1972年に起きた、日本の事件史史上最悪の出来事あさま山荘事件。本作は、この事件を引き起こす発端となった、連合赤軍内部の集団リンチ事件を、現代の若者たちが映像化しようと試みる物語だ。連合赤軍が14人の同志を殺害した30年前の事件を描いた立松和平原作の小説『光の雨』。駆け出し映画監督の阿南は、この小説の映画化作品を監督していた先輩の樽見に、メイキングフィルムの制作を依頼されていた。役者のオーディションからロケ現場まで、製作班の一員として映画完成までのプロセスを一部始終カメラに収めていく阿南だったが、ある日、突然樽見監督が失踪し、阿南が代わりにメガホンを取ることになり……。
かの一大事件を映画化していく過程、それに付随するトラブルを通して、事件当時の若者たちの理想と現実が改めてひも解かれるとともに、それを演ずる現代の若者とのギャップが自然に浮き彫りになっていく。「世の中を平和にしたい」という強い志から、思想に反する同志たちを「総括」、「粛正」の名のもとに、つぎつぎとリンチにかけていった連合赤軍の若者たち。そんな実在する彼らが映画に「実名」で登場することもあり、最初は軽い気持ちで撮影に望んた若い役者たちも徐々に心境が変化していく。物語が進むにつれ、当時の若者と自らが生きる現代の若者の心境がオーバーラップし、自分たちの演じる役柄への思い入れが強くなる役者たち。初期の演技が徐々に鬼気迫るものに変わっていく……。見事にスクリーンに描かれる演技の変化、現場の雰囲気の変化が見どころのひとつとなっている。同時にひとことでは語れない事件の根の深さを本作を観るものにも問題提起していくことになる。
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