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Text:永田泰大(週刊ファミ通編集委員)





 そのゲームが持つおもしろさとはまったく無関係なこととして、とかくRPGをプレイしていると眠くなるものである。もちろん衝撃的な展開にハッとしてがぜん目が覚めてくることもあるわけではあるが、そうはいっても肉体的な限界はあるわけで、どんなに主人公が"世界を救う"だとか"お姫様を救出する"とかいう大儀を抱えている勇者だとしても、操る僕はふつうの人間だからして、ついついむにゃむにゃこっくりこっくりしてしまったりするわけである。

 とりわけ、ダンジョンである。右に進むと上り階段、左に進むと下り階段。とりあえず右に進んで上に行くと二股になっていて、これは本道だと確信して戻って下りて左に行って下りたところでエンカウントして戦っているうちに、ついついむにゃむにゃこっくりこっくり。こうなってくるとわけがわからない。そもそもわけがわからないのはダンジョンの構造なのか僕の頭の中なのかわけがわからない。わけがわからなくなってくると、道に迷っているのか迷っていないのかすらわからない。戦闘が終わったときに主人公たちがどっちを向いているかで進む方向を判断したりしてしまうから、こっくりこっくりしながらようやく進んだ先に見つけた宝箱が思いっきり開いたりしていると愕然としてしまう。とりあえず戻ろうとするのだが、戻ろうとする先に空いてない宝箱があったりする。じゃあいっそこのまま進めば正しいのだろうなどと考えてうつらうつら進んでいると、突然ハッとして、このままじゃアイテムを取り逃してしまうじゃないかと改心。目をカッと見開いて、周囲の景色を覚えつつ来た道を戻っているとまたうつらうつら。ところで僕は進むんだっけ戻るんだっけみたいなどうしようもない泥沼な状況に陥ってしまう。人間失格とはこのことである。

 輪をかけてやっかいなのは、ダンジョン内での戦闘である。基盤となる根本的な精神状態が人間失格であるわけだから、これはもう、砂漠に高層ビルディングを建てるようなものである。ゆで卵で釘を打つようなものである。ザルで金魚をすくうようなものである。いや、それは十分実現可能である。さあ、むにゃむにゃしているうちにエンカウントしました。永田選手、いままで進んだ道を忘れないようにしながらコマンドします。とりあえず"たかかう"を連打です。「これはいけませんねえ。もっと敵のモンスターに合わせた戦いかたをしないと」。おっしゃるとおりです。おおっと、やはり歯が立ちません。「まずは右の魔法を使ってくるやつを倒さないと」。しかしまたしても永田選手、便利ボタンを連打だ! 「いけませんねえ。いくら便利ボタンが便利だといっても、これはいけません」。さあ、危機的な状況になってまいりました。「回復が先ですよ、回復が」。永田選手、眠いながらも最低限の理性はあるようです。「ここはホイミでしょう」。そうですね。永田選手、さすがにここはホイミを選択、ああっとしかし、MPが足りない! 「眠いからといって作戦を変更をせずにガンガン進んでましたからね。つけが回ってきたということでしょう」。さあ、どうする。おおっと、やくそうを使うようです。「とりあえずそうするしかないでしょうね」。しかし永田選手、うまのふんだ! むにゃむにゃしながら、うまのふんを使ってしまったあっ! 「・・・最悪ですね」。そんなこんなである。

 そんでもってこのうえなく最悪なことは、実際に寝てしまうことである。なんだか知らないが、起きると戦闘が終わっていたりする。神様ありがとう、寝ながら勝つことができました、などと感謝するわけもなく、例によってとりあえず主人公たちが向いている方向に向かってこっくりこっくり歩き出したりするのだが、これはもう、まったくもってどっちに進んでいるのだかわからない。むしろ意味がわからない。だいたいなんでこのダンジョンに潜ったかも定かでない。誰かを救うんだったか石版を捜すんだったか。そもそも世界はどうなってるのか。竜が姫をさらったのは1作目だったから、デスピサロを倒すのだろう。神羅屋敷でマテリアを捜すのは何作目だっけ? 

 "眠さに勝る眠さなし"というのは過去に極限状態で僕が発した言葉であるが、我ながら至言であると思う。好むと好まざるとにかかわらず、そのゲームのおもしろさとは無関係に、睡魔は等しく訪れる。ほらほらあなたもついついむにゃむにゃこっくりこっくり・・・。

 目が覚めて僕がどういう状況にあるかを独特な言い回しで報告いたしますと、地下に下りて重要な人物を助け出して、奪われていてにっちもさっちもいかずに苦労していたものを取り戻して、さあ元通りかと思いきや5回勝たなくちゃダメよ、と言われたところです。

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