『GTAV』デモリポート システム編
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『GTAV』デモリポート “Blitz Play”編
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『GTAV』カバーアートが公開
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『グランド・セフト・オートV』初のゲームプレイ映像が公開!
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革新的なストーリーテリングを可能にする“キャラクター・スイッチ”など、基本システムを大紹介!『GTAV』ハンズオフデモ最新レポート(前編)
2013.06.20
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Text by Mask de UH
 全世界が注目する『グランド・セフト・オートV』(以下、『GTAV』)の発売が、もうすぐそこまで迫っている。そして過日、ロックスター・ゲームスが最新のハンズオフデモ(スタッフがプレイするのを見るデモ)を開催した。
 さっそく筆者はその現場に向かい、そこで驚くほかない斬新なシステム、こちらの予想を遥かに上回る進化を遂げた『GTAV』の……ほんの一部に過ぎないが……素晴らしいゲームデザインを目撃することになった。いまだ興奮冷めやらぬ状態ではあるが、まずは落ち着いて『GTAV』の仕上り状況について詳細にレポートしたい。

■最新トレイラー映像から読み解く3人のキャラクター像
 本題に突入する前に、新しいトレイラー映像はご覧になっただろうか? 主人公3人にそれぞれスポットを当てたものだが、これは単に3人のキャラクター紹介という体裁ではない。
 重要なのは、3人それぞれが全く違うコミュニティ、生活空間、行動範囲で生活しており、それが1本のゲーム内で同時に成立している部分であり、トレイラーではその違いが如実に表れていることに、お気づきになっただろうか?
 そこでまずは3人のトレイラー映像を基本軸に、改めてキャラクターのバックボーンを紹介しよう。


01

マイケル――華麗なる生活と中年の危機
「俺は金持ちで惨めだ」
 マイケルは高級住宅地でセレブ丸出しの生活だが、すべてが満たされているはずなのに彼の表情は常に不満げだ。退屈な日常にうんざりし、荒々しかった“あの頃”を懐かしむマイケルは、金持ちになることが決して本当の意味での幸せではないことを体現している。
 輝く太陽、広く豪華な邸宅、大画面テレビ、テニスコート、ゴルフ……しかし何かが足りない。QUEENの名曲“レディオ・ガガ”をBGMに満たされないマイケルの悲哀がタップリと表現されており、どことなくロバート・デ・ニーロ主演作「アナライズ・ミー」を彷彿とさせるのが、マイケルというキャラクターなのだ。


03

フランクリン――夜のギャングスタ・ライフ
「クソみたいな毎日から抜け出すんじゃなかったのかよ!」
 一方のフランクリンは、マイケルとは対照的だ。サウス・ロスサントスのダウンタウンに暮らす彼のHOOD(縄張り)は、アスファルトがひび割れてペンペン草が生えたアフロアメリカンたちの町である。ブラックならではのスラング会話が飛び交い、クルマ泥棒に強盗にギャング抗争が絶え間なく発生する危険極まりないエリアだが、マイケルと知り合ったのをキッカケに、フランクリンは、そんな掃き溜めのような土地から脱出して栄光を掴むために、自ら危険な賭けに打って出る。

 フランクリン編で注目したいのは“夜戦”の多さだろう。夜でも明るく治安の行き届いたアップタウンとは違い、サウス・ロスサントスは日没すれば無法地帯。暗闇に紛れて襲撃してくる敵対ギャング、警察のヘリはサーチライトを照らして犯人を追い詰め、深夜のカーチェイスは視界の悪さによって命がけ。これはまさしく西海岸を舞台にしたギャング映画「メナースIIソサエティ」そのまんまの世界だ。マイケルとは正反対だが、超金持ちと貧乏人がブロックを隔てて生活する風景こそ、この街の現実なのだ。


02

トレバー――満月に吠える狂気の暴走機関車
「また俺のムスコに会いてぇのか?」
 そしてお待ちかねの、みんなの大好きなトレバーだ。満月に向かってパンツ一丁で遠吠えするトレバーの勇姿は尋常じゃないカッチョ良さに満ち溢れているが、その生活ぶりも尋常ではない。元軍人であり、マイケルの旧友でもある彼氏は、麻薬の密売人としてロスサントス のカントリーサイド、要するに“ド田舎”のブレイン郡のトレーラーハウスで生活している。
 出会い頭に会った人間全てにパンチをお見舞いし、拷問し、昔取った杵柄で特殊車両を乗り回し、はたまたパンツ一丁で荒野を駆け巡るトレバーのおやっさんは、間違いなくGTAシリーズ史上、いやビデオゲーム史上における最狂最悪のキャラクターと断言できる。それは、ハーシェル・ゴードン・ルイス監督の古典スプラッター映画「2千人の狂人」を彷彿とさせる能天気かつ狂気じみた存在であり、牧歌的でワイルドなカントリーソングが、トレバーの狂気を際立たせているのだ。


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■『GTAV』を象徴する“キャラクター・スイッチ”
 そんな3人が出会ってしまうのが『GTAV』なワケだが、史上最強のオープンワールドを目指したゲームデザインがあってこそ、この強烈なキャラクターたちの競演が成立する。
 広大な……いや広大すぎるマップの中を1人で踏破するのではなく、3人がそれぞれ好き勝手に楽しむ。それも同時に! まるで夢のようなゲームシステムだが、これが実現しちゃってるんだから脱帽するしかないのだ。そう、『GTAV』独自の新システム“キャラクター・スイッチ”である。

