文=国領雄二郎(週刊ファミ通編集部デスク)
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週刊ファミ通デスク・国領雄二郎が、毎週1本劇場公開中の映画を題材に、その作品の魅力や、僕たちの暮らす世界について語り尽くすコラム! |
●信じることで輝くこの世界
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■監督・出演/エドワード・ノートン ■出演/ベン・スティラー、ジェナ・エルフマン ■配給/東宝東和 ■上映時間/上映時間2時間9分
■STORY ニューヨークで生まれ育った幼馴染のジェイクとブライアン。30歳を過ぎても友情を育む彼らの前に、幼馴染のアナが素敵な女性に成長して現れる。 |
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今回はエドワード・ノートンが初めて監督を手掛けた恋愛映画『僕たちのアナ・バナナ』を、ちゃんとただの言葉で刻みます。
この映画、言ってしまえば、本当にありがちな恋愛映画である。本当に仲の良いふたりの男。そこに現れるひとりの美しい女性。当然のごとくふたりは彼女に恋をする。そこから、様々な問題が3人の間に持ちあがる。その様子が、ニューヨークの大都会を舞台に笑いとともに描かれる。
これだけだと、テレビドラマなんかにありがちな安易な恋愛ものをイメージしてしまう。でも、本作で描かれるのは、それだけじゃない。宗教や友人、好きな人に対するずっと変わらない信頼というもの、つまり大切な人を信じるということが真正面から描かれる。
本作はエドワード・ノートンの母である故ロビン・ノートンに、こんな言葉と共に捧げられている。「みんなのことを信じてくれたロビン・ノートンの思い出に」。おまけに本作の原題は『Keeping
the Faith』。この作品においては、「信念を守る←つまり信じる」とか、「ちゃんと思いつづける」といった意味だろう(もちろんほかの訳も可能だろうけど)。
これらのことが暗示しているように、本作はおしゃれな恋愛映画のスタイルをとりながら、信じるということはどういうことかを、しっかりと描いた作品になっている。主人公のブライアンはアイルランド人で、カソリックの神父。親友のジェイクはユダヤ人でユダヤ教のラビ。ふたりは互いに自分の信じる宗教を現代向けの親しみやすいものにアレンジし、人々の助けとなるものにしようとしている。このふたりの、信仰に対する真剣な姿勢も、笑いを交えつつ描かれる。
だからといって、宗教映画的な側面はゼロ。ただ、どんな信仰を持とうと、信じて祈ったり、願ったりするのは、決して無駄なことではない。ふたりの姿から、それだけははっきりと僕たちに伝わってくる。
そんなふたりの信念や関係も、ひとりの女性の登場によって揺らぐ。彼女のために、カソリック神父としての自分を捨てようとするブライアン。アナと愛し合っているのに、ユダヤ教ダビとしての建前にこだわり、彼女と別れようとするジェイク。このように、信じるということを軸にして、3人の危うい関係が描かれる。
アナとの再会によって、ブライアンとジェイク、そしてアナにも過酷な試練が訪れる。それを乗り越えていく力となるのは、宗教における信仰とは、まったく違う次元の「信じる」ということだった。それは、陳腐ではあるが、とても大切なもの。「3人の変わらぬ友情を信じ続ける」という思いだけだった。
何度も書くけど、パッと見はオシャレな恋愛映画。セントラルパーク、ニューヨークの美術館、公園、カフェ、レストラン、スタイリッシュなアパートメント。いくつものパーティー。見ているだけでわくわくするような素敵な場所が、いくつも映し出されて、僕はそんなロケーションに圧倒される。「ニューヨーカーって、ダサい俺たちに比べて、なんて素敵なんだ。やっぱニューヨークって素敵な街だ」。そんなこと考えてたらタメ息が出た。
まったくもって冴えない僕。どういうわけか、仕事もプライベートも、体調まで最悪。だけど、このダメさ加減は肌の色やライフスタイルの違いからくるものではない。
この作品の登場人物たちが、どんな状況に陥っても絶対になくさない「信じること」。それが、多分、僕にはまだまだ足りない。だから、ちっとも輝かないんじゃないのか。
ニューヨーク。素敵な街。ただ素敵なだけじゃなくて、信じてる人がいることで、ちゃんと街が輝いてた。ブライアン、ジェイク、そしてアナ。この映画の3人のいる場所には、「信じる」ことが確かにちゃんとあった。3人とも、どんな場所にいても、どんな状況でも、ちゃんと自分自身の大切なものを信じてた。それは簡単なようで、とっても難しいことだ。
ここは東京で、僕はここで暮らしてる。遅れ馳せながら、僕もちゃんと始めようと思う。年齢は偶然にもブライアンやジェイクと同じ。恥ずかしい話だが、ジェイクやブライアンのような友人はひとりもいない。仕事に対する自信もない。アナみたいな素敵な人は、いったいどこにいるのか、どこに行ってしまったのか、そんな感じ。ボロボロのアパートメント。どう考えても、まったくもって厳しい。でも、ひとりぼっちでも、ちゃんと始めてみよう。そんでもって、いつの日か、なんかちょっとでも上手くいったらいいな。そしたら、ここが、ニューヨークよりも、ずっと素敵な場所だって、大声でちゃんと言ってやる。
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週刊ファミ通編集部:国領雄二郎
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