スマートフォン解析 第34回 「大地の下の巨人たち(後編)」 - コミニー[Cominy]

ガンバルンド
ザナラーンの端っこにある辺境の村出身。21歳。鼻を横切るように付いた傷と、それを強調するかのような青いペイントが特徴。傷の曰くが明かされるかは定かではない。でっかい武器、大好き!
中の人:はせがわみやび
コンピュータゲームからテーブルゲームまでゲームはなんでも大好き。ファンタジーを中心にゲームに関係した物語をおもに書いてます。無謀と弱気が同居するガンバルンドの中の人。
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2014年05月19日 12:10

第34回 「大地の下の巨人たち(後編)」

 扉の向こう。細長い部屋のようになっていた洞窟には、スプリガンと呼ばれる魔物たちが巣食っていた。数が多かったが、強さはそれほどでもなく、ガンバルンドたちは片端から倒していく。
 しかし、スプリガンたちを倒しきって部屋を抜けようとしたところで、最後に大物が現れたのだ。


 部屋の奥の暗がりから、ぬっと姿を見せたのは──。
「こいつが……巨人か!」
 握る斧の柄に汗がにじむ。じっとりとした嫌な汗が背中を伝って落ちた。
 でかい。
 呆れるほどの背丈だ。
 ガンバルンドの倍、いや3倍はありそうな背の高さだった。
 見上げる先にある頭に、まるで牛を思わせる尖った角の生えた冑を被っていた。奇怪な紋様が掘り込まれた鎧を浅黒い肌にまとっている。その紋様に、呪術的な意味があるのか、単なる種族的な風習なのか……。
 そしてその武器だ。
 左手にはガンバルンドをすっぽりと覆えてしまうのではないかと思うほどの大きな盾をもち、右手には巨大な両刃の斧。弧を描く刃の先だけで、ガンバルンドが両腕を広げたほどもある。ガンバルンドが3人並んでも同時に叩っ切れそうな刃だった。
 畏怖を込めたつぶやきがパステールの口許からこぼれる。
「なんて……でっかい武器だよ……」
「ああ……」
 ガンバルンドにも同意しか出てこない。
「あの巨体があれば……あそこまででかい斧が振れるのか!」
「驚くの、そこかよ!?」
「うらやましいぞ!」
「おまえ、早く巨人になっちゃえよ……」
 失礼なことを言うパステールだった。
 いかに今の身体を鍛えて、でかい斧を振るかが大事だというのに。まったくこれだから魔道士というのは頭が堅い。
 ガンバルンドは巨人に注意を戻した。
 ヲヲヲヲォォォォ…………。
 巨人の口許から怨嗟の籠ったうめき声が漏れてくる。
 ヲヲヲヲォォォォ…………ン。
 苦しげな声からは、遥かな年月を越えて積み重なった恨みと憎しみの念が伝わってくる。
 現れた巨人は、左右にゆっくりと首を振りながら、一歩一歩を踏みしめるように歩いていた。何かを探している。
 おそらくは……自らの憎しみをぶつけるべき相手を探しているのだ。
「閉じ込められて300年とか言っていたな……」
「ああ」
 掠れた声でパステールが返事をした。
「その間ずっとこいつは陽の光の当たらない地下深くを彷徨っていたってわけか」
 巨人の動きが止まった。
 ガンバルンドたちの声がようやく耳に入ったらしい。
 そいつは首を回してガンバルンドたちを見た。
 見えているのかどうか。視線が絡まった気もしたが、巨人が次に取った行動は残念ながら友好的とはほど遠く──。
 パステールがそれでも声を張り上げる。
「話を聞いてやりたいところだが、それは僕たちの仕事じゃない。おとなしく引いてくれれば今は見逃すぜ! どうだ!」
 返ってきたのは咆哮と地響きだった。
 巨人がガンバルンドたちに向かって駆けてくる。巨大な斧を振り上げて。
「来ます!」
 フ・ジンが穂先を回して巨人へと狙いをつけた。
「ちょ! まってまってまってぇぇ!」
 シグレが叫びながら、慌てて後ろに下がっていく。
 ガンバルンドは反対に前へと出た。
「やるなら、こっちもやるぞ!」
 言ったものの、最初にしたことといえば、斧を掲げて相手の一撃を受けることだった。
 丸太を振り下ろしてくるような重い一撃を、ガンバルンドは頭上に翳した斧で受け流した。鋼のぶつかり合う音が耳を打ち、暗い坑道のなかに盛大に火花が散った。
 槍術士ならばもっとうまく受け流せるのだろうが……。
 腕が折れそうな衝撃を感じたが、ガンバルンドは両の足に力を込めて耐えた。
「ぐっ……こいつは、キツイぞ!」
「援護します」
 背後に回ったフ・ジンが槍を繰り出した。太い脛のあたりを穂先が切り裂いた。
 巨人がうるさそうに背後に目をやる。隙ができた。斧の下から逃れたガンバルンドは、ここぞとばかりに閃光の技を放つ。
 暗闇にすっかり慣れていた目にはまぶしすぎる光を浴びて、巨人は腕を目の前に翳して光から逃れようと顔を背けた。一瞬だけ身体の真ん中ががらあきになり、ガンバルンドは目の前に見えたその腹に斧を叩き込んだ。悲鳴があがる。
「やった!」
 シグレが矢を飛ばしつつ歓声をあげる。
 だが──そこから先が長かった。
 わずか1体の巨人。
 そいつを屈服させるまでに要した時間は、スプリガンの大群を倒すまでにかかった時間とほぼ同じだったのだ。


