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サンプルゲーム作者インタビュー 「Dragoness Edge 2820」

2008年02月07日

kawasihma.gifこんばんは、アーツ川島です。

今日は「VX」サンプルゲーム制作者、サウラスドさんへのインタビューをお届けします。



dragoness_t.jpg
作品名:Dragoness Edge 2820
作者名:サウラスド

「RPGツクール for mobile」の投稿作品「伊達家」にて金賞を獲得し、その後に「TROYANOV(トロヤノフ)」でオフィシャルデビューした新進気鋭の作者さん。卓越したシステム構築と、その創作へのチャレンジ精神にはスタッフも感嘆するほど。「VX」の企画時からサンプルゲーム制作依頼の候補に挙がっていた1人です。
そのサウラスドさんに、今回の作品における感想やゲーム制作について色々お聞きしました。



■投稿作品からオフィシャルデビューという輝かしい経緯を持ったサウラスドさんですが、今回のサンプルで初めて知る方へ向けて、まずは自己紹介からお願いします。

サウラスドと申します。小さなサイトを運営しながら、ちょびちょびと創作活動を行っています。本業が忙しいので制作作業は休日に行なっています。最近は気分転換を兼ねてのドライブが趣味になっています。

ツクールとの出会いは中学3年生の時です。PS版の「RPGツクール3」でした。
”自分の手で簡単にゲームを作れる”ということが本当に面白く、受験勉強を忘れて一日中ツクールを触っていたことが度々ありました。
制作に90時間かかって「SS」という、なんだかよくわからないロボゲーを作ったのが最初ですね。

高校生の時はグラフィックの技術を磨きつつ、「イノセントナイル」というゲームを「RPGツクール2003」で制作しました。

その後、専門生の時に「ドミナランス・アザー・ラグナロク」というゲームを制作。これも同じく「RPGツクール2003」です。
”自分が欲しくて欲しくてたまらないもの”をテーマに作った作品でした。今ではそのテーマが、自分のアイデンティティになっているのだと感じています。その後、モバイルのサンプルゲームを作りつつ、「VX」で制作ということになります。


――「RPGツクール3」、懐かしいですね。当時私は攻略本の制作に携わっていました。そこで掲載されている画面写真用のネタを作って楽しんでいましたね。個人的にも一本ゲームを作ったかな。



■モバイル版で弊社との連携がスタートし、そのまま「VX」のサンプルをお願いすることになりましたが、正直お話が来たときはどんなお気持ちでしたか?

本当に嬉しい気分でした。「RPGツクール2000」でサンプルゲームを触って、その時から”自分もこういう形で作品を収録させてもらいたいなぁ”と日々思ってましたので。

ただ、サンプルゲーム=嫌でも知れ渡るもっとも影響力の大きい作品になるので、駄目なものは作れないというプレッシャーもありました。正直、今回の作品は自分の水準から見ると合格点にいってないかな…と思っています。


――いやいや、十分すぎるほど合格点に届いていますよ。きっとサウラスドさんが見ている到達点はすごく高いところにあるのでしょうね。だからこそチャレンジ精神があって、凄い作品が生み出されるのだと思います。



■では「RPGツクールVX」を扱ってみた第一印象を教えてください

私は「RPGツクールXP」を持っていないので、「2000」と「2003」との比較になってしまいますが…
第一印象、本当のことを言ってしまうと”戦闘背景が選択できない”、”変数項目で選択出来るオプションが減少した”など、「2000」&「2003」から削除された項目に目がいってしまいました。
後で気づいたことなんですが「XP」は以前からのコマンドが削除されたものもあり、スクリプトで作る感じなんですね…なるほど。そう考えると改めて「VX」の使い勝手の良さが理解できます。あと、RTPの顔グラフィックがいい!


――「XP」は特にスクリプト重視というわけではありません。ですがユーザー間ではそういう流れもありますね。PC版では「RPGツクール2000」ユーザーが多いこともあって、項目が減ったことに対するご意見もいただいています。そのあたりは我々も認識していますが、やはりこのまま項目を増やし高機能&複雑化という、現在のスタイルのまま成長させていくだけがツクールの進む方向性ではないと考えているのです。その1つの形として、今回は新規ユーザーの開拓も視野に入れたことで、このような形になったと言っておきましょう。



■サウラスドさんの作品はシステムが凝っていますが、どのようなことを考えてゲームを制作されているのでしょうか?

