ファミ通.com

ファミ通媒体メニュー



ツクールBlog

« 川島流ゲームの作り方(14) 「仲間キャラの作り方(8)」 【中級者編】 | ツクールBlogのホーム | 2月15日はツクールの日 »

サンプルゲーム作者インタビュー 「フタゴノカミサマ」

2008年02月14日

kawasihma.gifこんばんは、アーツ川島です。

今日は「VX」サンプルゲーム制作者、海原楓太さんへのインタビューをお届けします。



futago_t.jpg
作品名:フタゴノカミサマ
作者名:海原楓太

モバイル版アドベンチャーツクールで7本のサンプルゲームを制作。丁寧で分かり易いゲーム作りを心がける姿勢が作品から感じられる作者です。そのためツクール初心者の導入用に、チュートリアル作品の制作を依頼しました。その海原楓太さんに、作品に対する感想やゲーム制作について色々お聞きしました。



■「VX」のサンプルをきっかけに、初めて知ることになった方もいると思いますので、まずは自己紹介からお願いします。

フリーランスのライターをやっております、海原楓太と申します。
活動についてですが、実は自分はツクールによる作品公開といった事は一切行っておりません。そう考えると、他の方は受賞経験者などが主ですので、面子としては明らかに浮いてますね自分。なお、個人的にではなく仕事として、以前モバイルのほうで数点製作させて頂いてはおります。


――ライターさんからのサンプル制作の起用というのは最近のツクールでは珍しいですね。「RPGツクール95」時代まで遡ると、それこそ編集者が作ったゲームばかりでしたけど。今やツクールが使えるライターさんという存在は貴重だったりします。また、ライターさんがどこまで作れるのかを見せるためにも参考になると思うのですよ。



■サンプルゲームの制作依頼が来たときはどんなお気持ちでしたか?

子供の頃からずーっと、それこそ初代の頃からツクールには触っていて、そのツクールのサンプルゲームを作れる! と聞いたときはもう、なんといいますか。こう……。これでもういつ召されてもいいかな、と。



■「RPGツクールVX」を扱ってみた第一印象を教えてください

扱いやすい、その一言に尽きます。そういう意味で、本当に初心者への門戸を広く開け放っているんだな、と。融通が利かない部分がいくつかありますが、それは逆に上級者がスクリプトで解決できるものがほとんどですので、些細なことですかね。



■ツクールで制作するときは、どのようなことを考えて作られますか?

ツクーラーとして活動はしていないので踏み込んだ事は言えませんが、今回のサンプルゲームで言えば、とにかく何よりも早くRPGとしての体裁を整えなくては、と考えていました。つまり、まずイベントシーンだけは完成させてしまおう、というわけです。
そうすれば、その時点でのテストプレイの結果にシナリオの面で充実した内容を期待できますし、頭が痛くなってしかたないシナリオの整合性などの修正に十分な時間が確保できます。
また何より、戦闘やデータベースといったシステム面が先に出来ているのと、お話やイベントが先に出来ているのとでは、個人差はあれどモチベーションの振れが違うと思います。システム周りで息切れしてしまい、イベントに手をつける前に力尽きる……、ということをツクールではよく聞く話ですから。


――海原さんもシナリオ派ですね。私も先にイベントを作って、それからデータベース周りを整えるタイプです。データ作りは先が見えるものの、イベント作りは予測を超える制作時間だったりしますからね。
システム周りを作る人が好きな方にとっては、データ周りを作るだけで満足することもあります。ツクールの目的はゲームの完成ではありますが、パーツパーツで個人が楽しめるものだとも思うのですよ。それこそマップ作りだけで満足いく方もいますから。個人の楽しみ方はそれぞれであって、それができるのも「ツクール」だと思っています。



■ゲーム制作にあたり、どんな部分を重視するようにしていますか?

サンプルゲームについて言うと、演出…と言いますか登場人物たちの動作ですかね。見ていて飽きないよう、くるくるぴょんぴょんコミカルに飛び回らせています。
また、明るめで単純軽快、常に楽しげな雰囲気を保つよう心がけました。そのため意外性は省き、あえて締めを軽めにしてあります(敵の正体ですね)。

もともと考えていた後半の展開は「自信過剰な神様見習いの少年が、自分の力を妄信して横暴勝手を働く」といった類のものでしたが、それだと余計な要素が増えるし、何より嫌らしさが出て雰囲気が壊れてしまうと思いまして、ああいった形を採るに至りました。



■今回の作品は、制作に何時間ぐらいかかりましたか?

イベントはだいたい10日〜2週間弱。その後、戦闘バランスやイベント修正などで、同じぐらいでしょうか。後半はツクール部署とやり取りしながらでしたので、実際はもう少し短いかと思います。



■今回の作品の中で、お気に入りのキャラクター、またはシーンを教えてください。

ドラゴン・オブ・レジェンド戦です。自分でもバカだと思いました。
ちなみに初戦時、なるたけ頑張って耐えていると、ヨーコ先生の叫びを聞き続けることが出来たりします。
真面目な場面でしたら、(ゲーム中で)初めて自宅に戻ったときにナナが、「ただいまを言いに行こう!」というところが好きです。なぜか。ナナは気に入ってます、色々と。
ただ彼女はキャラ付けにいたく苦労しまして、ただのバカなトラブルメーカーじゃ困るので、こんな感じの、全ての人物の中でも一番に優しくおせっかいな女の子となりました。
でも登場人物でお気に入りトップはダントツでミィ子。ミィ子以外ありえない。RTPの絵が可愛いのなんのって。
まあ、チョイ役だからって趣味を詰め込みまくったんだから、お気に入りなのは当然といえば当然ですか。とはいえ、正直ミィ子はやりすぎました。すみませんでした。


