでした」とコメント。和田氏によると、Web2.0という言葉が出るまえから、ゲームの世界では当たり前のように使われてきた概念で、今後、Mod(ゲームの一部をユーザーが制作、改変する)なども増えてくるという。しかし、そのためには「素人がいじるわけだから、システムは相当堅牢なものにしなければならない」(和田氏)といった課題もあるという。
 

 "マルチコアプロセッサーへの対応"に関しては、以下のように述べた。
 

 「天体シミュレーションやDNA解析など科学の分野と並んで、ゲーム産業はもっともCPUを使い回してきた分野でした。とりわけゲームではひとつのCPC(シングルコアのCPU)を使い倒してきた分野なので、影響は少なくないでしょう」(和田氏)
 

 最後に、"産官学の連携"に関して、2006年8月29日に発表された"ゲーム産業戦略"に触れたうえで、アジアや欧米の各国がゲーム産業を国家戦略と位置づけていることを指摘。不利にならないように議論を深めていくことの必要性を語った。
 

 最後に、和田氏は以下のように語り、公演を締めくくった。
 

 「日本のゲーム産業が世界をリードしていくことも重要ですが、もっと大きな使命があるように思います。いまの日本の状況を見ると、おれだけ通信インフラが整備され、端末としてぶら下がっているハードも均一で、コンテンツを提供する企業、それを享受するユーザーも成熟した状況はありませんでした。つぎのコンテンツ産業に向けた最大の実験場と見ることもできます。その最先端にあるのがゲーム産業なのです」(和田氏)
 

 会場に詰めかけたゲームクリエーターたちは、和田氏の公演によって、大いに勇気づけられたようだった。

 

 

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