ツクールへの打ち込みや素材の制作自体はただの製造作業です。ほとんど何も考えないでやってます。
以前はただただ、”面白いなぁーこれは”と感じて、がむしゃらにデータを打っていましたが、今は飽きてしまったのか、これといって面白いとは感じませんね。ですが新しい表現方法や想像以上の絵ができた時は大喜びもんです。

作業における全体的な構造や、企画段階での意気込みは明確にしています。”こういうのを作りたい!”、”この絵はこうじゃないといけない”など、率直な自分の気持ちを作品の構造に組み込み、それが終わったら打ち込み作業に移るという感じです。
まぁ…”面白いゲームを作るんだ!”と思っていれば、いいものが作れると思います。多分。



■では、ゲーム制作にあたって、どんな部分を重視するようにしているのでしょうか?

絵が得意なので絵の方を。…といっても、モーションの見せ方やインターフェイスなどデザイン全般を重視しております。
正直な話、全部こだわって制作してしまうと出来るものも出来上がりません。”ここは絶対にこだわりたい”、という部分を重視して制作しています。
それと、自分がプレイしていてストレスを感じるようなゲームバランスにはしないように気をつけています。
あとは…ゲーム序盤、スタート時のクオリティですかね。最初で引き付けてしまえばあとはずっとプレイしていただけると思うので。


――こだわりを取り込みつつ、プレイする側に立ってバランスやスタート時の見せ方に気をつけているということですね。私もその点は重要だと思います。やはりゲームの個性は大切なので自分のやりたいことを出し切る。そのままだと独りよがりの作品になってしまうので、プレイ側のことも意識する。そこまでいってようやく世に出せるゲームが出来上がるのではないかと思います。



■ちなみに今回の作品は、制作にどれぐらいかかりましたか?

基本は休日制作で約3ヶ月間動いていたので、8日×3ヶ月=24日。1日の中で一般生活を差し引いて考えれば1日6時間。
6時間×24日=144時間。諸々足し引きすると……合計110時間ぐらいだと思います(かなり適当ですが)。
ちなみに構造を考えるのに1/4、素材制作に1/2、打ち込みに1/6ほどを使い、あとはその他といったところでしょうか。



■ゲーム内でのお気に入りのキャラクター、またはシーンを教えてください。

目立たないキャラではありますが、YOKOHAMAの社長のbouさんです。戦場区の隠れた町にいて、主人公の光刃と昔からの知り合いという設定です。
純真さを失っていないというか、良い部分の塊を持った人……そういう所が好きです。作品全体では暗さと厳しさを持ったキャラクターが結構いますので。
滅風は”インパクトの強い敵キャラ”として当初は描いたのですが、完成した時にはなぜかヒロインに。再デザインする時間がなかったという不運なキャラです。



■制作時の苦労話などがあればお聞かせください。

締め切りが終わるまでずっと苦労の連続だったと想います。スケジュールどおりの進行にはならなかったですね。今まで触れたことのないRGSSに、なかなかいいものが出来ない戦闘アニメーションなど、とにかく時間が欲しかったです。
いかに期日までに間に合わせるかを考えたら、当初の構想からその半分をバッサリ削除し、重要な部分や自分が見せたい部分だけを残して調整するしかなかったわけです。
作った部分を後々修正するより、作っていない部分を先に削った方が効率が良いですし、なにより作品として見せたい部分が押し出せるので、必要最小限で進行するという方法を取りました。

ただ、明らかに修正しなければならない部分もあります。それはマップの広さ(移動が面倒=ストレスの原因)と、システム自体の構造です。
タスクシステムは個人的に面白くないと思ったので修正を続けましたが、あれは根本から作り直さなければいけないかな…と。しかし修正するには多くの時間を必要とするので、そこは手をつけずに完成としました。作り込んだ後に修正となると、すべてに影響しているので1からやり直しになるので…。
こうしたことから、修正の行ないやすいデータ構造、他のデータに千歩しない作り方をもう少し勉強しなければなと思った次第です。



