『GTAV』デモリポート システム編
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『GTAV』デモリポート “Blitz Play”編
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『GTAV』カバーアートが公開
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『グランド・セフト・オートV』初のゲームプレイ映像が公開!
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Grand Theft Auto
マックスペイン3
『グランド・セフト・オート:バイスシティ』10周年記念盤トレーラー
ROCKSTAR HISTORIA Vol.10『The Italian Job』&『WILD METAL』〜知られざる日本未発売レアタイトル
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▲現在『Wild Metal』は無料で配布されている。絶対にやるべきゲームかと言われるとそうでもないのだが、物理モデルの導入や広大な荒野を描く3Dエンジン、プレイヤーに与えられた自由度の大きさといった点で、のちのR★タイトルとの繋がりを考える上では重要だ。

Text by Mask de UH
 日本市場では初期のR★タイトルがほとんどローカライズされなかったこともあり、創設期のラインナップに関しては『GTA』以外は無名に等しく、現在のクライムアクション路線確立の以前となる1990年代末期、Nintendo64やゲームボーイ・カラー向け限定タイトルもプロデュースしていた歴史は、日本においては全く知られていない。
 そんな歴史を掘り起こすべく、今回は日本未発売に終わった初期R★の珍しいタイトルを2本紹介したい。

 まずは正真正銘のレアタイトルにして、『ONi』と並んで数少ないSFアクションをテーマとした作品『WILD METAL』に関して語ろう。
 「殺るか殺られるか!人類の未来を取り戻せ!」というキャッチコピーも威勢が良い本作は、戦車型のマシンに乗る賞金稼ぎとなって、未知の惑星に存在する幻のパワーコアを発見して回収するのが目的となるシューティング・アクション。支援ヘリや誘導ミサイルなどの様々な未来兵器を召還して苦境を脱出するゲームデザインが面白く、シングルプレイとマルチプレイが楽しめるというシステムも、対戦スタイルが少ない初期R★作品の中では珍しいだろう。


 開発はDMA Design、後のROCKSTAR NORTHが担当し、'99年にドリームキャストとPCでリリースされ、見た目が『GTA』シリーズとは全然違う印象のため、R★のタイトルと当時から認識するには難易度が高かったし、今から中古ソフトを探すのも難しい……なんて心配は無用! なんと太っ腹なことに『WILD METAL』はR★公式サイトのアーカイブよりフリーダウンロードが可能。その歴史の礎を味わいたい読者諸兄にオススメしておきたい。


『マックス・ペイン3』における映像演出とカットシーン
2012.06.28
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▲画面を分割した演出は、あえてブライアン・デ・パルマやタランティーノ、『24』辺りの、映画やドラマ風の演出と言いたい。もちろん『マックス・ペイン』シリーズのコミックスタイルの演出へのオマージュでもある。

 『マックス・ペイン』シリーズと言えば、実写を加工したアメコミスタイルのカットシーンを記憶しているオールドファンも多いかもしれない。
 本情報局掲載のコラムでマスク・ド・UH氏が初代『マックス・ペイン』の回にて指摘しているように、これは当時のゲーム機の性能では当然だった、美麗なCGカットシーンから実際のゲームプレイの見劣りするCGに移る際のギャップを、同じ3DCGではなくまったく別のアート技法(コミック)を取り込むことで解消するものだった。

 だが技術とハードの進化により、今やゲームプレイのCGも高品質なものとなった。そこで『マックス・ペイン3』では、カットシーンとゲームプレイをスムーズに繋ぎ、さらに進化した演出でストーリーを語ろうと試みている。



 今回公開された映像でとくに注目してほしいのは、カットシーンとゲームプレイがシームレスにつながり、またカットシーンから過去を描くカットシーンへとスムーズにフラッシュバックしていることだ。カットシーン→ロード→ゲームプレイ→ロード→カットシーン……と没入感を削ぐのではなく、カットシーンで湧いた感情のままにゲームプレイに突入し、ゲームプレイで昂ったまま、同じように興奮したマックスが語るカットシーンを体感するのが重要だ。カットシーンはトイレタイムや休憩ではないのである。そしてそのカットシーンでは画面分割やマックスの心境を示す画面エフェクト、重要フレーズをポップアップするテキスト演出などが散りばめられている……・。

