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ニュース デジタルは是か否か? 大物映画監督らがトークショー
2001年7月23日
▲ズラリとそろった日本映画界の重鎮たち。トークショーのテーマ"ハイビジョンカメラ"について熱く語っていた。
 日本を代表する4人の映画監督たちが、デジタル・プログレッシブ・ハイビジョンカメラを使って撮影した映画を、一挙に上映する特別プログラム『ハイブリッド・ムービー2001』が、現在東京のBOX東中野で公開中。これを記念し、実際にこれらの映画を撮った4人の監督が、7月21日に上映館でトークショーを開催した。


 出席者は、篠原哲雄監督(『女学生の友』原作:柳美里)、長崎俊一監督(『柔らかな頬』原作:桐野夏生)、大森一樹監督(『最悪』原作:奥田英朗)、そして大林宣彦監督(『告別』原作:赤川次郎)というそうそうたるメンバー。トークショーでは、ハイビジョンカメラを使った感想などが、各自より語られたのだ。

 今回の上映作品は、すべてテレビのBSデジタルハイビジョン放送用に制作されたもの。じつは、このことにより、残念ながら大森監督の『最悪』だけは、映像権の問題で劇場上映することが不可能になってしまった。これについて大森監督は、「この原作はスゴイ人気で、各社が映像権を競り合いました。映像権は、テレビ化権と映画化権の2種類が発行され、ボクのはテレビ化権で作ったのです。だから映画館では流せないんですって。でも、ボクにしてみればメディアなんてどうでもいいんですよ。作品はひとつの映像ソフトとして扱ってほしいですね」と、上映できなかった理由を口惜しそうに述べた。

▲「テレビ世代にとっては、フィルムでもビデオでも気にならない」と、革新的な考え方の大森一樹監督。 ▲日本屈指の映画監督大林宣彦。映画界へのデジタル時代の到来を真摯に受け止めている。

 ハイビジョンカメラは、ビデオにも関わらず、映画用フィルムと同じく1秒間に24コマの撮影ができるというデジタルカメラ。デジタルなので、1フレームのなかにこれまで以上の映像情報を入れることができるので再現力に優れている。実際の映像は、フィルムとビデオのちょうど中間くらい。遠くの色もクッキリと画面に映りこむ。このカメラを使って撮った感想を大林監督は、「昔、8ミリカメラで映画を撮っていた少年時代に戻ったような気がした。この新しいカメラで何ができるのか、久々に冒険したくなったよ」と、嬉しそうに語っていた。

 また、このカメラはデジタルなのでパソコンで編集作業が簡単に行えて便利、という意見も飛び出した。しかし、これを受けて大森監督が「便利さに甘んじているようではいけない」とやんわりと非難。「フィルムの編集は、1回ハサミで切ってしまったらそれで終わり。取り返しがつかない。パソコンやデジタル編集だと、何度もやり直しがきく。でも、やり直せないんだ、という緊張感をもってないとダメ」(大森監督)。

▲ブレイク前の山崎まさよしを主役に起用した『月とキャベツ』でおなじみの篠原哲雄監督。最新作はお正月公開の『蝶の住む家』。 ▲「ボクは撮影している最中に作品のイメージが変わっていくタイプ。だからデジタル編集はありがたいね」という長崎俊一監督。『死国』を撮った奇才。

 大森監督のこの発言から、トークショーは一気に白熱。自前のマッキントッシュで自ら今回の編集を行ったという長崎監督は、「作品の均質化と技術は別もの。何度もやり直しができるってことは、それだけ可能性も増えるってことだ。大事なのは、技術やメディアではなく"何を撮りたいか"ってことだよ!」と、熱く激論を飛ばしていた。

 「このままいくと、将来ボクらはフイルムの感覚など忘れてしまうかもしれない」と、篠原監督が述べていたように、映像の世界も日々進化を遂げている。監督たちの表現手段のひとつとして、今回ハイビジョンカメラという新しいメディアが加えられたことで、日本の映画界がますます活気づくことに期待したい。

【作品紹介】
movieピックアップ『ハイブリッド・ムービー2001』

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