●音楽を通してメッセージを発信する理由
−−先ほどもちょっと出ましたが、たとえば"意志なければ成らざる"ですとか、"まじめに生きる"といったような非常に強いメッセージを、葉山さんは音楽を通してファンの方々に訴えていますよね。そういうものを訴え続けている理由を教えていただければと思うんですが。
葉山 これは……、ファミ通.comのようなゲームコンテンツで説明することじゃないかもしれませんけど(笑)。「まじめに生きろ」っていうのはどういうことかというと、ひと言で言うと「地球とか人類の未来を考えて自分なりに心がけて生きろ」ってことなんですよ。
たとえば、車乗っててタバコをピッて捨てる人いるじゃないですか。車には灰皿がついてるわけで、そりゃ灰皿に捨ててほしいじゃないですか。町中でペッペケペッペケとゴミ捨てたりするのだって、やっぱりよくないし。そういうのは言語道断としてですよ、たとえば場所が野原でも何でもいいですけど歩きながらタバコ喫ってて、捨てようと思ったら携帯灰皿を持ってないことに気付いた。で、どうしたらいいんだって悩んだあげく、「しょーがない、ここに捨てるしかない」って捨ててしまった。でも、その時点でその人は「どうしたらいいんだ」って心がけている。「ここに捨ててはいけないんだけど」って。そういうふうにみんなが心がけてくれればと思うんです。
−−ちっちゃいところからでもいいから、みたいなことなんですね。
葉山 そう。あのね、なんでこんなこと言うかっていうと、オレは昔、横浜の中心部にある中区っていうところに住んでて。そこに1000坪の森があって、オレはその1000坪の森の中で育ったんですけど、それがある日、国か市が全部残らず木をブルドーザーでなぎ倒して更地にしてしもうたんですよ。1000坪の中に何本くらい木があったかわかりませんけど、1本たりとも残さず全部木をなぎ倒してね。それで「なんでオレの生まれ故郷を奪うの?」、「もうこんなとこいられない」って気持ちになったんです。それでいま、横浜の金沢八景のシーパラダイスの近くの島に住んでいるんですけど……。
−−し、島っ!?
葉山 そう、島。こんもりとした、海の真ん中にぽっかりと浮かぶ江ノ島みたいな島。本土からその島へは、橋で渡っていくような場所で。そうしたらね、今度はどこのバカがそんな計画を考えたのかわからないけど、八景島シーパラダイスから僕の住む島へ橋を渡そうとしてるの。レインボーブリッジみたいな橋を渡す計画で。どこをどう考えたらそんなアホな計画を考えつくんだ! と(笑)。道路ったってクルマもぜんぜん混んでないのに、なんでそんな橋を造んなきゃいけないんだって。さらに、一般の人たちはどうかというと、海へ遊びに来て、砂浜でビールをガーって飲んでバーベキューして、そのゴミはそのまま置いて帰るでしょ。国も市も一般の人々も、誰も何も心がけてないんですよ。だってね、けっきょく月曜日になって砂浜のゴミを片づけるのは、我々地域住民なんですよ!
−−あー、それはイヤですよねー。
葉山 日本人の多くはモラルが欠如してるんじゃないかなぁ、って。オレは政治家じゃないから、どっかの街角でメガホン持って発言するわけにはいかない。でも幸いなことにオレはゲームミュージシャンだから、音楽を使って「まじめに生きようぜ!」って世の中に訴えようって。
−−なるほどー。
葉山 だからそれは、商売としてやってるわけでも、売りのひとつになると思ってやってることでもなくて。そういう意志を伝達する役目が自分にはあるんじゃないかなー、って思ってやっているだけで。だって、よくニュースとかで「ゲームが子供たちに悪影響がある」って言われてるじゃないですか。「百害あって一利なし!」みたいなひどい言いかたで。でもそんなことはないワケで、それを証明するためにもゲーム業界の広告塔のひとりとして、こういうことはやっていかなきゃならないし、ゲーム業界の中から発信する意味はあるんじゃないかって。……あー、また話長いね(笑)。
−−安心してください、うまい具合にまとめますから(笑)。
●企画者が開発者が困るぐらい"いい音楽"を作れ
−−最近注目なさってるゲームミュージックのクリエイターとかいますか?
葉山 うーん……。いまゲームミュージックを作っている人は、だいたいオレよりいい曲を作るし、才能もあるから、まったく俺はかなわない。ところが、誰ひとりとしてオレに勝ってやろうと挑戦してくる人間がいないんです。手を挙げて「葉山なんてあんなもん、レトロだよ」って言う人間がいないじゃないですか。だから、みんなライバルではあるかもしれないけど……。
−−立候補しないからその存在がわからない、と。
葉山 そう。だから、「この人は!」って存在はハッキリ言っていないですね。そういう人がいれば、もっともっとゲームミュージック界もよくなっていくと思ってるんですが。
−−では、いまからゲームミュージックのクリエイターを目指す人に向けて、アドバイス的なものがあれば是非お願いします。
葉山 オレは人にアドバイスできるような偉い立場じゃないですけど(笑)、もしオレが言えることがあるとすれば、冒頭の話じゃないですけど「スペアーになるな」と。こういう世界で働くのなら、上へ、さらに上へとつねに高みを目指してほしいから。ゲームミュージックのミュージシャンでありながら、社会の歯車になってほしくない。ゲームの企画者や開発者が困るくらいの音楽を作れって。開発者が困るくらいのいい曲を作れる人が増えればな、って思いますね。オレみたいなのばっかり増えてきても困ると思うんですけど(笑)。
あと、ゲームミュージックにしてもゲーム業界にしてもジャパニーズドリームを目指してがんばれ、と。ただその、ジャパニーズドリームって言うと金の亡者みたいに聞こえるかもしれないけど、"心の豊かさ"を求めてジャパニーズドリームを目指してがんばってほしいと思いますね。
−−ゲームミュージック界も一時期あそこまで盛り上がったんですから、またいつか大きな波が来て、そこでジャパニーズドリームを掴む人が出る可能性はありますもんね。
葉山 いまの世代の人たちには難しいかもしれないけど、これから出てくる人たちが、そういうふうにできるかどうか。いや、オレや新しい世代の人たちが、CDを買いに来た人たちがゲームミュージックの棚をサササッと小走りで通り過ぎないでいけるような世界にしなくちゃいけないですよね(笑)。
−−じゃあ、最後に何かひとことお願いします。
葉山 『明日は晴れる』の中身はボーカル曲でJ-POPだけど、CDショップの棚では、ゲームミュージックのコーナーに並んでいますから、ご注意を!! このアルバムは、オレ的には、ゲームミュージックというリングで異種格闘技戦をやっていると思っています。ぜひ、注文して、聴いてください。必ずや、若い大人達の胸に響くと信じていますよ。
※葉山宏治オフィシャルサイト"HAYAMA
NETWORK"はこちら
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