 こういったリアルタイムでダイナミックな演出を可能にするために、R★はさまざまな技術を開発・導入している。以前もご説明したように、ゲームプレイ中のアニメーションシステムなどもそういった意図で導入されたものだ。
 初代『マックス・ペイン』の時代なら、少ないアニメーションパターンでドッタンバッタンとシュートドッジしていても、「ゲームはそういうもの」という言い訳ができた。だが今回カットシーンとシームレスに繋がっている以上、ゲームプレイに入った途端に映像の嘘が山盛りになってしまうのでは、こういった努力をした意味がない。
 だからマックスは最新の身体モーション技術によりその時々の周囲の状況に合わせた動作をするし、いつバレットタイムでスローモーションになっても破綻しないよう、弾丸の一発一発もきっちりレンダリングして描くのである。ダイナミックなガンプレイと、シームレスなカットシーン。その連続によって新たな没入感によるシューティングを生み出すこと、それが『マックス・ペイン3』に課せられた使命なのだ。


『マックス・ペイン3』の予習にこの映画を見ろ! 『エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE』
2012.06.27
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 R★と映画は切っても切り離せない関係。『マックス・ペイン3』では、ロード画面をできるだけ削減してシームレスにシーンを読み込むよう工夫しつつ、そこにフラッシュバックなどを交えた映画的なストーリーテリングのカットシーンを挿入していく手法を取っている。プレイヤーはマックスとして、銃撃戦に挑みながら、ドライでビターなストーリーを真に体験していくことになる。

 そこで『マックス・ペイン3』に影響を与えた映画として、『エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE』をご紹介する。ちなみに、ブラジルでは『アバター』以上のヒットとなり、興行収入の記録を塗り替えたとか。前作となる『エリート・スクワッド』についても本情報局でご紹介しているので、まだ読んでいない人はそちらの記事と合わせて読んで頂けると幸いだ。

 『マックス・ペイン3』同様、ブラジルのゲットー“ファヴェーラ”を舞台にしており、ランニングに短パンといったラフな格好でライフルを撃ちまくるブラジリアンギャングが出てくる点も『マックス・ペイン3』と同じ。しかしファヴェーラを、単に「悪党が住む場所」と片付けることはできない。そこには住んでいる大多数は、明日を生きるのに必死なだけの貧しい人々。前作と本作を合わせて見れば、『マックス・ペイン3』のストーリーの背後に潜む問題の本質が理解できるだろう。

 なお前作同様、本作もDVDがトランスフォーマーより発売中。レンタルも出ているので、気になった人はぜひチェックしてみてほしい。


『マックス・ペイン3』ニューヨークで描かれるマックスの過去
2012.06.22
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▲家族の記憶、愛と別れの記憶……マックスにとって、ニューヨークはさまざまな記憶とともにある街だ。

 『マックス・ペイン3』は確かに『マックス・ペイン』シリーズの第3作だが、前作は何年も前の作品だ(しかも日本ではリリースされていない)。だからロックスター・ゲームスは、本作を『マックス・ペイン』をプレイしたことがないゲーマーのことも考えて開発を行なっている。半ばリブート(再起動)とも言えるだろう。

 とはいえ、マックスの身に何が起こったのか、マックスはブラジルにどんな心境で降り立ったのか、彼の苦悩の理由は説明しなければならない。このため『マックス・ペイン3』では、前作の終了後からマックスがブラジルに行くことになるまで、ニューヨーク時代の最後の日々を丁寧に描いている。

 ニューヨークのシーンは、フラッシュバックの形でストーリーの随所に挿入される。カットシーンだけでなく、実際にニューヨークに降り立つミッションも用意されている。初代『マックス・ペイン』や、海外版で『マックス・ペイン2』をプレイした人には、雪がちらつくニューヨークの曇天の下、マックスがシュートドッジで飛び出すのを見るのは懐かしく思えることだろう。本作が初マックス・ペインという人には、なぜ彼が皮肉っぽく、いつも顔をしかめているのかを知るいい機会だ。


ROCKSTAR HISTORIA Vol.9『Thrasher Presents: Skate and Destroy』
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▲R★とストリートカルチャー、ユースカルチャーの関係は切っても切れない。というわけで日本でも出ていたSK8ゲーをご紹介!

