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【ダークソウル】第81回 なんで、俺ばっか

 新しいエリアに踏み込んだ当初は、たいがいのプレイヤーが生者となってプレイしていると思う。『ダークソウル』で遊んでいるときの98パーセントが亡者という俺がそうなのだから、世のプレイヤーのほとんどが“エリア侵入時=生者”だと断言できるのだ(なんて論理的)。

 ではなぜ、エリア初侵入時に生者が多いのか? その理由はたったひとつで、“篝火に注ぎ火をするから”である。そのエリアを攻略するためのベースキャンプになる篝火は、真っ先に注ぎ火してエスト瓶の回復回数を増やしておく必要がある。これは、魑魅魍魎が跋扈するロードランで生き抜くための、最低限の“約束事”なのだ。

 なので俺も、巨大下半身(なりそこない)の猛攻をかいくぐって篝火に到達したとき、迷わず人間性を消費して生者となった。生者になると速攻で殺し屋が侵入してくるのでなるべく亡者でいたかったのだが、これから始まるイザリス攻略のことを考えれば、エスト瓶を強化しないわけにはいかなかったのである。この状態になったの、エレーミアス絵画世界で謎の侵入者とジェスチャーでダンスを踊ったとき以来だわ。

 生者になった俺は、いつも以上に慎重な足取りで篝火を飛び出した。そして溶岩の海を渡り、イザリスの目抜き通り(?)に足を踏み入れる。ここから、道はいくつかの分岐を見るようになり、そこらじゅうで蠢いているデーモン像がプレイヤーにシツコクつきまとうようになる。それをいなしつつ、ひとつの通路へ。するとすぐに、黒金糸装備としか思えない衣服を身に着けた女が我が分身に襲い掛かってきた。

「うわ! なんだコイツは!!」

 黒金糸の戦士は手に炎をまとい、明らかな殺気をもって俺ににじり寄ってくる。どうやら俺に、火をつけたいようだ。火を手にした女に襲われなきゃならないほどの恨みをかった覚えはないが、そっちがその気なら受けて立たねばなるまい。俺は黒騎士の斧槍を抜き払い、「さあこい!!」と吠えて、火の女(魔女の娘グラナ、という)を迎え撃とうとした。しかしその瞬間、画面に意外過ぎるメッセージが表示される。

「闇霊:カークが侵入しました」

 ちょ…………。

 なんでこのタイミングでNPCの闇霊が入ってくんだ! 目の前に1匹、NPCの敵がいるじゃねえか!! しかもまたトゲの騎士カークかよー!! 最下層でバジリスクといっしょに葬り去ったのにぃ!!!

 怒声をあげる俺の横で、Hが笑い転げる。「またヘンなの引いてるwww ホント、運が悪いwwww」。うるせー。ほっとけ!!

 グラナとカークの同時攻撃は、それはそれは苛烈だった。この状況は、言うなればアレですね。シングルマッチだと思ってプロレスのリングに向かったらナゼかハンセンとアンドレのふたりが待ち構えていて、「え? え?」と戸惑っているうちにカーンなんてゴング鳴らされて「ちょ。まっ……」とアウアウするまもなくボコボコにされた……ようなものですな(最近、往年の名作マンガ『プロレススーパースター列伝』のスタン・ハンセンの回を読み返してしまったため、どうしてもたとえでハンセンを使いたかったw)。

 それでも俺はどうにか、グラナ&カークとの変則タッグマッチを制した。グラナは、混沌の嵐に代表される恐るべき呪術をくり出す強敵だったが、カークのほうが物騒な見た目(トゲだらけの鎧をまとっている)のわりに大して強くなかったので、冷静にひとりづつ片づけることができた。俺はホッとひと安心し、改めて先に進もうとした。

 ところが(毎度おなじみ)。

 強力なNPCを退けたばかりだというのに、またまた画面につぎのメッセージが表示されたのだ。

「闇霊:○○○○が侵入しましたwwwww」

 当然“wwwww”なんて文字は表示されないのだが、俺にはこのときはっきりと、連凧のように連なるwの文字が見えた。さらにその後ろに「ワロスwwww」という単語まで確認したように思う。