担当A「いやあ、激しい戦いでしたねー」

 さすがにでかいだけあってタフでしたね。
 ここで出てくる巨人は、《憤怒のコットス》という名のようですが(頭の上に書いてありました)、名乗ってくれたわけではないので物語風のところではカットしてあります。でも、憤怒というからには、大いに怒っていたに違いないのです。

担当A「聞き逃しただけで、名乗ってくれたんでしょうか」

 鉱山で働かされていたらしいから、名札のようなものがどこかにあったのかもしれませんよ。「花組こっとす」とか。

担当A「幼稚園児か!」

 冗談はさておき。
 実は、コットスの前にも固有名のない巨人と遭遇しています。演出の関係で、そっちはカットしましたが、実際にダンジョンで遭遇するときは、もうちょっと手前にも巨人が出てきますので、気をつけてくださいね。

 もうひとつ。
 この『カッパーベル銅山』も、他のダンジョンのように面白い仕掛けが用意されています。
 ところどころ坑道が行き止まりになっていて、そこは火薬を仕掛けて爆破しないと通れないのです(仕掛ける火薬は途中で手に入れることができます)。
 岩の隙間に爆薬を仕掛けて、近くにある発破装置でドカン! と爆発させるわけ。

担当A「そういえば、みやびさん、あのとき何か不思議なことをやってましたよね」

 いやあ、こういうときって、試してみたくなりませんか?
 爆弾の真ん前に立っていたらどうなるんだろう? ──とか。
 現実では絶対やりたくないですけどね。

担当A「それで爆薬の手前に、ぬぼーっと立ってたんですか!?」

 はい。
 爆風をもろに受ける距離で立ってみたんです。できれば、その瞬間をスクリーンショットで撮ってみたかった。どう見えるんだろうって。

担当A「……呆れた好奇心です」

 結果はこんな感じ。

 ここで戦闘不能になったらコラム的には面白いなーと思ってたんですが。ダメージはゼロでした。

担当A「ヴァーチャルとはいえ身体張ってますねー」

 ヴァーチャルだからって噂もありますけど。
 さて、《憤怒のコットス》を倒して先へと進むと、またも鍵のかかっている扉が目の前に。この扉の鍵は、コットスを倒してきていれば手に入れているはずです。扉の向こうには昇降機があって、さらに下へと降りていくことになります。
 鉱山の再開発が中断してから棲みついてしまったのであろう小さな魔物たちを排除しつつ、ガンバルンドたちは奥へと進みます。途中にある宝箱もできるかぎり開けていきます。

担当A「この宝箱の所有者って誰なんでしょう?」

 置いてある場所から考えると、鉱山の現在の所有者である「アマジナ鉱山社」のものじゃないかなって思います。
 描かれていないだけで、「取り返してきた宝物をアマジナ鉱山社に持っていったら、報酬として好きにしてよいと言われた」なんていう解釈で良いんじゃないかって。
 今回も宝物が見つかるたびに、「NEED・GREED・PASS」から選んでもらって分配しました。ガンバルンドもいくつか新しい装備品を手に入れましたよ!
 では、攻略の続き。