Text by Mask de UH

 これまで様々な角度からROCKSTAR GAMESの過去タイトルを振り返り、その礎について考察してきたが、そろそろビデオゲーム史上の転換期となる『グランド・セフト・オートIII』の登場が近い。しかし、これまでも述べてきた通り、『GTAIII』に辿り着くまでの過程無くして『GTAIII』無し。1と2があるから3がある。そして、それ以外にも注目すべきタイトルは、まだまだある……という観点から、1990年代後期から2000年初期にかけての、ちょっとレトロなR★タイトルを紹介したい。

 まずは、初代プレイステーション時代にリリースされた『GTA』シリーズ以外のR★タイトルに関してだ。『GTA』ばかりが注目されている感があるPS1時代だが、なかなかどうして野心的なタイトルも数多くリリースしている。中でも筆者のお気に入りは、北米のスケートボード・ムーブメントを牽引し、“スラッシャー”というアグレッシブなスポーツジャンルを生み出すまでに至ったスケボー専門誌「Thrasher Skateboard Magazine」とのコラボレートが実現した、奇跡的かつ異常に不良性感度が高い3Dスケボーアクションゲーム『Thrasher Presents: Skate and Destroy』('99年/以下、『スラッシャー』)だ!! が、まず本題に入る前に、ゲームの元ネタでもある「Thrasher Skateboard Magazine」の存在を、よもや知らない読者諸兄はいないと思うが、念のためここで基本情報に触れておこう。


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 1981年に創刊された「Thrasher Skateboard Magazine」は、70年代末にカルフォルニアに出現した革新的スケート集団ゼファーによる新たなトリック、技、そしてアテテュードに刺激された新時代のスケボームーブメントを象徴する雑誌である。同誌が従来のスポーツ雑誌と一線を画す点は、スケートボードやスター選手の記事だけでなく、スケボーを取り巻く様々な周辺文化やファッション、過激な主張やデザインによる風刺などを盛り込み、「良識ある親に嫌われるスポーツ」として認知させたことに尽きるだろう。スラッシャーのロゴは反抗の証となり、単なる専門誌を超えたブランドとしての存在感は圧倒的。また、1990年より毎年開催される同誌主催のスケーター・オブ・ザ・イヤーも、街の不良がスターに生まれ変わる登竜門として熱い注目を集めている(最初の受賞者はトニー・ホーク!)。また、メタリカのTシャツデザインなどで注目を集めたイラストレーターのPUSHEADも、同誌での活動からスターダムに駆け上がったのは間違いない。

(編集部より: Thrasher Magは気前よく過去のビデオアーカイブを公開中。まずはマスク・ド・UH氏オススメのライダー、クリスチャン・ホソイ! Class-sick!!!)

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 同誌が自分のようなボンクラにとって如何に重要な位置にある雑誌か理解していただけたところで、本題のゲームである。本作リリース当時は、決して数は多くはなかったものの、既にスケボーのゲームは多数リリースされており、その歴史自体も古い(詳細は、小社刊「洋ゲー通信AIRPORT 51」を参照していただけると大変喜ばしい。もちろん本作も取り上げてます!)。しかしながら、ビデオゲームのテクノロジー自体が進化の過程にあった時代であり、だからこそ個々のタイトルにユニークなエクスキューズが散りばめられていたのも事実。『スラッシャー』もまた、そんな革新的なポイントが随所に見受けられる傑作タイトルであると、ジェイ・アダムズばりの不良中年全開な笑顔で断言したい。


『マックス・ペイン3』マルチプレイを熱くする要素 装備パック・アイテム・バースト
2012.06.15
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▲装備パックは、銃器、アイテム、投擲武器、バーストから構成される。最大5つまでカスタマイズ可能だ。

 『マックス・ペイン3』のマルチプレイを熱くするカスタマイズ要素の詳細が公開されたのでご紹介する。自分のプレイスタイルに合わせたカスタマイズを行うことで、激しい戦闘から生き残る確率も上がってくるだろう。

装備パック

 マルチプレイでは、銃器、アイテム、投擲武器、特殊能力“バースト”を組み合わせて“装備パック”を作ることでカスタマイズを行う。装備パックは最大5つセットしておけるので、自分のプレイスタイルに合わせて、想定するシチュエーション別に複数用意しておくといいだろう。

