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Text:永田泰大(週刊ファミ通編集委員)





 9月1日の日記に登場したNさんの話に少しさかのぼる。いまだに全滅してなくてなんだか不安なんだよ、と僕が言うと、僕よりは先に進んでいた彼は、言葉を選ぶように、「俺もそうだったよ。こんなに簡単に進めていいのか、っていう感じだった。でもね、いまやってるところでね、ちょっと印象が変わった。ええと、24時間ぐらいのところ。だから、24時間ぐらいでまた変わってくるんじゃない?」と言った。

 僕は「ふうん」と思いながら、その言葉を忘れるように努めた。僕が先を知りたくないために情報をシャットアウトするのは、(こんなこと自分で言うのは変だけれど)僕がちょっとした情報のかけらから展開を察することが得意だからなのである。それで僕は極力情報を入れないようにするし、入りかけたとしても忘れるようにする。ちなみに、忘れることも割と得意である。

 前情報を聞いても平気だという人が僕の前で『ドラクエ』の先の話を始めると、僕は例によって耳を塞いだりするのだけれど、そういうとき彼は、「些細なことですよ。これぐらい知ってても平気でしょう?」というようなことを言う。大間違いである。"これぐらいなら平気"という基準は、個人によってぜんぜん異なるのである。たとえばある映画に対して、「あの映画の最後のどんでん返しには驚きましたよ。もちろんそのどんでん返しが何かは言いませんけどね、はっはっは」というような人がいる。とんでもない話である。僕なんかはそういうことを聞いてしまうと、「最後にどんでん返しがあるということは逆算してこれからこう展開するわけではなくあっちへ展開するんじゃないだろうか」というようなことをついつい考えてしまう。だから、どんでん返しがあるということすら知りたくないわけだけれど、"平気じゃないですか"っていう人は、どんでん返しの内容さえ知らせなきゃ、人はどんでん返しが楽しめるのだと考えている。それは、その人が平気だからほかの人も平気だろうと考えてしまうわけで、察することが超得意な俺様としては、そういうのは困ってしまうわけである。つまり、偏見と暴論を承知で言わせていただくと、「これくらいなら平気じゃないですか」と口にする多くの人は、察することがヘタなのだ。ピンとこない人であるのだ。言ってしまえば鈍いのだ。ぬーぼーっとしているのだ。大男総身に知恵が回りかねなのだ。

 放送中不適切な発言がありましたことを深くお詫びします。

 ええと、なんの話だっけ? そうそう、順調に『ドラクエVII』を進めていた僕だったが、ついに全滅してしまった。そしてゲームの流れとしても、ガツンと一発喰らったかっこうになってしまった。順調に、ある意味淡々と進めてきた僕だったが、「や!」という感じでカブトの緒を締め直すかたちになってしまった。うん、こうでなくてはいけない。あまり多くを語りたくないけれど、そのときに僕はふと思い出してプレイ時間を確かめてみたのだ。プレイ時間は、24時間38分だった。

 Nさんの予言は見事に当たったことになる。

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