 狭い通路を歩いた先に、広く開けた部屋があった。
 跳びこむ前に、ガンバルンドはその部屋の主に気づいた。
 部屋のちょうど真ん中にぶよぶよした大きな緑色の塊がある。ガンバルンドの身体よりも大きなその塊は、まるでゼリーか何かのようで、さざ波をたてるように時折り全身を震わせるのだ。
 パステールが忌々しげに舌打ちをする。
「厄介な奴が棲みついてやがるな……」
「あれは……なんだ? 生きているのか?」
 ガンバルンドの問いかけに、フ・ジンが答える。
「生きています。他の生き物を身体のなかに捉えては溶かして我が身とし、少しずつ大きくなるのです。あそこまで大きくなってしまうと……倒せない」
「倒せない!?」
「あれらは、全にして個、個にして全の生き物。斬りつけてもすぐに傷を塞いでしまい、まるで大洋に刃を叩きつけているが如くなれば……」
 フ・ジンの説明を聞いて、ガンバルンドの背筋がぞくりと冷えた。
 内に取り込んで、溶かして喰らうだって?
 そんな生き物がいるのか……。しかも倒せないだって?
「どうすりゃいいんだ」
「ほっとく」
 パステールが言った。
「おい」
「冗談だ。依頼を受けちまっている以上はそうもいかんだろ。それに考えてみろ。あいつを放っておいて、この先に行ったとする。右手のほうに道が見えるだろ? 今は崩れた岩盤に塞がれてるあそこだ。あそこを抜けて、巨人たちが現れたっていう場所まで辿りつけたとしよう」
「う、うむ」
「任務を終えて戻るときに、あいつが道いっぱいに広がって待っていたら?」
 ガンバルンドは想像してみた。
 この部屋は広い。差し渡しで20歩、いや30歩はあるかもしれない。一方で、大きいといってもあのゼリー状の魔物はガンバルンドが両手を広げたほどだ。充分に避けて先に行けそうな気もする……。だが、その先の通路はどうだ。人ふたりが並んで通れるぎりぎり。
 ガンバルンドは想像してしまう。
 うす暗い坑内だ。あの緑色の生き物は闇のなかでは目立つまい。手さぐりしながら戻ってきて、ふと気づけば手に触れた岩肌がぬるりと湿っているわけだ。そのときにはもう遅い。手のひらから腕を伝って、ぬるりとしたヤツの身体があっという間に己の全身を包みこんでいく……息もできないだろう。背中の斧に手を伸ばすこともできまい。口のなかにはいってきたどろりとした魔物の身体が喉の奥にまで達するときには既に意識もなくなっていて……。
「ちょっとあんた何想像してんのさ!」
 ごちんと後ろ頭を叩かれた。シグレだ。
「ヤなこと想像してると、そのとおりになるよ?」
 それが一番イヤな想像じゃないか、って気もしたが、ガンバルンドは素直にすまない、と謝っておいた。
「どうすればいい?」
「いまフ・ジンが言ったろ? あれだけでかいと倒せないって」
 それはもちろん覚えている。
「だから、小さくすればいい」
「は?」
「吹っ飛ばすんだ」
 パステールがにやりと笑みを浮かべた。


 ここで登場する魔物《イコラウス・アイル》は、いわゆるひとつの緑色のスライムです。
 ダンジョンの仕掛けをすべてネタバレしてしまうとつまらなくなってしまうので、ナイショですが……実はコイツはふつうに戦うとほんとに倒せないんですね。
 じゃあ、ガンバルンドたちはどうして倒せたのかって?
 それはもう、我々新米ばかりのパーティにも、何度もコイツを倒したことがある猛者がいたからで……アレ?
 ……うん、そうなんだ。ガンバルンドは初めてでも、他の3人はカッパーベル銅山は初めてじゃないんだな。
 じゃあ、初心者ばかりだったらどうすればいいのか。ネットという集合知性に頼ることもできない場合は……、とりあえず部屋にある仕掛けを残らず触ってみましょう。何か起きます。

担当A「また、ざっくりとしたヒントですねー」

 ガンバルンドは教えてもらっていたのに、ここで失敗しましたからね。

担当A「やっつけちゃダメだって言ったのに……」

 だからみんなも苦労すればいいんだー!

担当A「や、やつあたり!?」

 だいじょうぶ。みなさんなら、きっと攻略できると確信してます!
 だってガンバルンドにさえできたんですから。

担当A「それは説得力があります」

 でしょ! ……あれ?

