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ニュース 宮崎監督アニメを語る 『千と千尋』ベルリンから凱旋
2002年2月19日
 第52回ベルリン国際映画祭で、日本の作品として39年ぶりに最高の栄誉"金熊賞"に輝いたアニメ映画『千と千尋の神隠し』(→関連記事)。その報告をするため、宮崎駿監督と、ドイツから帰国したスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー、ならびにスティーヴン・アルパート海外事業局長が2月19日に緊急記者会見を開いた。


 「ベルリンにはたった3日間いただけですが、朝から晩まで取材攻勢でうれしい悲鳴でした」という鈴木プロデューサーは、「アメリカでの評判がいまひとつだったので、ヨーロッパで理解されてひと安心です。でも、どうも外国で評価されるかどうか心配していたのは我々だけのようで、向こうの方々はむしろ、自分が感じた楽しさをどう表現するかに苦労している感じですね」と、充分な手ごたえを感じた様子。アルパート局長も「審査員の方々に聞いたんですが、『千と千尋の神隠し』はかなり遅い順番で審査されたそうです。でも、ひと目見た瞬間に疲れが吹き飛んだ、と言ってくれました」と、今回の快挙に満足気だった。

▲ベルリンでの体験を語る鈴木プロデューサーとアルパート局長。

▲金熊賞のトロフィーを受け取る宮崎監督。
▲「それにしても重いねぇ」(宮崎)「材質がいちばん気になるところです」(鈴木)というやりとりで会場を爆笑させた両氏。
 日本で受賞の朗報を聞いた宮崎監督は「公開した瞬間に、すでに作り手としては報われてますから、特別な感慨みたいなものはないですね。だいたい、40歳くらいのときにもらえていたら今後に生かしようもあるけど、今さらねぇ(笑)」と淡々としたコメント。続けて「本来『千と千尋の神隠し』は日本の観客に見てもらうことしか考えてませんでしたから。海外でウケても単純にボーナスだと思ってます。評価されても『あーそうですか』みたいな感じ」と語り、さすがの貫禄を見せた。

 会見での質問で、日本のアニメーションに対する見解を聞かれた宮崎監督は「先日も東京都や杉並区が率先してアニメ事業を盛り上げようとしていましたが、僕に言わせれば日本のアニメはどんづまりですよ」と、意外な発言。さらに高ぶった口調で「たとえば庵野(秀明)監督が自分から『僕らは先代の作品を模倣してばかりいるコピー世代。でも、僕らのあとに続いているのはコピーのコピー、そして今やさらにそのコピーの時代なんですよ』って言ってましたが、その通りに事態は深刻だと思う。だいたい、ジャパニメーションなんて言っていい気になってますが、実態は過度の暴力・セクシャル描写があるだけで評価にも値しない。うかつに海外に広めても結果的に恥をかくだけですよ」とまくしたてた。

▲「日本は危機的状況」と警鐘を鳴らす宮崎監督。
 続けて「現代日本におけるアニメ文化のありかたは?」と問われた宮崎監督は「僕が高校くらいのときは『いい年して漫画読むのはバカ』という風潮があったし、大人のほうでも漫画の悪影響を論じていた。まぁ表現のことまで踏み込むのはどうかと思いますが。でも今や、サラリーマンが電車で漫画雑誌を読む時代です。ゲームにしてもほとんど無抵抗で受け入れている。それが子供にどんな影響を与えるか、みんな理解してないですね」と分析。「たとえば『となりのトトロ』を1日に5回も見てる子供がいる、なんていう話も聞きますが、自分たちで売っておいて何ですけど『そんな時間があったら外で遊べ!』と言いたい。僕自身すごくジレンマがあるんですが、それだけの時間で体験できることのほうが貴重ですよ。アニメやゲームに熱中しすぎるのを大人なり親が止めなきゃダメでしょう。親や地域が、それに代わって子供の想像力を生かせる空間を作らなきゃ、と思う」と熱く語った。

 最後に「そもそも賞をもらうためにがんばったつもりもないし、今回にしても向こうの子供がほめてくれたわけじゃない」と、受賞の心境を締めくくった宮崎監督。「まぁ、より多くの子供たちが見てくれるチャンスができたという意味ではいいことだし、素直にうれしいです」と感想を語った。

 今回の快挙を受けて、国内でも3月9日から受賞記念拡大ロードショーが決定した『千と千尋の神隠し』。宮崎監督の熱いメッセージが、今後も日本全土を席巻する!

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