 『GTAV』では、メインとなるミッションを3人で協力しながらこなしつつ、ミッション以外はめいめい好き勝手に動いている。3人が異なるエリアで生活しているので、プレイヤーは別々のライフスタイルを持つ彼らの日常に、任意で好き勝手にアクセスできるのだ。フランクリンがパラグライダーを楽しみ、そこから瞬時にマップからトレバーの日常にジャンプ。二日酔いで前後不覚なトレバーから、さらに歓楽街のバーで一杯やってるマイケルにスイッチと、全てがスムーズかつプレイヤーの気分で変更できるのだから、これは大マジで凄いシステムだ。

 オフミッション時にはプレイヤーは出入り自由だが、オンミッション時には大きく変わる。オンミッション、またはメインミッションの場合は2人から3人のキャラクターを交互にスイッチしながらこなすというスタイルであり、切り替えの方法はミッションによって異なってくる。
 カットシーン再生時に自動的に切り替わる場合もあるし、窮地の状況をプレイヤー自身が見極めてスイッチする場合もあるし、他キャラクターからの指示によって手動で切り替える場合もある。
 手動スイッチの場合は、プレイヤーの好みの戦略スタイルに大きく左右され、各キャラの固有の武器や性能を見極めつつ攻略することになる。何度も同じことを書いて恐縮だが、これはマジで凄まじいシステムだ。
 複数のドラマが同時進行する、某人気TVドラマのアクションシーンを思い出してほしい。アレがゲームで体験できるのである。多様なストーリー性を実現させるためのシステムとして、これほど適したデザインは類を見ない。『GTAV』によって、オープンワールドゲームは新たな革命の季節に突入したのである。


■ゲームのサウンドトラックも一新!
 ちなみに今回より、ゲーム内のサウンドトラック・システムが一新されている点にも注目したい。これまでのGTAシリーズは、カーラジオから流れる音楽がゲームのBGMも兼ねていたが、『GTAV』ではシリーズ初となるインゲーム・ミュージックが採用されている。
 わかりやすく例えると、『マックス・ペイン3』における、戦いの寸前の場面やマックスが1人悩むシーンで流れた臨場感を盛り上げるBGMが『GTAV』にも採用されたのだ。これによって、ゲームはより映画的になり、プレイヤーがキャラクターと一体化してテンションがバリバリ上がるようになっている。細かいところだが、これは過去シリーズと比較すると最も大きく変わった部分ではないだろうか?


■注目の『GTAV』カスタマイズ要素
 さらに細かいのは、キャラクターや各種アイテムに採用されたカスタマイズ・システムにも注目したい。3人のキャラクターは、それぞれファッションを自由に変更でき、お好みのスタイルにカスタム可能となっている(もちろん服屋で買う)。
 さらにクルマやバイクも、エンジンパーツのチューンナップから塗装による外観カスタム、さらにはナンバープレートまで自由に変更可能! バイク乗りならヘルメットまでデザインが変更できるのだから、細かいにも程がある。しかも、カスタムできるのはクルマやファッションに留まらない。なんと銃火器もカスタムできるというのだから、やること多すぎである。


■広大なマップに詰め込まれた多彩なアクティビティー
 詰め込み具合がハンパじゃない『GTAV』だが、そんな多彩な要素を包み込むマップ構成にも触れておこう。

 まずはロスサントス。『GTA:サンアンドレアス』でお馴染みのアメリカ西海岸ロサンゼルスをモデルにした都市であり、照りつける太陽と乾燥した空気、乾いた風が吹き抜ける広大なエリアにまたがる市街地である。
 エンターティメント文化の中心地でもあるため、映画スターを目指す役者の卵や富を手にしたセレブレティが暮らす反面、下町では不安定な経済状況のために貧富の差が生じ、そこで暴力が育まれる。自己啓発を訴えるカルト教団のリーダー、クルマ泥棒を生業とするチンピラ、そして彼らの生活を追いかける安っぽいリアリティ番組……まさに3人の悪党が出会うに相応しい舞台なのだ。

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 都市部のロスサントスとは、ガラリと変わった風景となるのがブレイン郡である。そびえたつ山脈と悪臭を放つ塩湖、鹿などの野生動物が暮らし、釣りや登山といったレジャーを楽しむ人々が週末になると押し寄せるカントリーサイドだが、こんな長閑な土地だからこそ、トレバーのような狂気を孕んだ人間も暮らしていける。
 プレイヤーもレジャー気分で、ブレイン郡では様々なアクティビティーにチャレンジできる。田舎の悪路を利用したモトクロス・レーシング、高所からダイブするパラグライダー、マップ内を駆け巡るトライアスロン(懐かしい!)、海側ではスキューバー・ダイビングで潜水して、沈没船を探検できちゃったりする。もうこうなってくると、遊びの要素は無限大だ。いや、遊びに終わりなんてない。そう感じさせるマップなのだ。

 『レッド・デッド・リデンプション』の3倍以上の広さを誇る『GTAV』のマップは、都市部からド田舎まで、様々な表情を魅せてくれるのだ。もちろん天候変化、時間経過のシステムも健在であり、今作では雷や暴風雨といった、かつてないスケールの気象変化も発生する模様。ちなみにマップは水中まで続いているので、実質的な広さは3倍どころか5倍に達するといえるだろう。

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 ここまでの解説で、かなりの文字量になってしまったが、繰り返すようだが、これは過日行われたハンズオフデモで明かされた、ほんの一部の情報である。とりあえずここで一旦前編を終了し、より詳しいミッション内容に関しては引き続き後編(記事はこちら)を参照してほしい。『GTAV』を象徴する全く新しい興奮が、そこにある!


©2013 Rockstar Games, Inc.



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