■今回の作品で、お手伝いしていただけた方はいるのでしょうか?
もしよろしければ、チームメンバーを集める方法や、制作を円滑に行なうコツなどのアドバイスをいただければと思います。

テストプレイや素材の元作り、その他雑用をしてくれる人が1人いました。昔からの知り合いなので、私の場合はメンバーを集めるという感じではありませんでしたが。
もしチームで作るのなら、ある程度の友好関係を持ったツクールユーザーが良いですね。そしてゆっくりまったりと作れると良いかな。

今回手伝っていただけた人にはどんどん仕事を任せてしまい、厳しく当たってしまったところがあります。ある程度打ち解けている人なので、自分1人では厳しいと感じる部分をかなりその方に回してしまっていました。ですがその分、報酬は多くします。そういうことも重要だと思います。1人で抱え込んで潰れてしまうのは一番よくないですから。



■では今回の作品、現時点での実力で判断した場合、100点満点で評価するなら何点を付けたいですか?

実力だけで判断したら30点ぐらいでしょうか?
特にゲームバランスやシナリオなど、グラフィック以外の面でもっと改善できる部分があると感じています。ただ、制作期間や予算等を考えると70点になります。


――30点は厳しいですね。ですが高みを目指すサウラスドさんなら分かる気がします。あの期間で仕上げたものとして考えれば、そんなサウラスドさんでも70点を付ける、ということは良いデキだったのだと思いますよ。



■今後もまた「VX」で作品を作ってみたいと思いますか? もし作るならどんな作品にしてみたいですか?

作ってみたいですね。ただ、作るための時間がないというのが最大の問題でして…
作るならRGSSでアクションゲームを作ってみたいです。RGSSを駆使して”自分が欲しい”と思うゲームを作ってみたい。
最近は「XP」作品でRGSSを使いこなしていると感じる作品が出始めているので、感心するところがあります。
RGSSは、本当の意味で使っているか使っていないかで作品が大きく変わるものだと思います。なので次回作はRGSSを重視していいものを作りたいですね。その前にRGSSを勉強しなければなりませんが。

世界観やキャラクターはまだ決めていませんが、「Dragoness Edge 2820」の本編(実は今回作ったものは序章)を作ろうかと思っていました。……が、あまり乗り気ではないところもあります。今は水滸伝にはまっているので、水滸伝でも作ろうかなと安易に考えていたりします。



■よろしければこれまで遊んだことのある(ご自身以外の)ツクール作品で、好きな(または気になる)タイトルを2、3作品教えてください。その理由もお願いします。

まずはKeyさんの「クレアンティクス・ゼロリヴァイバル」。(「クレアンティクス」を紹介したかったのですが、配布が終了しているので)
サイバーパンク調の世界観でカッコいい戦闘、ダークな演出など、王道RPGにはないすごく強い個性が大好きです。
Keyさん自身も物凄くいい方です。高2の時に知り合い、その頃からずっとゲームをプレイさせてもらってます。

次にSmokingWOLFさんの「シルフェイド幻想譚」。
一歩ごとに進む時間。その時間によってシナリオが変化するという部分がすさまじい威力を持ってます。気がつくと3周ぐらいプレイしている代物です。ゲームのつくり自体も丁寧で、プレイしていない人は今すぐやってみてほしいぐらい。
また、SmokingWOLFさんのサイトは有名なので、色々な情報や様々な人と会えるんじゃないかと思います。

最後に重歳さんの「アビス・ダイバー」。
ゲームの内容から素材まで本当にお世話になりました。「ナイトブレード〜最後の猟犬〜」をプレイしていたので、「アビス・ダイバー」をプレイした時、”重歳さんじゃないか!”と、驚いたことは今でも覚えています。

※クレアンティクス・ゼロリヴァイバル…Keyさん
※シルフェイド幻想譚…SmokingWOLFさん
※アビス・ダイバー…重歳謙治さん


――shigetoshi.gif僕の作ったアビスなんとかを取り上げていただき光栄です! ここだけのハナシ、サウラスドさんの制作スタイルを見ていると、非常に近しいものを感じるんです(ご迷惑かもしれませんケド)。
本人としては見せたいシーンや絵が出せたら満足な反面、ゲームシステム面でもこだわってしまうトコロとか……。(アビス・ダイバーを作ったトシ重)



■ゲーム制作を依頼されるための秘訣があるとしたら、それはどんなことだと思いますか?

