あかほりさとる
小説家・脚本家・漫画原作者。それ以外にも90年代にはメディアミックス路線で数多くのヒット作品を世に送り出し、ラジオパーソナリティもこなすなど、幅広く活躍。ゲームファンにとっては『サクラ大戦』シリーズの脚本を手掛けたことでも知られる。
――あかほり先生はどの作品から『モンハン』にハマったんですか?
あかほりさとる(以下、あかほり) 『MHP 2nd G』からですね。
――始めるキッカケは何かあったんでしょうか。
あかほり その期間、一時的に仕事をセーブすることにしたんです。それまで20数年間、暇なく働いていたんですけど、時間ができると何をやったらいいかわからない(笑)。そこで、まわりからは「ハマるからやってはダメだ」と言われていた禁断のゲームに手を出そうと思って『MHP 2nd G』をやり始めたのがキッカケですね。テレビゲームってハマっちゃうと50時間くらいは軽く取られるじゃないですか。以前、『ダービースタリオン』でトータルのプレイ時間が100時間ほどになって「ハマっちゃったなあ」と思ったんですけど……。
――『MHP 2nd G』のプレイ時間はどれほどに……?
あかほり 3000時間。
――あははははは。桁が違う(笑)。
あかほり まあ、たいへんなことに(笑)。しかも、アクションゲーム自体、ファミコン以来だから本当に久々だったんですけどねぇ。
――『MHP 2nd G』をプレイしようと思ったのは、やはり流行っていたから、ですか?
あかほり そうですね。『MHP 2nd G』も、発売から半年後くらい経ってからのスタートでした。後輩の作家たちや声優さん、役者連中とか、まわりがみんなやっていたんですよ。
――それにしても3000時間はスゴイですね。
あかほり まあでも、1キャラにだと2000時間くらいです。
――というと?
あかほり 1台目のPSPのキャラクターで、2000時間くらいかけてすべてをやり尽くして、2台目のPSPで女の子のキャラクターを作って、いろいろ着替えさせたりして。
――その2台目のキャラクターで1000時間で、計3000時間くらいと。なぜか言い訳ふうにおっしゃってますけど。言い訳になってませんけど。
あかほり 『MHP 3rd』はまだ890時間くらいです。とりあえず、クエストは配信クエスト以外はすべてクリアーしました。『MHP 2nd G』のときは、村クエの“モンスターハンター”がとにかくクリアーできなくて。
――あれはたいへんでした。
あかほり いろいろ試行錯誤して苦労したので、『MHP 3rd』の“終焉を喰らう者”は、まずはどんなものか下見をして、どんな装備やスキルを付けていけばいいか見当をつけようと思っていたら……その下見でクリアーできちゃいました。
――おお、おめでとうございます。
あかほり いやいや、「おいおい、ちょっと待て」と(笑)。
――拍子抜けした、と?
あかほり ええ(笑)。もうちょっと、シビれるような狩猟になるかと思ったんですけど(笑)。あとは武器も全部揃えましたし、護石もかなり集めました。今回、匠がイマイチなので、重撃と痛撃の護石でそれぞれ+4のスロット3の護石を集めたら、ちょっと満足しました。それ以外にもガード性能+5のスロット3とか、風圧+3のスロット3とか……。勲章は……今回は金冠を揃えるのが厳しいんだよなぁ(笑)。
――いろいろコレクションするのがお好きなんですね。
あかほり 現実では、コレクションすることはほとんどないんですけどね(笑)。カードゲームや食玩が流行ってもいっさい興味がないし。『モンハン』の世界だけですよ、物欲が湧いてくるのは。お守り集めは自分なりのこだわりがあって、効率を考えるなら火山の採取がいいでしょ? でも、なぜか“足下にはご注意を!”(クリアー条件:ウロコトル15頭の討伐)のクエストで集めちゃうんですよね。生肉が欲しいというのもあるんだけど(笑)。
――こだわりとはいえ、ちょっと面倒くさそうですね(笑)。
あかほり でも、いったん身に染み付いちゃうとそうでもないんですよ。そのおかげで、ウロコトルの討伐数は6828になりました。
――うわ! もはやウロコトル絶滅の危機(笑)。世界でいちばんウロコトルを狩ってるハンターかもしれないですよ。
あかほり いやぁ、9999のハンターもいるんじゃないですか。
――ウロコトルはなかなかいないと思います(笑)。ところで、アクションゲームは久々だったというお話でしたが、『MHP 2nd G』をプレイしたときはいかがでした?