担当A「なにしろそのあと、大ボス戦に行く前のなんでもないところで、戦闘不能になってましたもんねぇ」

 地下水が溢れ出ていて、洞窟の床が水で覆われていたところですね。水に半分沈みこむかたちで倒れたガンバルンドが今にも風邪を引きそうで哀れさを誘ってましたっけ……。なんで、あんな何でもないところでやられちゃったのか……。
 ともあれ、《イコラウス・アイル》を倒したあとは、見つけた火薬を使って落石を除去。そのまま洞窟を進んでいって、今言ったように床が水浸しになっている地点を通ります。
 しばらく歩けば、また乾いた洞窟になるのですが……。

 その巨人は岩壁を突き破っていきなり現れた。
 薄い岩盤を叩き割り、閉じ込められていた魔物は解放の喜びに雄叫びをあげる。
「こうやって出てきたってわけ?」
 シグレがなるほどと頷きながら言った。
「ようし、おまえを《岩砕きの巨人(ヘカトン・ストーンブレーカー)》と呼んでやろう」
「名付けてる場合か!」
 パステールの変わらない、のほほんとした口調に、ガンバルンドのほうが慌ててしまった。
 シグレが叫ぶ。
「来るよ!」
 自分たちのほうへと駆けてくる巨人に向かって、ガンバルンドは構えていた斧を振り下ろした。斧の届かない距離だが問題ない。内に溜めていた気合を込めた圧伏の技だった。振り切った斧の巻き起こした風は、周囲のエーテルまで集めて撒き散らしながら巨人の身体に降りかかった。
 勢いに押され、ほんの一瞬だけ巨人の足が止まった。
 視線がガンバルンドへと向く。
 ぎろりと憎しみを込めた瞳で睨まれた。
「俺のほうはおまえに恨みはないんだがな……」
 だが、ガンバルンドも引くわけにはいかない。巨人の持っている斧は一振りでも当たれば、パステールなどはじけ飛んでしまうだろう。
「おとなしくなってもらおうか!」
 ガンバルンドは斧を構えた、巨人を迎え撃った。


 再開発の結果、封じられていた地下の巨人たちが、どのように現れたのか──という当時の状況をここでようやく何となく窺い知ることができるわけです。
 それだけではなく、これは伏線でもあるのです。
 この後、いよいよ大ボスである巨人が出てきます。
 その名も《豪腕のギュゲス》
 この《豪腕のギュゲス》、戦っているうちに自分のHPが減ると、壁を壊して仲間を呼ぶという。つまり、岩壁が崩れると巨人が出るよ、ということをさりげなく伝えてくれているのですね。
 呼び出された仲間も、ぼやぼやしてるとさらに壁を崩して新たな仲間を呼ぶので、気がつくとあたりが巨人だらけになってしまいます。注意が必要ですよ!
 呼ばれた手下たちはDPSが相手をすることになると思うので、TANKはひたすら《豪腕のギュゲス》と殴り合いましょう。
 どっちが先に膝をつくことになるか、勝負だぜ!

 あたりを窺いながら歩いていたガンバルンドたちは、ふと立ち止まる。
 洞窟の奥から、小さなうめき声のようなものが聞こえてきた。
「……オオオオ……アタマがイタイ……。
 ダレだ……オデをヨブのは……」
 続けて、ドカン、と声のしたほうから大きな破壊音が聞こえてくる。暗闇のなか、前方にかすかに土煙のようなものが湧きおこる。
 前にある壁の、見上げる高さにある岩がドカンと音を立てて吹っ飛ぶ。金色に光る巨大な丸い物体が見えた。
 あまりに大きくて、ガンバルンドには一瞬それが何かわからなかった。
「……鎚か!」
 ついに壁が崩れ、金色のその物体が、握る腕とともに、壁の向こうから突きだされてきた。


