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下山天監督インタビュー
2001/1/11
 "サウンドノベル"という特殊なスタイルを持つゲーム作品を、最新のデジタル技術と独自のノウハウにより、みごと映像化した下山天監督。果たして、『弟切草』はどのような映画となったのか? 監督本人に直撃だ!

下山監督
下山天プロフィール

1966年青森県出身。高校時代から自主制作映画を撮りはじめ、在学中に上京、テレビ現場に潜り込む。映画の助監督や撮影助手を経て、ミュージック・ビデオの世界へ。90年に久保田利伸の『BE WANABEE』を監督し、以来B'z、桑田佳祐、Kinki Kidsらのビデオクリップを手掛ける。
映画監督としては、97年に『CUTE』がデビュー作品として公開されたあと、続いて98年には第2弾作品『イノセントワールド』が完成。渋谷の単館系劇場で上映されたのち、全国10都市で公開された。現在は、映像ジャンルを問わず、企画・脚本・撮影・編集・演出すべてに取り組んでいる。本作『弟切草』は、劇場用映画として第3作目となる。
好きなゲームは『A列車でいこう』シリーズ

−−『弟切草』のゲームはプレイされましたか?

下山
:7〜8年前、スーパー・ファミコン用ソフトとして発売された頃に、ユーザーとしてプレイしました。当時はシューティングとか、単純なシミュレーションみたいなゲームしかなかったから、こういった(『弟切草』のような)ストーリーメインで進行していくゲームというのが目新しくて。結構ハマリましたねー。

−−実際に映画化の話が来たときは、どんな印象を受けましたか?

下山とにかくビックリしましたね。普段、小説なんかを読んだりすると、「あ、こんなの映画にしてみたいな」って思うことはあるんですけど、『弟切草』に関しては、ゲームってことでまったく別物として考えてましたから。とくにこのゲームは、ユーザーの任意で変わっていくシナリオとか、いわばインタラクティブな作り方してますし、まさかこれを映画にできるなんて夢にも思っていませんでしたよ。それが、いまになってこういう話をもらって、最初はやっぱり「え?」って感じですよ。さて、これからどーしよーかっていう。

下山天監督
−−でも、そんなバーチャルなゲームの世界を実写で撮らなければならなくなったわけですよね。そういったこともふまえて、撮影で苦労したことってありますか?

下山さっきも言った通り、『弟切草』というゲームの特徴は、マルチエンディングにみられるストーリーの多様性です。プレイしながらユーザーの選択肢によっていろんな物語になっていくっていう。まずは、その部分をどうやって映画に生かすかで悩みました。というのも、今回の『弟切草』は8年も前のゲームだし、話としてはすでに風化されたものだと思うんです。だから、ストーリーを単純に映像化しただけのものなんて、観客は望んではいません。実際、過去にゲームから映画になった作品って、そういうのが多かったし。そうなると、これはちょっと新しいことやらないといけないな、と。そういった思いで、映画でしかやり得ない表現法を考えながら作りました。

−−たとえば?

下山RPGなどでは、自分とゲーム中のキャラを多少だぶらせることによって、ゲームの世界により深く入っていけるという楽しみ方ができる。その辺をふまえたうえで今回は、主人公の奈美だけを積極的に動かすのではなく、お客さんも彼女と一緒に行動しているような見せ方を考えてみたんです。まさにゲーム感覚で。

−−今回、撮影に家庭用のデジタルビデオカメラを使っていますよね。それも見せ方として工夫のひとつなんですか?

下山はい。実は今回、映画のなかで『弟切草』ってゲーム自体を、設定としてそのまま使わせてもらっているんですよ。ですから、映画でもゲーム同様、奈美は公平といっしょに屋敷内を探索するっていう大筋はいっしょ。その際に、斉藤陽一郎扮する公平にデジタルビデオを持たせてみたんです。で、その公平が撮影する映像を使うことによって、彼の視点がそのまま観客の視点ということになるわけです。つまりお客さんは、ゲームをプレイする感覚で、奥菜恵演じる奈美とともにストーリーを追っかけられるっていう。デジタルビデオは、フィルムカメラと違って手軽なので、このように効果的な使い方ができるんですよ。

下山天監督
−−『弟切草』といえば、あのドキッとさせられる効果音ですが、映画でも音にはこだわっているんですか?

