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サンプルゲーム作者インタビュー 「レクトールと黒獅子の紋章」

2008年01月28日

kawasihma.gifこんばんは、アーツ川島です。

今日はチーム名”Shine Garden”の、よしむらさんとmackieさんへのインタビューをお届けします。



blacklion_t.jpg
作品名:レクトールと黒獅子の紋章
作者名:Shine Garden

前作「RPGツクールXP」のサンプルゲーム「Alestian Story」で大抜擢され、その後もモバイル版ツクールで「FINDIA」を6話分手がけた経験あり。剣と魔法のRPG世界を丁寧に作り上げる腕は逸品。特にゲームバランスの安定感は絶妙で、市販ゲーム並みに安心できるという、丁寧な作りにこだわりを感じる方です。
今日はチームで作成されたお二人にお話を聞きしました。



■まずは自己紹介からお願いします。ツクールとの出会いや活動など、これまでの経歴を語ってください。

よしむら:「レクトールと黒獅子の紋章」でゲームデザインとシナリオを担当したよしむらです。これまでには、素材配布サイト「First Seed Material」で「マテリアルクエストVol.1」と「マテリアルクエストVol.2」を、そして「RPGツクールXP」のサンプルゲームとして「Alestian Story」を制作。他にも「RPGツクール for mobile」で連載作品の「FINDIA」を制作しました。ツクールとの出会いは「Dante98」が最初ですね。自分でもドラクエのようなゲームを作れるんじゃないかと思って購入しました。

mackie:よしむらさんとのチーム制作で主にグラフィックやシステム関連を作成しているmackieです。「レクトールと黒獅子の紋章」では顔グラフィックなどの画像やスクリプト部分を担当しました。ツクールとの出会いは家庭用の「RPGツクール2」です。弟のものだったんですが、いつの間にか私が独占していました(笑) PC版は「RPGツクール2000」からです。



■サンプルゲームの制作依頼が来たときのお気持ちを聞かせてください。

よしむら:ありがたいお話をいただいたと素直に思いました。

mackie:答えは決まっていましたけど、非常に忙しい時期だったので正直不安でした…。



■「RPGツクールVX」を扱ってみた第一印象を教えてください

よしむら:スクリプトを使わなくても見映えの良い作品を作れるなど、「2000」の良さが戻ってきたツクールだと思いました。サクサクとゲームを作れる点がとても良いと思います。その反面、個人的にはマップ関連の制限がちょっと厳しかったですね。

mackie:マップの仕様は確かに人を選ぶかもしれませんね。逆に、素材の作りやすさという点では、かなり配慮されていると感じました。手軽さが増していると同時に、アルファチャンネルの対応や、さらに洗練されたRGSS2のように、「XP」の良さもちゃんと引き継がれていますので、独自の素材やシステムを取り入れたい方にも使いやすいツクールだと思います。



■すごく丁寧なゲームを作られるなと思っているのですが、お二人はどのようなことを考えてゲームを制作されるのでしょうか?

よしむら:〆切に間に合うよう、スケジュールの事ばかり考えてます(笑)……まあ、それは冗談として、楽しんでもらえるといいなという事ぐらいしか考えないですね。意気込みすぎると空回りしちゃったりしますし。

mackie:私の場合は、冗談抜きでスケジュールです(笑)ゲームの内容に合わせて素材などを作っていく作業ですので、質はともかく物だけは揃えないと大変な事になっちゃいますから。ただ、時間との戦いには負けてばかりなんですけど…。

――今回はスケジュールがかなりタイトでしたからね。それでもあれだけのクオリティが保てるのは凄いと感じます。特にスクリプトがそれなりにわかる方にとっては、インターフェイス部分でのデザイン面も参考になる作りですからね。



■お二人がゲーム制作で重視するのはどのあたりですか?

よしむら:「遊びやすさ」ですね。「難しい」のと「遊びにくい」のとは違いますので、どんなゲームを作る場合でもこの点は重要視しています。製作したゲームを公開する以上、遊んでもらえなければ意味がないですから。

mackie:私も同じですね。メニューなどのインターフェイスは特に悩みます。



■今回の作品は、制作に何時間ぐらいかかりましたか?

よしむら:時間に換算するとちょっと分からないですね。外出している時も、頭の中ではどういう風にイベントを組もうかとか考えてましたので。制作期間ですと2ヶ月弱程度になります。

mackie:時間の掛かる作業は週末に集中して…というパターンでしたので、実質200時間くらいじゃないかと思いますが、期間中はやはり制作の事で頭がいっぱいになります。



