ファミ通.com

ファミ通媒体メニュー



ツクールBlog

« 川島流ゲームの作り方(3) 「主人公の生み出し方(U)」 【初心者編】 | ツクールBlogのホーム | いよいよ明日が発売日! »

川島流ゲームの作り方(4) 「主人公の生み出し方(V)」 【初心者編】

2007年12月22日

kawasihma.gifこんばんは、アーツ川島です。

私はツクールの作者には大きく分けて2通りいると思っています。それはシナリオ派とシステム派。

自分はどちらかと言われればシナリオ派であり、ゲームを作る際にはどんなキャラクターを登場させようかという部分から考えます。合わせて大まかな物語も考えますが、細かいイベントは登場キャラクターに頼る面があるため、キャラクター作りには気を遣います。もちろんシナリオ派がすべてそうではなく、それぞれ独自の組み立て方をお持ちのことでしょう。

ちなみにシステム派とは、”ゲームに自己流のルールを設ける”や”オリジナルシステムを構築する方”を指します。主人公はそのシステムを楽しむためのコマであり、プレイヤーの代わりとなるもの。よってシステム派の方が作るゲームでは、特に主人公の個性は細かく意識しなくても良いと思っています。

もちろんシステム派でもシナリオに気を遣っている方、またその逆も然りで、中には両者を兼ね備えている方もいますが、基本的にはどちらかに寄っているものです。

市販の作品は多人数で作っているため、シナリオもシステムもしっかりしています。そこを目指すのもアリですが、個人ではどうしても限界があります。チームで作られる方もいますが、「ツクール」を扱う大多数は1人で作ることでしょう。システム派、シナリオ派、どちらも自分の特徴を引き出した作品を作ることが良いと思います。



さて今日は主人公の生み出し方についての第3回。
第1回「主人公の生み出し方(T)」
第2回「主人公の生み出し方(U)」

前回までは、主人公の性格作りについて基本部分をお話しました。
今日はさらに一歩踏み込んで、より主人公をゲームの主役として立ち回らせるためのテクニックと、ネタ作りのヒントになるお話をしていこうと思います。ぜひゲーム作りに役立ててみてください。



■弱点こそ個性

初めて作るゲームの主人公は、なぜか完全無欠なキャラクターになりがちです。
例えば、熱血系でどんな敵をも打ち負かす強さを持っている主人公。ある洞窟で直面した謎に対して「これはこうやって解けばいいんだ」なんて高い頭脳を見せられると、ちょっと疑問に感じてしまうものです。強さも頭脳も持ち合わせている、そんな完璧なキャラクターはむしろ面白味がないと思ってください。

欠点があるからこそ人間らしさが生まれます。キャラクターが上手く立ち回ってくれないと思える場合は、そのキャラクターに欠点が無いからではないでしょうか。
万能タイプを作り上げてしまう気持ちも重々分かるのですが、あえて弱いところを見せることで、よりドラマ性が高まるものなのです。

弱点があることでプレイヤーに親近感が沸き、物語へ引き込ませる要因にもなります。また、ときおり作者が予測しえなかったイベントを生み出すことにもなる要素を秘めています。実は弱点というのは役に立つ要素が多々あるのです。

例えば、作者のなりたい自分を投影した”憧れ系”。口数が少ないけれどひたすら強い、そんな格好いい主人公。けれども実は方向音痴という弱点がある。
思わずガックリする弱点ですが、これがゲームのスパイスとしてジワジワ効いてくるのです。

仲間も増えた物語の中盤あたりで「あれ? ひょっとして方向音痴?」などとツッコまれ、「……」と困る姿を見せれば、今まで近寄り難かった印象がこの一件で崩れ、少し可愛く身近に感じられるようになるはずです。

なお、弱点をいきなり最初から見せるのはタブー。しばらくは表の個性をしっかりとプレイヤーに植えつけさせなければスパイスとしての効果は薄れます。よって序盤は基本個性で突き進んでください。そして物語中盤でひょっこり見せるのがテクニックなのです。