あかほり いやぁ、難しかったですよ。だから最初はぜんぜんダメで。アイテムをできるだけたくさん持って行ったり、モドリ玉を使ってキャンプで回復しながら狩ったり。通称、“モドリ玉作戦”って呼んでましたけど(笑)。あと、『MHP 2nd G』のときはパターンで狩れるモンスターをひたすらやり続けました。なので、古龍の大宝玉を使う武具を全部作ってもまだ40個ぐらい余ってましたから。
――集め過ぎ! ウロコトルの討伐数といい、極端ですね(笑)。
あかほり そこまでやると『モンハン』というゲームに慣れてきて「オレ、アクションゲームできんじゃん!」って思い始めてから楽しくなりましたね。昔、格闘ゲームが流行ったとき、知り合いが「ちょっとずつ上達するのがうれしい」と言っていて、そのときは「へぇ、そうか」くらいにしか思っていなかったんですけど。『モンハン』で徐々にモンスターの動きがわかって、攻撃を少しずつ避けられるようになると、その「うれしい」って感覚を実感します。モンスター側に避けられるようになるまでが時間がかかるんですよね。自分はいま46歳なんですけど、この年齢でアクションゲームを始めても「上達するぞ」というのは声を大にして言いたいです(笑)。いまや、緊急回避も回避距離や回避性能アップを付けるとすごく簡単に思えて「これじゃイカン! 漢はノーマルの緊急回避じゃないとイカーン!!」と思えるほどまでになりましたし。
――“足下にはご注意を!”でお守り集めや、緊急回避もそうですが、あかほりさんなりのこだわりがあるんですね。
あかほり ああ、そう言われればそうですね。
――あと、年齢は関係ない、と。難しそうだからと躊躇せず、まずやってみろと。
あかほり そう。なにせ、自分は『スーパーマリオブラザーズ』も2面で詰まる男ですから(笑)。でも、僕よりもっとヒド……いや、スゴイのが水谷さん(声優の水谷優子)。水谷さんもテレビゲームにはすごくハマる性なので、「『モンハン』は絶対やらない!」って言ってたんですけど、まわりのみんながやっているので、やりたいなと思っていた様子だったんです。なので誕生日プレゼントにPSP本体と『MHP 3rd』のソフトをプレゼントしたんです。
――ハマるのが容易に想像できるのに……ある意味、悪魔の所業ですね(笑)。
あかほり そうしたら、案の定、ドハマリして(笑)。すぐにプレイ時間が500時間を超えていたんですけど、その時、プレイする様子を見ていたら何かおかしいんです。よくよく聞くとスキルの存在を知らないわ、双剣でプレイしているのに鬼人化を知らないわ、それでよく500時間もやったなと(笑)。水谷さんに関する『モンハン』エピソードはまだまだあるんでけど、あまり言っちゃうと本人に怒られるのでこのへんで(笑)。
――ふだんいっしょにプレイされているのは、声優関係の方や作家仲間の方々ですか?
あかほり そうですね。あとはゲーム関係のプロデューサーとか。ここで『モンハン』をプレイしながら打ち合わせ(笑)。『MHP 2nd G』にハマったとき、「こんなにおもしろいゲームをみんなにも広めたいたい」と思って、プレイしてなかったふだん仲のいい7人、身内も入れると10人くらいに本体とソフトをセットでプレゼントして、ハンター仲間を増やしたり。
――大盤振る舞い! 伝道師も務めらたと。
あかほり 400万本以上売れているソフトに対して、伝道師というのはおこがましいですけど、多少は貢献させていただきました(笑)。土日はだいたい、ここ(事務所)で集まってワイワイやっています。多いときで10人くらいかな。
――ここの事務所で狩るときのお約束って何かありますか?
あかほり クエストでイチ落ちすると思ったときは、フラグを立てなければならない、っていう掟があります。たとえば、「オレ、このクエストが終わったら、アイツと結婚しようと思うんだ」とか(笑)。必ず死亡フラグを立ておかないと、力尽きてはいけないんです。バカバカしくてけっこう楽しいですよ。
――楽しそうですねぇ。ソロでもプレイされるんですか?
あかほり 多少は。ひとりのとき、アドホックパーティでもやってみたんですけど、やっぱり人と顔を合わせてやりたいですね。ちなみに、事務所をもっと快適に『モンハン』ができるように改装する予定です。もちろん、それだけが理由ではないですけど(笑)。
――最後に『モンハン』の魅力をひと言で表すと何でしょう?
あかほり ジジイも夢中にさせるってところです。ゲームって若い子のものだと思っていたんですけど、ここまでハマれるものだとは思いませんでしたね。4人でってところもいいですよね。麻雀文化で育ってきたオジさんたちには4人で顔を見ながらプレイできるというのが最高なんですよ!(笑)麻雀文化で育ったオジさんたちが入っていけるソフト、そこが魅力ですね。
【第7回ゲスト】 照英
俳優・タレント。ドラマや映画だけでなく、バラエティー、ドキュメンタリー番組などでも活躍中。レギュラー番組出演は毎週金曜日(最終金曜日は除く)『スッキリ!!』(日本テレビ系)、毎週金曜日『すくすく子育て』(NHK教育)など。また、現在はPlayStation Home内で映像企画“照英王国”が配信されている。
【第6回ゲスト】 佐藤大輔
デザイナー。雑誌記事を中心に週刊ファミ通でもゲーム紹介・攻略記事のレイアウト、デザインなどをお願いしている。『モンハン』シリーズの記事も多く担当。
【第5回ゲスト】 伏見副住職
愛知県にある臨済宗の烹金禅寺(ほうきんぜんじ)の副住職。その近所にあるこども園の副園長も務める。
【第3回ゲスト】 小沢一敬&磯山さやか
小沢一敬:愛知県出身。1973年10月10日生まれ。お笑い芸人スピードワゴンのボケ担当、最近はバラエティ以外にも、LISMOドラマ『続・言霊の女たち』や映画『RUN60』へ役者として出演。さらに小説『でらつれ』の執筆するなど多方面で活躍中!
磯山さやか:茨城県出身。1983年10月23日生まれ。タレントとしてテレビのバラエティー番組やラジオ、グラビアなどで活躍。磯山さやかデビュー10周年記念写真集『AMISO!!』 (ワニブックス)が発売中。
【第2回ゲスト】 ぶぅさん&まーさん
ぶぅさん:大手都市銀行の東京、関西の役員を勤めた後、現在は、プライベート・エクイティ・ファンドの運営に従事しているバリバリのエリート。
まーさん:都内出版社で雑誌編集長などを経て、現在は版権物のメディアミックス営業を担当。ゲームは広く浅くプレイする。
【第1回ゲスト】 大塚角満
週刊ファミ通副編集長。群馬県出身。ファミ通.comなどで連載中の『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズが8巻(別冊『角満式モンハン学』シリーズの2巻含む)発売中。