■今回の作品の中で、お気に入りのキャラクター、またはシーンをそれぞれ教えてください。

よしむら:レクトールです。久々に引っ張り出してきたキャラクターですし、元々は一切喋らなかったキャラクターなのでうまく動いてくれるか心配でしたが、うまい感じに動いてくれたと思います。
 お気に入りのシーンは、レクトールと王子との会話シーンですね。2人の関係がうまく出せたと思ってます。初期のシナリオでは2人があぶない方向に行きかけたりもしましたが(笑)

mackie:私はルビイです。レクトールが喋らない分、世話女房のように頑張っていたイメージがあるんですが、今作でも、どちらかと言えばクールな2人を元気に盛り上げてくれましたので。……性格も相変わらずみたいですけど(笑)
 感慨深いのは何と言ってもラストシーンなんですが、サブイベントでの住民達とのちょっとしたやり取りも好きです。



■先ほど締め切りのお話もありましたが、限られた時間内で作るのは非常に大変だと思います。よろしければ制作時の苦労話などがあればお聞かせください。

よしむら:「XP」の時の経験があるので、さほど苦労はしませんでしたが、制作期間があと1ヶ月ほど長かったらもうちょっと楽に作れました。最後は徹夜になったので(笑)
 一番焦ったのは、ヘビだと思っていた敵の完成イラストがトカゲだったと〆切直前に分かった事ですね。Snakeってファイル名なのに! と、思わず腰が砕けそうになりました。ザコ敵として配置済みで、「巻き付き」という攻撃をするように設定していましたので、あわてて名前から攻撃パターンまですべてに修正を入れました。あのイラストでは「巻き付き」そうにないですから(笑)一通り振り返ってみて、この衝撃を超える苦労話は他にないです(笑)

mackie:トカゲはちょっとした事件でしたね(笑)やはりサンプルゲームならではの苦労というのはありました。大半を仕様などの確認に費やしていたような気がしますし。制作日数に関しては、もっと時間があったらアレもコレも出来たのにという思いはありますけど、気持ちの上では楽な面もありました。
 私が一番苦労したのは、今回に限らずですがイラスト描きです。制作課程上どうしても後回しになるんですが、普段絵を描いていないのもあって想定していたよりずっと時間が掛かってしまうので、いつも締め切り間近に泣きながら描いています…(笑)

――「大蛇」でトカゲというサプライズ。いえ、狙ったわけではありませんが…。絵に合わせてすぐに仕様を切り替えていただけて助かりました。



■「XP」の「Alestian Story」もお二人で制作されましたが、これからチームを組んでみようと思っている方へ、何かアドバイスがあればお願いします。メンバーを集める方法や、制作を円滑に行なうコツがあれば教えてください。

よしむら:メンバーには、気の合う仲間を選ぶ事が大事だと思います。あくまでも趣味で制作しているわけですから、目指しているゲームの方向性が違ったりすると、制作の途中でトラブルが起こりやすくなっちゃいます。
 あとは、音信不通にならない人を選ぶこと。冗談のようですが、これが一番大事です。僕も何度か痛い目に遭ってますので(笑) ですので、チームを組む前にまずはツクール仲間を増やしていくことが先決ですね。
 制作を円滑に行うコツは、メンバー同士こまめに連絡を取り合う事です。作業に進展がなくても連絡を取り合う。チャットでも掲示板でも何でもいいですが、定例会議みたいなのを開くのも一つの方法ですね。そうすることで、今の制作状況がどうなっているのかを全員が把握出来ることになります。いくら一生懸命作っていても他のメンバーに連絡しなかったら、一生懸命やってるのかサボってるのか分かりません。ですから、チームで制作を開始する前に、そのあたりのルール作りをしっかりとしておくべきだと思います。

mackie:このチームは素材サイトでの企画がきっかけでしたが、はっきりとした目標がありつつも変に気負う必要がなかったのが幸いだったと思います。その点では今もほとんど変わりませんが、まずは短期間での小さなプロジェクトから始めてみるのがいいんじゃないでしょうか。大規模な制作はそれなりの信頼関係がないと、いずれ歪みが出てくると思いますので。
 制作にあたってのコツ……というより心掛けているのは、自分が何を求められているのか、自分から提案できるものは何かを考えるという事です。そのためにも、コンセプトはしっかり確認しておいた方がいいですね。私たちの場合は人数も少ないですし既に気心も知れていますので、かなり好きなようにやらせてもらっていますけど、作品がどこへ向かっているのかが見えているからこそ、信頼し合える環境が生まれると思っています。

――アマチュア制作とはいえ、やることは仕事と同じように感じますね。チームを組むのだから根本的な部分で輪を乱さないことが大切。それでいて自分の好きなことを進められる仲になれれば良い。そういう仲になるためには、やはり頻繁な連絡は必要ということになる。
たとえばWebで募った知らない者同士でも、連絡を取り合っていくうちに相手の思考もある程度は見えてくるものですから、やはり互いを知るために連絡は多く取れる環境を持っておき、リーダー役は小マメに連絡することが、チーム制作を成功させるカギなのでしょうね。



■さて現時点での実力で判断した場合、100点満点で評価するなら今回の作品は何点を付けたいですか?