アイテム

 アイテムには、ガスマスクやヘルメット、カモフラージュ用品、医薬品などが用意されている。例えば同じ頭用のアイテムでも、ガスマスクには催涙ガスを無効化する効果、ヘルメットには頭部へのダメージを50%カットする効果といった具合に能力が異なる。あくまで組み合わせが重要だ。どんな銃器・バーストを持ち、どんな戦い方をするかを考えながら選ぼう。


『マックス・ペイン』Android版がついに発売!
2012.06.15
Tag: News,
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 初代『マックス・ペイン』のAndroid版がついにリリースされた。これでAndroidでもバレットタイムし放題だぜ! iOS版同様、グラフィックの高解像度化も行われており、NVIDIAの高性能チップTegra 3を搭載した端末などでは、さらに綺麗な画面で楽しめる。
 ゲームは完全に日本語化されているので、「英語はちょっと……」という人でも問題ナシ。ゲームプレイをより快適にするため、コントロールボタンのカスタマイズが可能になっているし、USB接続のゲームパッドにも対応しているぞ。
 価格は237円[税込]。なお、購入後に1.3GB程度のゲームデータのダウンロードが必要となる。

マックス・ペイン モバイル(Google Play)

対応スマートフォン
Android Phones: Motorola Razr, Razr Maxx, Motorola Atrix, Motorola Photon, Motorola Droid Bionic, HTC Rezound, HTC One X, HTC One S, HTC Evo 3D, HTC Sensation, HTC Droid Incredible 2, Samsung Galaxy Nexus, Samsung Nexus S, Samsung Galaxy Note, Samsung S2, Samsung Galaxy R, Sony Xperia Play, Sony Xperia S, Sony Walkman Z Series Media Player
対応タブレット
Android Tablets: Acer Iconia, Asus Eee Pad Transformer, Asus Eee Pad Transformer Prime, LG Optimus Pad, Medion Lifetab, Motorola Xoom, Samsung Galaxy Tab 8.9 / 10.1, Sony Tablet S, Sony Tablet P, Toshiba Thrive, HTC Flyer, HTC Jetstream

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ROCKSTAR HISTORIA Vol.8『ONI』
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▲男のR★が戦闘美少女モノを? これぞ別の未来への可能性を秘めたミッシングリンクなのである!

Text by Mask de UH

 21世紀のビデオゲーム史に革命を起こし、常にその進化の最前線に立っているROCKSTAR GAMES(R★)の歴史を振り返るシリーズ連載。今回取り上げるタイトルは、2001年の1月にリリースされた『ONI』。またもや『GTAIII』直前のタイトルであるが、要するにこの時期の洋ゲーはビッグバン五秒前のような市場が沸騰する直前にあたる時代であり、当時のバリバリのプレイステーション2、そして初代Xboxへの期待と不安が入り交じっていた時期でもある。異例のヒット作を送り出していたR★とて、まだ世界の名だたるトップデベロッパーとしては影も形もない時代。ここでもまた、様々な試行錯誤が繰り広げられているのだが、驚くべきは『ONI』が開発された背景にある。恐らく日本のゲーム専門誌媒体では、初めて執筆されるであろう衝撃的すぎる事実を交えつつ、レビューを進めたい。

 これまで何度となく書いている通り、R★が『GTAIII』を世に送り出すまでには、地道かつ壮大な基礎開発の積み重ねが欠かせなかった。その中で、開発力のある多種多様なデベロッパーと組み、幾つかの作品のプロデュースにも取り組んでいたのが、1990年代末から2000年代初め頃のR★のビジネススタイルである。前回取り上げた『ステート・オブ・エマージェンシー』しかり、最新作も大ヒット街道爆走中の『マックスペイン』のパート1とパート2しかり、『アースワームジム3D』や『モンスタートラック・マッドネス』といったNINTENDO64向けにリリースされた意外なタイトルしかり、である。
 64タイトル以外は、現在も脈々と受け継がれるR★のDNAだが、今回取り上げる『ONI』は、R★のDNAとは全く別の種……いわば時代が共鳴して偶然にも誕生してしまった21世紀ビデオゲーム市場におけるトップブランド同士のコラボが実現してしまっているのだ! 
 キミぃ! 今すぐ実家のお母さんに電話して、コトのあらましを説明してあげなさい!