この弱点を1回限り見せてその後は放置しても構いませんが、シナリオ作りが分かっている方ならば、後々その弱点が発端となる事件を作ることも忘れません。
例えば、連れ去られた仲間を助けるため、1人洞窟をさまよう主人公。方向音痴が災いして思い通りに目的地にたどりつけない。しかし普通ではたどりつけない場所に到達することとなり、敵を倒すヒントを見つけることになった、なんていう展開が自然と表現できることになります。
もし方向音痴という弱点が無かった場合、”ひょんなことで普通ではたどりつけない場所に到達”は、プレイヤーからは都合がいいと思われてしまいます。ですが方向音痴なら仕方ない、むしろ弱点が幸運をもたらしたというドラマ性が生まれたことになるわけです。



■特殊能力と特殊な状況

プロアマ問わず慣れた方の作品を見ると、主人公に特殊能力があったり、主人公の置かれた立場が特徴的だったりします。それはシナリオを生み出すための基本的なテクニックであり、それがあるからこそ物語になるからです。なので主人公に特殊な能力や状況を設定しておくことは、初心者にとってもシナリオを生み出しやすくなる要素といえます。
ここではよく扱われるネタを参考に、能力と状況について私なりに分析してみました。ネタ出しの参考にしてみてください。



・主人公にしかない特別な力

憧れ系に多いのがこれ。主人公だけが持つ特殊能力というのは、少年マンガでも基本中の基本として設定されることもしばしばです。どんなものにするかはあなた自身が考えてください。

手っ取り早い方法として、あなたが欲しい能力を1つ思い浮かべることです。それを究極的に発展させることで魅力的な能力が生まれます。あなたが望むものはプレイヤーにも魅力的に映ります。そしてプレイ意識を高める材料にもなるのです。

ただし複数の能力を合わせてはいけません。”究極的に発展”とは、1つの部分をとにかく最大限に伸ばしたものです。よって”コレはできるけれど、アレはできない”という性質にあえてすべきだと思っています。
なぜならそうした制限があることで、能力にも弱点が生まれるからです。主人公同様、能力にも弱点を備えることでシナリオに対してより幅を広げることになります。

例えば、使えば使うほど主人公の生命力が削られたり、その能力を発動させるためには世界に数えるほどしかない何かが必要だったりという弱点、またはデメリットです。
使ったらその後に睡眠を取らなければならない程度では弱いです。無限ではなく有限な何かを代償とするのがここでのポイントとなります。



・記憶喪失という状況

俺は誰だ…、なぜここにいる? ありがちながらも初めて作るにはとても都合のよい設定です。なぜならプレイヤーもそのゲームに初めて触れるため、世界観も主人公の置かれた状況もわかりません。よって主人公の歩む速度に合わせてプレイヤーも少しずつ状況がつかめてくるため、最初から多くの説明を必要としないというメリットがあります。

さらに、見えなかった謎が少しずつ明らかになっていく様は、プレイしていても面白いと感じられる要素。特に凝った仕掛けではなくても簡単に面白さを感じてもらえる手法なのです。

ただし序盤の展開は簡単に作れるものの、謎の解明の”順序・要素・密度”がゲーム性の良し悪しを決定付けるため、相当上手にバランスを取らなければならない難しさがあります。初心者では作っている途中でつまづくこともあるため、ある程度シナリオ作りに慣れてからの手法だと思います。

もちろん”明かされる謎の衝撃度”もプレイヤーにとって評価の対象になります。あまりにもつまらない事実だった場合、たとえ終盤でもそこでプレイを投げ出されてしまうこともあるでしょう。だからといって”今まで誰も見たことの無い衝撃度”というレベルは必要ありません。「そういうことだったのか」と、ある程度の驚きを与えてくれるだけの見せ方が必要だということです。この”記憶喪失”は簡単に思えつつも、実はそれなりの技術を要する設定なのです。



いかがでしょうか。これでも主人公作りを語るには足りないぐらいですが、ポイントを絞って挙げてみました。
こうしてみると、主人公の設定がいかにシナリオに密着しているのかが分かってもらえると思います。
一番のポイントは、物語の途中で性格が揺れないようにするために”確固たる性格固定”をすることです。それは新たなネタを生み出すカギになるということも覚えておいてください。

以上、これで主人公の作り方については終了です。
次回は仲間となるキャラクターの作り方。
一緒に冒険する仲間が持つ制作上の価値、その個性作りなどについてお話します。


投稿者 ツクールスタッフ : 2007年12月22日 19:30

ソーシャルブックマーク

はてなブックマークに追加 ライブドアクリップに追加 Yahoo!ブックマークに登録