――作者がやりすぎたと思えるぐらいが丁度いいんじゃないでしょうか。キャラの特性が出るわけですし、思い入れが強いほうがプレイ側としてもやり甲斐ありますよ。



■制作時の苦労話などがあればお聞かせください。

自分はレクチャーゲームとして、もともとからRTP以外使用してはならないという制約がありまして、神様の国のマップに大分悩んだ覚えがあります。
石造りじゃありきたりでつまらないし、木造? いやそれは貧乏くさい、じゃあ……。と。気がつけば、あんなモコモコの神殿に。でもそのおかげで、随分特徴的な世界観になってくれました。
RTPといえば、ネネとナナ。最初は7、8歳で考えていたんですが、とはいえ「双子として対応している幼い女の子」という限定的過ぎるRTPなんてあるわけもなく。今現在のあのグラフィックになるまで、随分悩んだ覚えがあります。


――思い描いた登場人物やマップ。それを実現させるためにはオリジナル画像を作る必要がありますよね。ですが、素材はRTPだけという制約もまたツクールの味であると私は思っているんです。
昔は用意された素材の中でどこまでできるかが、ツクールの楽しみ方の1つだったんですよ。オリジナル素材を使っているのはそれができる一部の作者という風潮もありました。ですが今やオリジナルを用意してしかるべきな流れになってしまっている面もある。自分で素材を作ろうと努力する方も出てくるので、それももちろん良いと思います。
しかしせっかく用意されたRTP。その中でどこまでのものができるかにチャレンジしていただきたいな、という気持ちも開発側としてはあるんですよね。いや、あくまでも私個人の意見ですが。
なので”素材がRTPだからプレイしないぞ”という周りの言葉に惑わされず、気にせずRTPを使った作品もどんどん世に出て欲しいなと思っているんです。私はこのドッターさんの絵が好きなので、ぜひとも使いたい口なんですけどね(笑)



■短い期間でしたが、今回の作品を現時点での実力で判断した場合、100点満点で評価するなら何点を付けたいですか?

80点ぐらいじゃないでしょうか。クリア後に、お楽しみだとか、授業パートのおさらいだとかを追加したかったので、それが心残りです。


――心残りが生じるのは、愛を持って作られた証拠ですよ。



■では今後もまた「VX」で作品を作ってみたいと思いますか? もし作るならどんな作品にしてみたいですか?

手が空けば、ミィ子が主人公のふざけきったゲームを作ってみたかったりします。あ、サンプルだったものだからダメですかね? それ以外で、もし作るなら……。
やっぱり、今回作らせて頂いたサンプルゲームとそう雰囲気が違わないものになるんだろうなぁ。趣味で作るのなら、好きなもの入れ放題ですからね。それがツクールの醍醐味だと思います。


――サンプルのキャラだからダメということはないですよ。ぜひ作ってください。



■よろしければこれまで遊んだことのある(ご自身以外の)ツクール作品で、好きな(または気になる)タイトルを2、3作品教えてください。その理由もお願いします。

まずは、「寄生ジョーカー」。2000の作品ですね。これは方々で話題になっていますので有名ですが、今でも時々遊びなおすぐらいに好きですので、あえて挙げます。

それから、「ALcHEmysTic(アルケミスティック)」。PS版「RPGツクール3」の作品です。“残像”だとか“画面分割”だとか、ツクールの機能を意外な方向に利用して実現されている非常に面白い演出が印象的でした。

最後に、「だんきちのバクチン大作戦」。SFC版「RPGツクール2」のサンプルで、今回強烈に意識しています。モモグリ先生が好きでして、ヨーコ先生という登場人物はそういった理由で生まれました。あとモモグリナックルとかも。ちなみにズビズバハイスクールのマップは、実物と寸分違わぬ設計になっておりますので、試しに確かめてみるといいかも……。

※寄生ジョーカー…リュウジさん
※ALcHEmysTic…桜井真一さん
※だんきちのバクチン大作戦…「RPGツクール2」サンプル



■「RPGツクールVX」で初めてゲーム制作に取り組む方も多いと思いますが、そうした方へ何か制作のコツや応援のメッセージがあればお願いします。

それまでサイレントだった映画に初めて声と台詞がついた時、現代まで続くその歴史が大きく動き始めました。
あなたのゲームの登場人物は、一番最初に何を口にするでしょうか。その台詞がどんなものであれ、あなたのゲームの第一歩は全てがそこから始まります。お楽しみはこれからです。あなたのゲームを遊ぶ人も、それを作っているあなたも楽しめる、そんなゲームをぜひ作ってみてください。もし公開することがあれば、いつかそれを私も遊んでみたいと思います。
You ain't heard nothin' yet!


――これからも楽しい作品作りを期待しています。本日はありがとうございました。



※「ファミ通.COM 無料ゲーム」でダウンロードできる、海原楓太さんの作品。(2008年2月現在)

・アドベンチャーツクール for mobile作品(※対応する携帯電話からのみDL可能)
ブレイブ&ブルーム! 第1話
http://www.famitsu.com/freegame/mobile/0024.html
ブレイブ&ブルーム! 第2話
http://www.famitsu.com/freegame/mobile/0025.html
ブレイブ&ブルーム! 第3話
http://www.famitsu.com/freegame/mobile/0026.html


投稿者 ツクールスタッフ : 2008年02月14日 19:11

ソーシャルブックマーク

はてなブックマークに追加 ライブドアクリップに追加 Yahoo!ブックマークに登録