なかなか難しいお題ですね。
私の場合は、ツクールモバイルのコンテストで受賞、その後にモバイルでサンプル制作を依頼されて、次に「VX」のサンプルという流れでした。

そこから考えると、ツクール部署さんが行なっているコンテストがあれば、積極的に参加して自分の作品をアピールすることが重要なんじゃないでしょうか?
テックウィンさんのコンテストパークはツクール作品の応募も多いので、そこで名を上げるのもひとつの手ではないかと思います。


――まずは作品を完成させ、それをWebで公開していることが第1ですね。ここ数年はWebで作者さんを探すこともあるため、遊べる作品があるとなお良いです。ただ、検索にかからなければ意味がないため、どこかのリンク集に登録したり、何かしらのコンテストで受賞していると、見つける頻度は高くなると言っておきましょう。
ツクール部署が作品を募集するようなことがあれば、それはかなり目に止まる確率が高くなります。たとえ小さなコンテストや、モバイルのときのように人を選んでしまうような場合でも、とにかくアピールはしておくと良いです。次に繋がりますから。そういう意味でもサウラスドさんは良いお手本になったと思います。
ポイントは、今でもアクティブに創作されている方です。以前は作っていたけれど今は活動していない、という方には依頼するのが申し訳ないですから。



■では最後に、初心者へ向けて制作のコツや応援のメッセージがあればお願いします。

まずは1作品完成させることでしょうか。
やりたいことはいっぱいあると思いますが、物作りには制作手順と言うものがあって、それを無視してしまうと効率が落ちてしまうだけでなく、すぐに飽きてしまう可能性があります。

コツというわけではないですが、ゲームの最初から作らずにラスト部分から作ってしまうというのも1つの方法です。結果の部分を作ってしまえば、後はその結果になるようにシナリオやキャラを作ってしまえばいいわけですから。

作ってしまった部分は作り直してはいけない、ということも重要です。
クオリティが低いからといって作り直したとしても、幾度となくそうした部分が出てきてしまい、最終的には無限ループに陥ってしまうからです。
それが悪いとは思いません。新しい技術や方法を考えるのは必要なことだとは思います。
ただ、作品を完成させるという部分では天敵なので、1作目は出来る限り避けたほうが良いです。
それと、ツクールの触りすぎというのもいけません。時々ほかの事をしたほうが気分転換になり、制作意欲も高まります。

”ツクールは一日にしてならず。虎視眈々と作るもの”…と、誰かが言ってました。
ツクールを触っているだけで面白いのであれば、それでいいと思います。そこで変に上を目指しても、”制作が作業”になってしまうだけですから。気がついたら”コイツ相当できるな”と言われるようになってる、そういうものだと思うのです。


――「Dragoness Edge 2820」を生み出した作者さんの姿が、多少なりとも見えてきたコメントだったと思います。「VX」で初めて「ツクール」に触れた方、みなさんはこれからです。どんどん先輩方に続いていってほしいものですね。本日はありがとうございました。


※「ファミ通.COM 無料ゲーム」でダウンロードできる、サウラスドさんの作品。(2008年2月現在)

・RPGツクール2003作品
Dominalance Other Ragnarok Dual Story
http://www.famitsu.com/freegame/2003/0002.html

・RPGツクールfor mobile作品(※対応する携帯電話からのみDL可能)
TROYANOV 第1話
http://www.famitsu.com/freegame/mobile/0009.html
TROYANOV 第2話
http://www.famitsu.com/freegame/mobile/0010.html
TROYANOV 第3話
http://www.famitsu.com/freegame/mobile/0011.html
TROYANOV 第4話
http://www.famitsu.com/freegame/mobile/0033.html


投稿者 ツクールスタッフ : 2008年02月07日 19:13

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