アッバス・キアロスタミ、モフセン・マフマルバフとならぶイラン出身の監督、アボルファズ・ジャリリによる旧作2本を同時公開する企画上映。『トゥルー・ストーリー』は、ひとりの少年を追ったドキュメンタリー、『スプリング−春へ』はドラマチックな感動作だ。『トゥルー〜』は、ジャリリ監督が新作の主演少年を探しているときに出会った、足の悪い少年サマドのお話。貧しい彼が、足の治療を受けられるまでを収めたドキュメンタリーだ。いっぽうの『スプリング〜』は、イラン・イラク戦争を背景に、少年ハメドと森番の老人との心の交流を描いた物語。戦争によって離れ離れになった両親を案じながら、慣れない土地で暮らす少年の不安な心理状態を清冽に描き出していく。
じつは'80年代から活躍していたジャリリ監督だが、他の監督作品にくらべると、いささか遅咲きなイメージ。というのもじつは、子供の悲惨な状況を描く作品の多いジャリリ映画は、社会問題を浮き彫りにし、国政に悪影響を及ぼすという理由で、'95年頃まで上映禁止になっていたのだ。それでも、逆境に負けることなく映画を撮り続けてきたジャリリ監督の信念は、並大抵のものではない。それは、来年公開予定の最新作『少年と砂漠のカフェ』が、各地の映画祭で賞を総なめにしていることでも明らかだ。
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