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国領雄二郎の明日死ぬならこの1本
特別編 今年、心を振るわせた作品10本を振り返る
2000年12月27日
文=国領雄二郎(週刊ファミ通編集部デスク)
週刊ファミ通ではクロスレビュアーとしてもおなじみ

週刊ファミ通デスク・国領雄二郎が、毎週1本劇場公開中の映画を題材に、その作品の魅力や、僕たちの暮らす世界について語り尽くすコラム!


国領雄二郎が選ぶ今年のベスト1
ひかりのまち
ひかりのまち
■監督/マイケル・ウィンターボトム ■出演/ジナ・マッキー、シャ−リ−・ヘンダースン ■配給/アスミック・エース ■上映時間/1時間49分

■STORY ロンドンでウェイトレスをしているナディア。幸せを求める彼女は、伝言ダイヤルで恋人探し。ナディアの姉妹や家族たちも、みんなもう少しだけ幸せを求めている。そんな人々の週末の4日間が描かれる。
 今回は、今年も最後ということで、ちょっとだけ特別なコラムです。

 この連載が始まって半年以上。心動かされた映画を、ちゃんとただの言葉で刻むという意図が、どのくらい達成されたのか、正直な話、まだ自信はない。でも、皆さんからいただく感想メールなどを読んでいると、映画を観て、感じて、考えて、それを言語化するということは、決して無駄なことじゃないと強く思った。

 公開時期の問題で紹介しきれなかった作品や、連載が始まる今年前半に公開されていた作品も含めて、今回は「明日死ぬならこの1本」の特別編として、2000年の印象に残った映画10本を選んでみた。ちょっと駆け足だけど、ちゃんと刻みたい。そんでもって、もしも気になる作品があったら、ビデオやDVDで観てほしい。「明日死ぬならこの1本」という言葉に相応しいタイトルを選んだと思う。また、過去のコラムもチェックしてくれたら、とても嬉しい。

●ひかりのまち(コラム第17回)

 この映画、やっぱり全編デジダルビデオ風の映像で描かれていたということが、強く印象に残っている。それによって生まれたドキュメンタリーっぽいりアルさ。そして、そこで描かれる普通の人々の姿が本当に素敵だった。会社や学校、街の中なんかで「自分はいらない存在なんじゃないか?」とか感じている人にはぜひ観てほしい。僕もずっとそうだったから。
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●ブリスター(コラム第8回)

 アクションフィギュア、アメコミ、SF映画好きの人は必見。また世界に通じる邦画でもある。他人から見たら意味のない自分の趣味に賭ける情熱。それを意味ある次元にまで昇華させるということが、ちゃんと笑いや感動を交えて描かれている。僕は友達もいなくて、いつもひとりで映画を観ているようなヤツだけど、それも絶対に間違いじゃないと、この映画を観て確信した。「おたく」、「マニア」といった言葉が嫌いな人。周囲からそう思われている自分を愛せない人。そんな人達に、ぜひ観てほしい。同様の趣旨の洋画で『遠い空の向こうに』という作品がある。田舎町のロケットオタクたちが本当にNASAの技術者になってしまうという話だ。これも必見。
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●ひまわり(コラム第10回)

 初恋や人の記憶というものをリリカルに描いた作品。今年話題の恋愛ドラマ『beautiful life』の、300倍ぐらい感動して、3回も観てしまった。本作の行定勲監督が「自分の中に残っている記憶や場面を映画で再現したい」という趣旨のことを、ある場所で語っていた。そんな個人的な記憶の再現が、ちゃんとエンターテイメントとして成立している。もしあなたに、もう二度と逢えない大好きな人がいるなら、この作品を観てほしい。
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●サイダーハウス・ルール(コラム第4回)

 最近、レンタルが開始された。宣伝では、青年が愛を知る感動モノみたいに言われてるけど、それだけじゃない。どうしようもなく残酷で何の救いもないこの世界。それでも、それだからこそ美しくて、素敵なこともあるこの世界。それをちゃんと認めるということ。とっても深い作品です。
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●PARTY7(コラム第27回)

 現在、劇場公開中。かなりヒットしているようだ。コラムで紹介したばかりなので、多くは触れないが、とにかく笑える楽しい作品。ただ、こういった映画を単館公開にするという「オシャレな映画ファン」を狙った戦略は、もういいがげん辞めてほしい。こういう作品こそ、宣伝費をかけて、大規模で公開するべき。単館でやってて、映画館に行ったら立ち見だったので観るのを辞めた。そういう人が出てくることが、良くないことだって、なんでわからないんだろう? 
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●マグノリア ●ハピネス(コラム第11回)

 『マグノリア』も、つい最近レンタル開始。幸せ、救い、そして癒しを求める人々の48時間の郡像劇。この映画や『ハピネス』について映画会社の人と話をした。彼は「最近は、みんな癒し系じゃない、ちゃんとした癒しを求めているんですね」と言った。同感だった。飯島直子や優香は癒しじゃない。癒しと称しているが実際は男の人が「つきあいたい」、もっとストレートに言うと「なんとかしたい」って妄想するだけの対象だ。そんなものは癒しじゃない。癒しっていうのは、こんな映画のことだ。そして癒しとは、自分が満ち足りるだけのものではないと、これらの映画は教えてくれる。『M:I−2』の100倍の格好良さで、セックス教教祖(もしくは女にモテル塾講師)を演じるトム・クルーズも必見。
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●バトル・ロワイアル(コラム第28回)

 この作品は、映画の内容以上に、コラムに対する読者の反響に驚かされた。みんな、本当にしっかりといろんなことを考えて、意見を述べてくれた。それだけでも、この映画には意味があると思う。あと、ほんのちょっとだけど、このコラムにも意味があると信じたくなった。
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●アメリカン・ビューティー(コラム第3回)

 美を追求するということ。そしてその末路を描いた物語。本作では、その行為は悲しい結末へと導かれてしまう。でも、たとえバーストしてしまう危険を伴っても、それをハッピーな方向へと向かわせる努力こそが、生きるということなのでは? そんなことを強く感じた。
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●ダンサー・イン・ザ・ダーク

 現在、劇場公開中です。この作品に関しては、来週、新年1回目の当コラムで、しっかりと刻みたいと思っています。

 街はクリスマスを過ぎたっていうのに、年末で浮かれムード。ひとりぼっちで歩くと、けっこう寂しかったりする。それでも僕は、今回の10本の作品のことを、ずっとひとりで考えながら、歩いてた。決して大げさな話じゃなくて、それはちゃんと、僕たちの暮らすこの世界のことを考えることに、そのまんま繋がっているようにも思えた。そしたら、僕は力強く歩けた。無駄なもの、しょうもないもの、嫌なこと、数え切れないほどの憂鬱。そんでもって希望はひとかけらだけ。もちろん、お金もあんまり持ってない。そんな感じのこの世界。それでも、素敵な映画を観た時に感じたことや、考えたことぐらいは、ちゃんと抱えたままで、ガシガシ力強く、来年まで歩いていきます。来年もよろしく。

いつも感想のメールありがとうございます。どんな感想でもかまわないので、「ここ」まで送ってください。では、また。21世紀最初のコラムは1月4日です! よろしく!

週刊ファミ通編集部:国領雄二郎

※「国領雄二郎の明日死ぬならこの1本」のバックナンバーはこちら

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