【プレイリポート】不思議な不思議な風になるゲーム、『Flower(仮題)』
【東京ゲームショウ2008】
●独特な浮遊感の秘密に迫る
海外の発表会などでトレーラーを見てから、ずっと気になっていたタイトル。それがプレイステーション3のダウンロード専用コンテンツ『Flower(仮題)』(2009年配信予定)だ。幕張メッセで行われている東京ゲームショウ2008のソニー・コンピュータエンタテインメントのブースでさっそく体験してきたので、どんなゲームだったのか、その模様をリポートしちゃおう。
『Flower』がどういうゲームなのかを表現するのは、何気に難しい。一応、フライトシミュレーターのように空中を自由自在に飛び回ってチェックポイントを通過するようなゲームなのだが、そもそも操作する”自機”のようなものが存在しないのである。見えるのは、プレイヤーの本体となる空気のようなもの(見えないけど)。プレイヤーは風となって空を舞い、草原に咲いている花をつぎつぎと咲かせて行く。花からは1枚だけ花びらが舞い上がり、それを風の本体(でいいのか?)にまとわり着かせながら、つぎつぎと花を咲かせるために空を飛び回り続ける……というゲームだ。
操作は至ってシンプル。なんたって、ボタンひとつしか使わないんだから(○ボタンだろうが△ボタンだろうがRボタンだろうが、どれでも構わない)。風の進むべき方向をSIXAXISの傾きで決めて、好きなボタンを押して前に進むだけ。ボタンを押し続けるとスピードが増し、本当に風になったような気分にさせられる。フワリと宙を舞う浮遊感に合わせて、エキセントリックなBGMと効果音が流れる。背の高い草が生い茂る草原は思いのほか美しく、リアルで、風に草が乱れるときに、見えない風の形が見えるような気がしてしまう。最初のステージはモンゴルの草原を思わせる広大な緑の大地で、ところどころに草の生えていない地帯があり、ここの花を咲かせると、渦を巻くように瞬時に緑の草が生えた。つぎのステージは打って変わってモノクロの世界で、花を咲かせるごとにそのまわりに色が着いていく……という演出が施されている。……こんな表現じゃおもしろさがまったく伝わらないとはわかっているのだが、独特の浮遊感といつの間にかゲームに引きこまれている没入感はかなりのもの。まさにトランス状態で、フワリフワリと空を舞っているような気持ちになる。
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このゲームを作ったアメリカのデベロッパー、thatgamecompanyのケリー・サンチアゴさんに独占インタビューを試みた。じつはこのthatgamecompany、同じダウンロードコンテンツである『FlOw』の開発会社でもあるのだ。
−−じつに不思議なゲームなんですが、この『Flower』のコンセプトは?
ケリー コンセプトは”ポエム”なんです。伝えたいメッセージは、都市や郊外と自然との対立……という感じです。
−−見た感じはゲームというより、”動く絵画”という感じですね。
ケリー ウチはとても小さいスタジオで、スタッフが8人しかいないんです。なのでたくさんのゲームは作れませんから、ひとつの作品をとにかく目立たせる必要がある。目立たせるひとつの方法としてあるのが、いかに美しいゲームを作るか。そういう意味では、絵画的だ、というご指摘はそのとおりだと思いますね(にっこり)。
−−目立つということで言えば、この操作系も目を引きますよ。コントローラーの傾きとボタンひとつですから。
ケリー 操作方法に関しては前作『flOw』のときから考えかたは同じなんです。少しでも多くの人に遊んでほしいので、なるべくシンプルに、わかりやすい操作方法を選びました。画面の表示にしても極力テキストは避けて、見ただけで楽しめるようにしたかったんです。
−−いまふたつのステージを見させていただきましたが、ぜんぜん雰囲気が違いましたね。ステージごとにテーマがあるんですか?
ケリー プレイヤーには各ステージで、別々の感情を持ってもらいたいんです。ゲーム的には、自然が多い地帯から街に近づいていってどんどん環境が変わっていくんですが、その中で自然と発展の調和を感じてほしい。
−−うーん、じつにシンプルなゲームなのに、思想というかテーマは深いんですねえ。
ケリー 重いと感じられることもあるでしょうね。でもこのシンプルさから、いろいろな捉えかたをしてほしいんです。ユーザーが遊んで、おのおのが違う感情を抱けるような自由度の高いゲームにしたいんです。
−−ステージ数はどれくらいに?
ケリー 7ステージになります。
−−それぞれに別のテーマが用意されていると?
ケリー そうですね。そしてそのすべてで、大きなひとつの流れができているんです。
−−どういった遊ばれかたをされたいですか? 僕はやってみて、寝るまえにちょっとこれで浮遊したら熟睡できそうだな……って思ったんですけど。
ケリー 自由です(笑)。すごく新しいものを提供しますので、プレイヤーそれぞれの考えで、自由に遊んでもらいたいです。幅広く、遊んでもらいたいな。
−−なるほど。それゆえに、シンプルなんですね。
ケリー はい(にっこり)。
−−それにしても、この没入感はすごいですね。没入させるために、何か工夫していることはあるんですか?
ケリー 私は『FLOw』を作ったジェノバ・チェンという男性とthatgamecompanyを作ったんですが、彼と出会ったのは大学のインタラクティブ・デジタルアートという学科なんですね。その中で科目として習ったのが、”いかにユーザーを引きこむか”についての方法論なんです。サウンド、ビジュアル、インタラクティブ性の3つをいかに工夫してユーザーを引きこむのか。このときの研究成果は活かされていると思います。
−−学術にのっとったソフトだと。
ケリー 学校で学んだことは全部取り入れています。でもそれだけじゃなく、thatgamecompanyのクリエーターは全員が違うバックボーンを持っているんですね。たとえば私は演劇出身だし、ジェノバ・チェンはアニメに造詣が深い。その要素を持ってきてひとつの作品を作っているんです。そういうものを取り入れているから、ゲームとはちょっと違う感覚を覚えてもらえるのかもしれません。
−−最後まで遊んだとき、何が見えるんですか?
ケリー フォーカステストもやったんですけど、プレイを終えた人に感想を求めたら、やっぱり皆、違うことを答えてくれました。
−−つまり、我々次第だ、と(笑)。ありがとうございました!
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▲『Flower』の試遊台の前でケリーさん。シンプルな操作と美しいグラフィックは、女性にもウケるに違いない。 |
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