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岩井俊二監督が考える映画のデジタル化 |
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| 2001年11月2日 |
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| ▲テレビでも常にフィルムっぱさを追求してきた岩井監督。監督の手法は90年代初頭のテレビ界では、異端の存在。ゴールデンタイムのドラマのときは局から待ったがかかったが、「聴かなかったことにしてもらった(笑)とのこと。 |
映像表現と技術の最前線レポートを目的とした東京国際映画祭おなじみの企画"国際映像シンポジウム"。今回は昨年に引き続き"デジタル"をテーマに各種シンポジウムやパネルディスカッションなどを開催。映画祭6日目にあたる11月1日には、その"国際映像シンポジウム"に、現在公開中の映画最新作『リリイ・シュシュのすべて』で最新型デジタルハイビジョンカメラを駆使した岩井俊二監督が登場。岩井作品ではおなじみの撮影カメラマン、篠田昇氏とともに"デジタル"への取り組みを語った。
'94年の作品『undo』で映画の世界にはじめてノンリニア編集(パソコンを使ったデジタルの編集手法)を取り入れ、デジタルエイジのクリエーターと称される岩井監督は、今回の映画を撮る際に『スター・ウォーズ
エピソード2』でジョージ・ルーカス監督が取り入れているものと同じデジタルハイビジョンカメラ"HD24P"を使用した。もともとミュージッククリップやテレビドラマを撮っていた際にもフィルムっぽい映像を追求してきた岩井監督が『リリイ・シュシュ〜』と撮るのにあたり出会ったのが、この最新鋭カメラ"HD24P"だった。
"HD24P"では、コマ数がフィルムとまったく同じ正真正銘の24コマになったのと同時に、走査線のアップで映像のきめ細かさがフィルムと比べて遜色なくなった。テストの結果、劇場の大スクリーンでの上映に耐えると判断し、導入することになったという。今や映画の人となった岩井監督が、デジタルの最先端技術を駆使することによって再びビデオカメラによるフィルムっぽさの追求をすることになったわけだが、実は監督自身「狙ってデジタルを駆使しているのではない」という。
「映画が評論されるときに、ストーリーがどうだとか単にあのシーンがきれいだったということは語られるけど、技術的なことを語る人はいない。でも作り手としては作品作りのために単純には技術もストーリー作りや絵作りと三位一体で、必要だったというだけです」と岩井監督。「例えばドライブに行って、彼女が横にいたりして、『この景色きれいだね』だとか言ってたりしていても、実はその裏で(車という)メカを扱っている。ガソリンがあとどれくらいだとか、何km走ったとかも実はしっかり意識しながら……。映画作りに"デジタル"を取り入れるのってそんな感覚に似ているんじゃないですかね」と岩井監督らしい繊細で粋な例えを用いながら、自らのデジタルへの取り組みを説明した。
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| ▲岩井俊二といえば篠田昇。『Undo』、『PiCNiC』、『スワロウテイル』、『四月物語』……この2人のコンビが数々の岩井ワールドを作り出してきた。 |
もともと映画畑で、フィルムでの撮影を長年してきた篠田撮影カメラマンもそれに同意し、「デジタルで撮るってことに意味があるわけではなくて、こう表現したいっというときにどこまでできるのかでマシンが決まる。ぼく個人としてはフィルムの表現力、進歩に少し限界を感じていたときにデジタルに出会った。非常に可能性を感じたんです」と語った。
一方でデジタル技術の進歩により、プロフェッショナルな映像が簡単に撮れることになってきていることについて、「便利になりすぎると作家のクリエーションに対する興味がなくなっていくのではと心配」との危機感を明かした。ストップモーションの主人公の周りをカメラの視点が回転していく斬新な表現が話題となった『マトリックス』を例にあげて、「あれって写真の連続撮影を使ってるんだけど、(デジタルで映像作りが簡単になっていっている傾向に反して)実は手間がかかるんですよ。作り手としては結局、思想より手先の快楽だったりするんですよね。作り上げて心地いいっていう……」と岩井監督は作ること、苦労することの喜びを語ったのだ。
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| ▲次回作について水を向けられると「予定は今のところない」と岩井監督。「映画作りは恋愛みたいなもので、ふとした恋心がないとモチベーションが上がらない」のだとか。 |
「実は映画の歴史はまだ100年足らず20年周期で変革がきてるんです。安定期にいる人は変革に否定的になりがちだけど、ひるんでる場合じゃない。映画のテクノロジーが止まったら、あとは古典芸能になるしかない。歌舞伎とか音楽でいう"クラシック"のように。それでよければいいけど、"映画"はいつでもホットであるべきだと、ぼくは思ってます」と岩井監督。「実は(テクノロジーについていくことは)しんどいと思うこそもあるんですけどね。もう止めて〜って」と笑いながらも、映画の発展のために"デジタル化"を今後も受け入れていくべきとの見解を示した。
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