ラストシーンから始まり、事件の核心に向けて時制が巻き戻されていくという画期的な手法を用い、観客を驚かせた『メメント』。本作はこの傑作を撮った新鋭、クリストファー・ノーランの長編デビュー作である。作家志望のビルは、ネタ探しの一環として街に出ては見知らぬ人のあとをつけていた。あるとき、とうとうひとりの男に尾行がバレ、問いただされるハメに。ところが、そのコップと名乗る人物もまた他人の行動に興味があり、なんと留守中の家に侵入する趣味を持っているというのだ。意気投合したふたりは、どんどん背徳行為にのめり込んでいくが……。
当時ノーラン監督は、この映画をサラリーマンをしながら撮ったという。監督、脚本、製作、撮影、編集をひとりでこなし、キャストはオール素人というゼロに等しい予算のなかで、ひたすらギミックにこだわって作った傑作だ。主人公ビルの回想シーンからスタートし、時系が行ったり来たりする手法は、のちの『メメント』の原点ともいえる。『メメント』で記憶力を試されたつぎは、『フォロウィング』で集中力を活性化させよう。
|