またなんかキタwwww なんで引くのwwwww」

 そう言って、腹を抱えるH。なんでと言われても、俺が知るわけねーだろ。

 侵入してきたプレイヤーは、殺る気まんまんで俺に近寄ってきた。忌々しいことに、魔術“追尾するソウルの結晶塊”でできた、青白いエネルギーのカタマリをゾロゾロと引き連れている。

「あれ、射程に入った瞬間にこっちに飛んでくるんだろうなぁ……」

 そう思ったとたんに、流れ星のような結晶塊がヒュンヒュンヒュンと飛んできた。

「うわ!!」

 とっさに前転して、ギリギリのところでソレをかわす。すると闇霊はゾロリと剣を抜き払って、殺意の刀身を振り回し始めたではないか! むむむ……。やっぱり血の通ったプレイヤーの闇霊は、NPCとはひと味違う。攻撃が多彩だし、何より隙がない!! 俺はコントローラを握り直し、どうにか闇霊と距離を取って冷静に立ち回ろうと努めた。

 この“冷静に”の思いがよかったのか、俺は闇霊相手に互角以上にわたり合うことができた。もとより、こっちの攻撃力は優秀なので1発でも当たれば致命傷になるし、侵入してきた闇霊はエスト瓶を使うことができないのでディフェンスには難がある。俺は戦いの主導権を握って何発かの攻撃を当てることに成功し、敵に背を向けさせるまで追いつめることができた。

「い、いける! 闇霊を返り討ちにできるぞ!!」

 色めき立つ俺。ざわつくギャラリー。いまや闇霊は俺を振り切り、どこかで回復の奇跡を使うことしか考えていない(ように見えた)。その後ろ姿を追う俺。回復されたら、また勝負がふりだしに戻ってしまう。そんなのはゴメンだ。ここで決着つけてやる!! 俺は「トドメだ!!!」という声もろとも、黒騎士の槍斧を逃げる闇霊の背中に振り下ろした!!

「グモォォォォォオオオオ…………!!」

 この一撃が致命傷になり、なんと闇霊は消滅。これにより俺は、グラナ、カーク、闇霊と、強敵の“3タテ”に成功したのだ!!

「やったあああああああ!!!!」

 雄叫びを上げた俺は、闇霊の亡骸に接近しようとした。ドロップされる人間性を回収しようと思ったのだ。しかしここで、この日最後の悲劇が俺を襲う。

 闇霊を追うことに夢中で気付かなかったのだが、俺はいつのまにか、デーモン像が無数に蠢くエリアにやってきていた。木の根が複雑に生い茂る歩きづらい場所で、よくこれに引っ掛かって、デーモン像に追い詰められることがある“いわくつき”のエリアである。

 このとき、俺はまさにその状況にあった。闇霊の亡骸は木の根の先にあり、急いで回収したいがために道を間違えて、行き止まりにハマってしまったのだ。

「あ」

 と思ったときには遅かった。知らぬ間に忍び寄っていたデーモン像が我が分身を取り囲み、ゆっくりと口を開けて……!!!

 ブボォォオオオオオオオ…………!!

 5体のデーモン像から同時に放たれた火炎放射に抗うことなどできるわけもなく、俺はそのまま「YOU DIED」。即身仏のように動かなくなった俺の耳に、Hの笑い声が届いた。

「またやってるwwwwww」

 次回に続く……。

★このプレイ日記が単行本になりました!★

 12月22日に無事、『折れてたまるか! 〜『DARK SOULS』プレイ日記〜』が発売となりました!! 出足も好調のようで、うれしい限りです。何度もお知らせしてきましたが、本書にはここで公開したエッセイにプラスして、約40ページに及ぶ書き下ろしプレイ日記“アノール・ロンド編”、ブンブン丸による攻略コラム、イラストレーター酔coさんの『ダークソウル』プレイマンガと、本書でしか見られないコンテンツが盛りだくさん! しかも今回はオールカラーの264ページと超豪華仕様になっています!(価格が1260円[税込]と高めなのは、その影響なのです!><) ぜひぜひ手に取ってみてくださいね!

■書籍名
折れてたまるか! 〜『DARK SOULS』プレイ日記〜
■発売日
発売中
■価格
1260円[税込]
■ページ数
オールカラー 264ページ


▲『折れてたまるか!』のオビ付きカバー。


投稿者 大塚角満 : 16:59

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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