アメコミ版『マックス・ペイン3』第2話が公開中、本編に繋がる決定的シーンも!
2012.06.13
HobokenBlues

 マーベル・コミックとのコラボレーションで制作中のアメコミ版『マックス・ペイン』の第2話「Hoboken Blues(ホーボーケン・ブルース)」が海外の『マックス・ペイン3』公式サイトでpdfが無料公開中。
 前回紹介した第1話「After The Fall」(第2作のタイトル『Max Payne 2: The Fall of Max Payne』にかかっている)に引き続き、『マックス・ペイン2』終了後、ふたたびすべてを失い飲んだくれで鎮痛剤の中毒状態のマックスのホーボーケン時代を描く。
 マックスのニューヨーク市警察時代の話や亡き妻との出会い、警察からの解雇についても描写されるのだが、注目は地元マフィアの息子Tony DeMarco(トニー・デマルコ)に「おいソコのお巡りさんヨォ!?」と絡まれるシーン。実はこれ、『マックス・ペイン3』にも出てくる非常に重要なシーンなのだ! 日本発売をお待ちの人には予習用テキストとして、海外版をプレイした人は「お、となると最後のコマに出てくるのは……」とニヤリと出来る復習用テキストとしてオススメしたい。

Max Payne 3: Hoboken Blues


シリーズ初! 『マックス・ペイン3』マルチプレイモードの映像を公開
2012.06.08

 『マックス・ペイン3』では、広大なシングルプレイモードに加えて、シリーズ初となる鮮烈のマルチプレイモードが搭載。参加しているすべてのプレイヤーに対応してマップやモードの進行状態が動的に変化していく。今回の映像では、バレットタイムに加えて、“ギャング・ウォーズ”、“ペイン・キラー”というふたつのマルチプレイモードが紹介されているので、ファンはお見逃しなく!



ROCKSTAR HISTORIA Vol.7『Smuggler's Run』

Text by Mask de UH

 今更改めて解説する必要もないだろうが、いわゆる"オープンワールド"という概念を確立させた『GTAIII』は、この業界の歴史を変えた。しかし、これまた何度も述べている通り、その境地に行き着くまでには実に様々な試行錯誤が繰り返されていた。プレイステーション時代のGTAシリーズは、あくまで2Dの世界。ストーリーやミッションの内容、クリアまでの手順に関しては既に確立されていたと考えて良いだろう。だが、問題は「どうやってこの世界を3Dにするか?」である。同じマップの箱庭とはいえ、2Dと3Dでは当然ながら密度が全く違う。捉え方によっては、目的地もゴールも無いようなゲームデザインを、どのように落とし込むのか? その難問に挑戦したのが『GTAIII』リリースの1年前に登場した、一風変わったレースゲーム『SMUGGULER'S RUN』(2000年)である。

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▲明日に向かって走れ! 頼りになるのは己のハンドルさばきだけという密輸屋稼業。

 『SMUGGULER'S RUN』のタイトルは、直訳すれば『走れ!密輸野郎』となる(意訳含む)。プレイヤーはチューンナップが可能なサンドバギーを運転する密輸組織のスゴ腕ドライバーとなり、広大な砂漠のどこかに飛行機から投下されたご禁制の品を回収して、国境警備隊の追っ手を振り切って目的地にまで無事に届けるために、文字通り奔走することになる。つまりここでも"チェイス"="逃げ切る"ことを前提としたレースが展開し、逃げ切れれば勝ちなので決まったコースも存在しないため、一般的なレースゲームとは明らかに違うゲーム性を確立させている。
 そして、このゲームデザインを実現するためには、プレイステーション2のスペックが必要不可欠だったのだ。広大な砂漠エリアにはマップらしいマップも無く、唯一の頼りは密輸品の投下位置と警察の動きを補足するレーダーのみ。密輸品を回収した時点で、どこからともなくウジャウジャと湧き出す国境警備隊。凄まじい砂塵を巻き上げ、フルスロットルで道無き道を走り抜ける。一見すると地味かもしれないが、その中身はテクノロジーの塊だったのだ。