『ダイナソー』インタビュー

ベイカー・ブラットワース
 CGでリアルに再現された恐竜たちが、太古の地球を舞台に、ところせましと活躍する映画『ダイナソー』。みごとな質感のグラフィックと、表情豊かに演技する恐竜たちなど、見どころ満載の映画だ。今回お送りするのは、共同製作としてスタッフに名を連ねている、ベイカー・ブラッドワース氏へのインタビュー。撮影現場の舞台裏まで知りつくしているブラッドワース氏から、撮影秘話を聞きだそう、というわけ。CGと実写フィルムを融合させた驚異の作品『ダイナソー』の裏側に、いまメスが入る!

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『ダイナソー』誕生秘話

−−まず最初におうかがいしたいのですが、ブラッドワースさんは共同製作というかたちで映画製作にたずさわっていらっしゃるわけですが、具体的にはどんな仕事をなさったのでしょうか。

ブラッドワース(以下敬称略) 簡単に言えばプロデューサー業なんですが……ただ、『ダイナソー』は非常に巨大なプロジェクトでしたので、その仕事をこなす人間も、私とパム・マースデンのふたりが必要でした。パムのほうはストーリーや演出面を管理して、私は撮影やデジタルスタジオの調整や管理、それと予算の調整などを行っています。

ブラッドワース氏
−−なるほど。ではCG部分に関してはブラッドワースさんが手がけていらっしゃるわけですね。

ブラッドワース ええ、そうですね。

−−さて、今回はディズニー映画初のCGメイン作品となったわけですが、その題材として恐竜を選んだのは、なにか理由があるんでしょうか。

ブラッドワース じつは、もともと『ダイナソー』の脚本は1988年の時点で完成していまして、ポール・バーホーベン監督、アニメーターのフィル・ティペットのチームで映画化するプロジェクトはあったんです。
 ただ、当時はCG技術もそんなに発達していなかったので、一時中断されていました。ですが、1994年になって、ふたたび企画が持ち上がったときには、すでに技術が追いついてきた、というのもあって、チームも一新してプロジェクトを再開したわけです。だから、はじめに企画ありき、ということで、意識的に恐竜をテーマに選んだつもりはないんです。

−−そのオリジナル版の脚本だと、巨大隕石が落下して恐竜たちが全滅する、という結末だったはずですよね。映画では隕石落下は冒頭のエピソードに変更されていますが、なぜなんでしょう?

ブラッドワース たしかに、もとの脚本では恐竜が絶滅して終わっています。ですが、さすがにそのままだと、あまりにも悲しすぎる、と判断しましたので……。観客のみなさんにも「もしかして隕石が衝突したあとも生き延びていたのかもしれない」という希望を抱かせるように変更することにしました。じっさい、ある学説では、隕石衝突のあとにも、15万年以上恐竜が生存していた、としています。『ダイナソー』では、その説を採用することにして、隕石の衝突もストーリーの前半部にもってきました。もちろんラストも変更しています。

恐竜がしゃべるのは是か? 非か?

−−『ダイナソー』では恐竜たち自身が演技をしていますが、演出とはいえ、恐竜が人間とおなじようにしゃべる、というのには賛否両論あったのでは?

ブラッドワース その点は、やはり何回も話しあったところですね。ただ、セリフなしだと、我々のメッセージやストーリーが観客に伝わらない、というのはわかっていました。まず考えたのは字幕ですが、それはどうもうまくいかない。それで、試しにに恐竜の顔を動かしてみたら、案外うまくいったわけです。そこで、どうせやるなら恐竜にしゃべらせちゃってもいいのかな、と。そのかわり、というわけではないんですが、オープニングシーンでは、恐竜にしゃべらせずに、当時の情景を描写するのにとどまっています。

振り返るアラダー
−−顔の表情についてはどうだったのでしょうか。

ブラッドワース 顔の表情も、やはりストーリーを演出するためには必要だったと思います。従来の恐竜映画では、人間がいっしょに登場していたりして、恐竜はけっきょく"怪物"というあつかいでしか表現していませんでした。

−−最近では『ジュラシックパーク』などもそうですね。

ブラッドワース ええ。ですが『ダイナソー』は、本当に恐竜だけの、恐竜の映画になってます。だから、恐竜の気持ちをさぐるような手法も必要になったわけです。今作のCGは、そういった作品に必要な、とても微妙な表現を実現していると思います。本編中では、セリフ抜きで恐竜の心情を表現する場面が随所にあります。たとえば、序盤、主人公アラダーの住んでる島に隕石が落下して、やむなく避難したところ。なんとか海を渡って、アラダーがふと振り返ったとき、自分の故郷が消滅してしまった、というシーンですが、そのときのアラダーの、すごく悲しげな表情だけで、気持ちをくみ取ることができる象徴的なシーンだったと思います。


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