「なんてでかさだ……」
 見上げるほどの巨人が、自らの大きさとほぼ同じ大きさの金色に光るハンマーを持っていた。
「こいつは斧じゃないんだなー」
「巨人にも武器の好き嫌いがあるんじゃない? あたしは弓が好きだけど」
「つまり、この方は鎚術士ということですか?」
 真面目な顔をしてフ・ジンが妙なことを言った。
 ひときわ大柄に見えるその巨人が手にしていたそのハンマーには、ひとつひとつが短剣よりも大きなトゲトゲが生えていた。かすっただけでも大ケガをしそうだ。
「どっちにしても、あんなのを食らいたくはねーなあ」
 パステールがしみじみと言って、ガンバルンドはいつもどおりに宣言する。
「まかせろ!」
 にじりよってくる巨人は頭に金色の冑を被っていた。
「……オオオオ……アタマが……アタマがイタイ……オオオオオ」
 冑の下の顔を歪めながら巨人がガンバルンドたちを睨んでくる。ひょっとしたら、300年前に巨人たちを操っていた呪具というのは、あの冑なのかもしれなかった。
「ダレだ……。オマエか……」
 巨人が巨大なハンマーを振り上げた。
「オマエのせいカァァァァァァァァアアアア!」
「下がれ!」
 短く言って、ガンバルンドは前に出た。
 打ち下ろしてくるハンマーの真下はさすがに避けた。それでも、打ち下ろされたハンマーは岩を砕き、地面に大穴を開け、飛び散った岩の欠片が翳した盾では防ぎきれずにガンバルンドの肌を裂いた。
 身体の全身に細かな傷を負って、ガンバルンドの肌が血にまみれた。
「くっ……」
「ガンバルンド!」
 パステールが叫んだ。直後、癒しの風が吹いて、治癒の魔法がガンバルンドの身体を包み込む。細かな傷があっという間に塞がっていく。流れてしまった血は元に戻るわけではないのだけど。
「痛みは消えた……な。今度はこっちから行くぞ!」
 ガンバルンドはひと声吠えてから、巨人の足下へと踏み込む。どんなに背伸びをしてもガンバルンドの斧は相手の頭にまでは届かない。それにあの頑丈そうな冑は、ちょっとやそっとでは壊れそうになかった。
 だが、むき出しになっている脚は別だ。
「少し、静かになってもらうぞ!」
 斧を叩き込むが、巨人の肌はまるで革の鎧のように厚く、一撃ではかすり傷しか与えられなかった。
「ガっちゃん、くるよ!」
 シグレの声が耳を打った。
 直後、巨人の振り下ろした怒りの一撃がガンバルンドの耳許を通り過ぎた。風圧に髪の何本かが千切れ飛び、岩を叩いた音で耳鳴りになった。
「ガンバル! がんばれ!」
「がんばるとき、がんばれば~」
 パステールの声援に、シグレが歌うように続けるが、はっきり言って、そんな場合ではない──と思う。
 くらくらする頭を振って立ち上がれば、巨人はガンバルンドに背を向け、岩壁にハンマーを叩きつけているところだった。
(な、何をしてやがるんだ……?)
 巨大な鎚で叩かれ、岩壁がまるで砂のように崩れ落ちる。滝のように落ちる土砂の向こうから、新たな巨人が現れた。
「げ!」
「増えやがったな……」
「ガンバルンドさん、こちらは頼みます!」
 フ・ジンが言って、新たに現れた巨人へと向かっていった。なぜならば、新たな巨人は、さらに岩壁を崩して仲間を呼ぼうとしていたからだ。気付いたシグレも弓で射る相手を、金色のハンマーの巨人から切り替えた。
(ってことは、こいつは俺ひとりが相手ってことか……)
 きついな、と思う。
「グォオォォォ!」
 巨人が突然のけぞって空いているほうの手で顔を覆った。岩が巨人の顔面ではじけて、飛礫となって冑越しに顔を叩いたのだ。致命傷とはならなくとも、目つぶしの効果はあったようだ。砕けた石の欠片が鎧で覆われていない目に入ったのかもしれない。
 パステールの放った《岩飛礫(ストーン)》の魔法だった。
 一瞬だけ背後に視線を飛ばすと、パステールが親指を立てて微笑んでいた。
(そうだったな……)
「訂正させてもらおう」
 ガンバルンドは斧をもういちど握りしめてから言った。
 巨人と視線が合う。憎しみを宿した瞳に負けないよう、自らの瞳にも力を込める。
「相手になってやる。俺たちがな──行くぞ!」


 坑道内に現れた全てのヘカトンケイレス族を鎮圧し、ガンバルンドたちが鉱山の外へと出たときには、すでに日は落ちて、空には星が瞬いていた。

…………………………………………………………………………………………………………
●次回予告
 カッパーベル銅山を攻略して一息ついたガンバルンドは、次なる任務を求めて冒険者ギルドの顔役であるモモディの元を訪れるが……。
 さあ、いよいよ『暁の血盟』の登場です。
 ガンバルンドも、ようやく噂の砂の家を訪れることに!
※次回更新は5月22日(木)です。

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