下山映画でしかできない音づくりを目指しました。実は先日、このお話をもらってから、PS版の『弟切草』をプレイしたんですが、そのときにデュアルショックのアナログコントローラーを使ったんですよ。で、怖い場面で"ブルブルッ"と振動が伝わってきて、これに意外とビックリさせられたんですよね。で、まあ、これにヒントを得て、こんな具合に恐怖を体感させられたらどうだろうかと。かといって、客席に雨を降らせたり、シートをバターンと倒すわけにもいきませんから、今回はドルビーの5.1チャンネルっていう、最新のサラウンドシステムにこだわってみたんです。これを用いることで、スクリーンに向かって座っている観客の背後に、なにかを存在させたり、気配を感じさせることができるんです。とにかく体感させるっていうことにこだわったので、これがむしろゲーム以上の臨場感、音になったんではないかな、と思います。

−−下山監督といえば、ミュージック・ビデオ界で有名ですよね。音楽を映像で表現するミュージック・ビデオ制作と、今回の『弟切草』というゲームの世界を、映像に変換した作業の違いってなんでしょう?

下山ボクのなかでは、もはやゲームとか映画とかっていう区分けはまったくありません。あるのは、ボクがこれまで培ってきたいろんなクリエイティビティと、世間にあるさまざまな材料を駆使して、人々を感動させたいってことだけです。最初っから映画という枠の中だけで、映画だから何を撮るか、っていう狭い発想は、もうボクの頭のなかには無いですね。

−−公開前に聞くのもなんですが、やはり気になるのはラストシーンです。マルチエンディングはどのように生かされているのでしょうか?

下山実は、そこが一番苦労しました。マルチエンディング感は出したつもりですけど。でも、ラストだけマルチじゃおかしいので、最初っからストーリーを二重三重構造にして、あらゆるところに伏線を張ってます。つまりどの場面でもラストシーンになりうるっていう。映画を見ている人が、ここがそうだ、と感じて納得した後に、またオチが来たりとか。映画でしかできないマルチエンディングが作れたな、と思ってますが。

−−それって、毎回プレイするたびに違う楽しみ方が味わえたゲーム同様、映画も2回3回とリピートして見た場合、違ったものが見えてくるっていうことですか?

下山そうです。具体的には、人の動体視力を利用した効果を随所に差し込んであって、2回目に見たときには1回目では見えなかったものが見えたりするとか。結構そういったところでカメラワークを駆使しましたね。

下山天監督
−−遊び心いっぱいですね。では、最後に監督なりの見どころを教えてください。

下山すべて。と言いたいところだけど、やっぱり主演の奈美を演じた奥菜恵さんの演技でしょうね。実は今回、奥菜さんにはひとりふた役をやってもらってるんです。奈美がふたりいて、それぞれバーチャルと現実のふたつの世界に生きてるっていう設定。彼女といっしょに不思議な空間にはまってもらえれば、きっと楽しめるはずですよ。あとは、ボクのしかけたマルチエンディングのトラップに、引っかからないように注意してもらえればOKですね(笑)。

下山監督からのメッセージ
映画への意気込みを語ってくれた下山監督から、ファミ通.com読者へメッセージをいただいてきた! ここではインタビューで語り尽くせなかった『弟切草』の魅力を、監督本人が話してくれているぞ。さあ、さっそく右のボタンをクリック!


※なお、下山監督のインタビューおよび今回の『弟切草』特集は、CSTV番組『i-CHOP!』でも放映されます。映画の予告編や、奥菜恵インタビューなど盛りだくさんの内容。『弟切草』を見る前にぜひともチェックだ!
■i-CHOP!
放送日:1
月12日(金)23:30〜24:00
再放送:13(土)25:00〜25:30/14日(日)22:30〜23:00

全国のケーブルテレビ局・スカイパーフェクTV(276Ch)、キッズステーションで絶賛放送中
・ホームページ

http://www.famitsu.com/media/ichop/043/index.html


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