よしむら:80点くらいでしょうか。色々と理由はあるのですが、少々重くなってしまって満足に遊べない人を出してしまったのでマイナス10点。多少不具合が残ってしまったのでマイナス10点といった感じです。それ以外の部分は、制作期間のことを考慮すると満足のいくレベルになったと思っています。何より好評なようですので、それだけで十分です。

mackie:70点くらいです…。減点の理由は、自分にとって難しい事に挑戦する余裕がなかった事、作業量という点で作品中に占める割合が前作までの比ではなかった事などです。でも、今回はこういった条件の中で出せたものが全てですので、70点満点だと思うようにしています(笑)

――お二人とも自分に厳しいですね。ウチからは100点を出したいぐらいですよ。



■では今後もまた「VX」で作品を作ってみたいと思いますか? もし作るならどんな作品にしたいですか?

よしむら:作ってみたいと思ってますので、現在企画を進行中です。どんな作品にしたいかはネタバレになってしまうのでナイショです(笑)

mackie:ナイショだそうです(笑)



■よろしければこれまで遊んだことのある(ご自身以外の)ツクール作品で、好きな(または気になる)タイトルを2、3作品教えてください。その理由もお願いします。

よしむら:「天使の絵本」が遊んでいて楽しかったです。世界観が好きですし、操作性も良好、技術的にも優れている素晴らしい作品だと思います。
「月夜に響くノクターン」はマップの組み方や、キャラクターの動きなど細かい部分まで丁寧に作られていて、最後まで楽しくプレイする事が出来ました。

mackie:挙げるとキリがないんですが、遊び応えのあるものでは「時のイタズラ」や「飛べない虫」が好みでした。システムと演出がとてもいい感じにマッチしている作品だと思います。
「Moon Whistle」や「盗人講座」のような、コミカルさの中にドラマがある作品も、遊んでいて楽しいのと同時に心に残りますね。

※天使の絵本 -THE FABLES ALTER- …さもなーさん [紹介&ダウンロード]
※月夜に響くノクターン…ショウさん [紹介&ダウンロード]
※時のイタズラ…Colorさん [紹介&ダウンロード]
※飛べない虫…スカラベさん [紹介&ダウンロード]
※Moon Whistle…神無月サスケさん [紹介&ダウンロード]
※盗人講座…中西亘さん [紹介&ダウンロード]



■「XP」と「VX」で連続してサンプル制作者として抜擢されました。ツクール部署から聞くのも何ですが、ゲーム制作を依頼されるための秘訣があるとしたら、それはどんなことだと思いますか?

よしむら:とにかくツクールでゲームを作っていることが伝わらないと依頼もされませんので、コンパクなどのコンテストに応募するのが一番だと思います。個人で公開するだけよりも、そちらの方が伝わりやすいですね。あとは、何作も公開していけば自分の作風がより伝わりますので、依頼されやすくなるのではないでしょうか。

――作風は大切ですね。どんなに尖がった作品だとしても、その人の個性はその人にしか出せませんから。とはいえ、あえて個性の強いものを狙うと肩透かしを食らったり…。恥ずかしさを克服して、自分自身を出してしまうほうが、むしろ受け入れられるものだと私は思います。



■ゲーム制作の初心者の方へ、制作のコツや応援のメッセージがあればお願いします。

よしむら:最初から凝ったものを作ろうとすると失敗してしまいますので、まずは完成させることを目指してみてください。町とダンジョンが1つずつだけのゲームでもいいです。とにかく完成させればそれが経験になりますし、公開して感想をもらうことで、それが勉強になります。どんなにすごい技術を使っていても、完成させなければ経験にはなりません。「VX」は素材を差し替えたり、スクリプトを使ったりしなくても、十分見映えのあるゲームを手軽に作る事が出来ます。これからゲーム制作に挑戦してみようという方にはオススメのツクールですので、ぜひ最初の一歩を踏み出してみてください。

mackie:ただ延々と作り続けるのも楽しいですが、完成させた時の達成感は、山頂で景色を眺めるのに似て格別です。途中で投げ出さないためにも、ゲームを作ろうと思った目的や理由を見失わないというのが大事だと思います。……と言っても、私の場合は「そこにツクールがあるから」なんですけどね(笑) 制作を通して初めて挑戦した事、経験した事がたくさんありますので。
 結局は「自分が楽しめる事」に尽きると思います。だからこそ、まずは誰かに見たり遊んだりしてもらえるものを作ってみてください。私のプレイヤーさん第一号は、ツクールを教えてくれた弟でした。

――今日のお話では、チーム制作を考えている方にも参考になったと思います。本日はたっぷりとお答えいただきありがとうございました。


※「ファミ通.COM 無料ゲーム」でダウンロードできる、Shine Gardenさんの作品。(2008年1月現在)

・RPGツクールVX作品
レクトールと黒獅子の紋章 体験版
http://www.famitsu.com/freegame/vx/0001.html


投稿者 ツクールスタッフ : 2008年01月28日 19:23

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