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DATA |
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| ■監督/須賀大観 ■出演/伊藤英明、真田麻垂美 ■配給/スローラーナー ■上映時間/1時間48分 |
| ■STORY 彼女にも呆れられるほどのフィギュアコレクターであるユウジ。彼は伝説のアクションフィギュア”ヘルバンカー”を探し求めているのだが……。 |
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映画を観ていると、面白いとか、つまらないという”場所”を超えて、何か本当のことを観たり、わかったりしたかのような気持ちが訪れる瞬間が確かにある。それが幻想なのか、ただの思い込みなのか、結局のところは、まだよくわからないのだけど、今回の『ブリスター!』もそんなことを確かに感じさせてくれる作品だ。少なくとも、そう感じた以上、ふつうの言葉でしっかりとその感覚を刻んでみる。
この作品に登場するのは、フィギュアコレクター、ロボットマニア、SFマニアといった人々。いくらアクションフィギュアやおもちゃがファッションアイテムのひとつとして認知されても、コレクターやマニアという存在はまだまだ世間的には負の存在である。
そんなコレクターやマニアの姿を描いた映画の制作者たちも、おそらく物凄いマニアである。それは劇中のセリフや設定から、はっきりとうかがえる。だが、それだけではない。彼らは多分、コレクターやマニア、つまり自分たちが負の存在であるということをはっきりとわかっている。ここまでなら、一般のコレクターたちにもわかる。でも、この映画の制作者たちは、自分たちが負の存在でありながら、それにとどまらない、武器ともなり得る何かを抱えていることも、しっかりと認識している。だから、単なるマニアたちの日常描写の域には留まらない、こんな映画を作れたのではないだろうか?
たとえば『ファイトクラブ』はブラピ映画の振りをしつつ、反社会的な存在であるということについて、真剣に考えさせる映画だった。本作も表層的にはコレクターのオシャレな日常を描く振りをしつつ、じゃあ、集めてるお前は結局どーなるんだ、何なんだ、ということを真剣に語っている映画だ。
どんなにスタイリッシュな映像を駆使しても、女の子に人気のある伊藤英明や山崎裕太がマニアの若者を演じても、コレクターやマニアの存在、その行為が「社会的には負である」という印象は絶対にぬぐい去れるものではない。こんなことを書いている僕も、どーしようもないほどの、映画、音楽、そしておもちゃマニアだ。女の子と素敵な映画を観れば、ほかの楽しみも忘れて、延々と映画の話ばかり。持ってるレコードをしょっちゅう間違ってもう一枚買ってしまう。ずっと捜していたアルバムを西新宿のレコード屋で見つけた時、僕は本当に失禁しそうになった。また、もの凄く高価なトイだって、後先考えずに買ってしまう。こんな風に、マニアックなエピソードには事欠かない。本当にしょうもないと思う。でも、本当にしょうもないだけなんだろうか?
「ただ集めるだけでは、無駄な肉と同じだ。手に入れた物から何かを得なければ意味がない」、「おれたちは間違っていない」、「昔から世の中を動かしてきたのはマニアだった。アインシュタインは物理マニアだったし、コペルニクスは天文マニアだった」。こんなセリフを、コレクターたちが劇中で語る。
この言葉に、この映画のすべてがある。コレクトするという消費行為に溺れるだけで、お前は本当に満足できるのか?
その行為から沸き上がってくる得体の知れない自分の感情に、どういった落とし前をつけるべきなのか? 乱暴に言ったら生き方レベルの問い。お前は何すんの? どうしたいの? そんな感じ。コレクターやマニアに対するそれらの問いに、ひとつのヒントのようなものを『ブリスター!』は見せてくれる。そして、そのヒントはマニアやコレクター以外の人たちにも、ちゃんとした強さと誠実さを抱えて届くレベルのものだ。
家財や車を売っても、大好きな彼女に殴られても、幻のフィギュアをゲットしようという、他人から見たら無意味で非生産的な行為。これが、大切な彼女への愛を再認識したり、はては遠い未来で世界の滅亡を救うことにまで、この映画では見事に直結する。こう書くと大げさに感じるかもしれないが、本当にそこまで物語はしっかりと繋がっていく。ある意味、人の生き方を問う壮大なSFであるとも言える。
もちろん僕はコレクターやマニアの、集めるという行為のみで完結する、閉じた満足を一切否定しない。それで得られる快感に関しても、かなり高いレベルで体感しているつもりだ。でも、結局それはギリギリの、本当の満足や快感には程遠いのだと思う。劇中でも職場のお金を横領してコレクター道を驀進していた男は、結局寂しく姿を消す。対象的に、集めるという行為から何かを得て、一歩踏み出した人たちは、それぞれに成功や、本当にひとつしかない大切なものを手に入れる。おまけにそれは、世界を救うレベルのものだったりする。
もちろん。すべてが映画みたいにうまく行くわけない。でも、もっと素敵な凄くワクワクする方向をちゃんと向くこと。そして、そこに向かってちょっとだけでもあがき続けること。これってやっぱり必要なことなのではないだろうか?
集めるだけでなく、そこから何かを得て産み出す。もしも、いつかそういうことができたら本当に素敵だと思う。少なくともこの映画が作られたということで、ひとつは産み出された訳だしね。
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