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大塚角満の ゲームを“読む!”

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【ダークソウル】第63回 静かの湖

 遊びたいゲームがたくさんあり、時間がいくらあっても足りなくなって心折れております。

 パパキノコのメガトンパンチでぶっ飛ばされ、あえなくノックアウトされた俺。このパパキノコ、攻撃力がとんでもないのはさることながら、HPが多く、しかも堅いときていて(柔らかそうなのに……)、思わず“隠れザコ王”に推挙したくなる。スピードがないのが唯一の救いだが、これでもしも、バルデルの騎士程度に動けたとしたら、冗談抜きで黒騎士を追い抜いて“『ダークソウル』最強の敵キャラ(ボス除く)”になっていたと思うわ……。そんなパパキノコの猛攻にさらされながらも、俺はどうにか大樹のうつろを抜けた。

 木の根の道から解放された俺の眼前に広がっていたのは、思いがけない白い砂浜と静かな湖の風景だった。画面には“灰の湖”というテロップ。どうやらここが、つぎなるステージらしい。

 灰の湖を支配していたのは、圧倒的な“静寂”だった。聞こえるのは、白い砂を踏みしめるオノレの足音と衣擦れの音くらいで、茫漠の空間には怖いほどの“静”が満ちている。水墨画の世界を切り取り、そのまま貼り付けたかのような風景はちょっとゾッとするほど美しくて、俺はしばしのあいだ呆然と、砂の上に佇んでしまった。

「静かでキレイなところだなぁ……」

 思わず、飾り気のない言葉が口を突いた。そして脳裏には、いつか写真で見たスペインのマヨルカ島にある世界最大級の地底湖“マルテル湖”の風景が広がる。もしもこんな場所が現実に存在したら、週末ごとに観光客が押し寄せてたいへんなことになるだろうな……。そんなことを思わせずにはおかない、灰の湖の神秘的な美しさだった。

 ところが、俺のこの言葉を聞いたHが、「うひひ」と笑ってからつぎのようなセリフを吐いた。

「たぶん、観光客なんてひとりも来ないと思うよw だって、あそこにスゴイのがいるんだもんwww」

 俺、目つぶしをされたバジリスクのような顔をして(どんなだ!)、Hの言葉に反応した。「え? スゴイの??」。するとHはさらに笑い、「ホラ、あっちあっちww」と、湖の左手側を指差す。言われるまま、カメラを左側に振り向ける俺。すぐに、妙なものが湖で泳いでいる姿が目に入った。

「な、なにあいつ…………」

 遠目に見えるソレは、静かな湖の上を滑るように、悠然と泳いでいた。いま俺が立っている場所からかなり遠い水面にいるはずなのに、目の前に立っているかのような錯覚を覚えてしまう。

 遠くにいるのに、近くに見える……。

 この事実が表しているのはその物体が誇る尋常ならざる体躯で、たとえば東京スカイツリーとか富士山を思い浮かべればわかりやすいかもしれない。そして何より目を引いたのが、そのモノの胴体付近から上に伸びる複数の首……!!

「あ、あの……。あそこにいらっしゃる方は、もしかしてヤマタノオロチかなんかデスカ……?? そして俺は、あいつと戦わないといけないデスカ……?」

 画面から目が離せなくなり、口だけをパクパクと動かしてHに問いかける俺。するとHはニヤニヤと笑いながら、こんな言葉を返してくる。

「ヤマタノオロチなのかヒドラなのかわからないけど、当然、素通りはできないねwww 私もここで苦労したんだよなぁ……」


イラスト・酔co

 あんた自分で操作しないでS君にやらせたんだろ!! ……と思ったがそこはスルーし、俺はS君に問いかけた。

「あいつ、強い……?」

 これを受けて、S君はこう言った。

「見た目に比例した強さだと思うよ^^;;」

 どうやら、冗談では済まない強さのようだ。

 とりあえず俺は、ソロリソロリと歩みを進めて、ヒドラ(正式名称は“湖獣”と言う)がいるほうの波打ち際に近寄っていった。いくらデカいとは言え、ヤツは湖にいるのだ。それなりの距離を保っていれば、攻撃を受けることはあるまい。もしもヤツが水面から飛び出し、ワシワシと陸地を歩いて追いかけてきたら、そんときは「俺が悪かった!!」と言って首を差し出そう。

(頼むから見つかってくれるな……!!)

 そんなことを願いながら、湖獣に接近する。しかしそんな願いもむなしく、「ピクンッ!」と反応した7本の首が一斉に我が分身のほうを振り向き、ものすごい顔で睨み付けてきたではないか! それでも、俺には余裕があった。長い首をいくら伸ばしても、こっちには届かないだけの距離を保てていたから。

「へへーん!! いくら睨みつけてもムダだよーだ! おめえの攻撃は届かねえんだよ!! やーいやーい!」

 まあ、デカい湖獣の攻撃が当たらないってことは、肉弾オンリーの俺の攻撃などもっと当たらないんだけどな。でもそんなことにまで頭が回らない俺は、ひたすら遠目からヤツを挑発し続けた。

 しかし、俺が踊っていられたのは、ほんの4秒くらいのあいだだけでした(みじかっ!)。なぜかと言うと、なにやら湖獣の口のまわりが青く光ったかと思ったら、いきなりとんでもない量の光の束が、我が分身目掛けて飛んできたから!!! 俺、とたんに我を失い、はしたない大声を出す。

うわあああああ!!! ま、魔法攻撃きやがった!!! た、助けっ……!!」

 油断しまくりのところに飛んできた魔法攻撃の束を俺がさばき切れるわけもなく、盾を構えるまもなく全弾を被弾(苦笑)。画面に、例の如くなメッセージが表示された。

「YOU DIED」

 そして俺はまたまた、大樹のうつろのてっぺんにあった小さな篝火に戻された。完全に「ふりだしに戻る」な気分だ。

 嗚呼……。また落下死の危険に怯え、バジリスクから逃げ惑い、パパキノコのハンマーパンチをかいくぐって下まで降りていかなきゃならないのか……。

 なんて憂鬱な行軍だろう……。もう今日は、やめようかな……。

 そんな、暗い顔で逡巡する俺に向かって、HとS君が口々にこんなことを言った。

「なんで、灰の湖の入り口近くにあった篝火に触らなかったの??w」(H)

「俺も思ったww 篝らずにヒドラに挑むなんて勇者だなーとwww」(S君)

 ……篝火あったなら教えてくれっ!!!!(泣)

 失意のまま大樹のうつろを下っていった俺は、またまたパパキノコのハンマーパンチにノックアウトされて連続死……。数千ソウルと人間性をムダにしたのでした……。

 次回に続く。

※『折れてたまるか!』でイラストを描いてくれている酔coさんのブログ“ファミツェネーゼの悶々(ゲ)生活”はこちら

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■書籍名
折れてたまるか! 〜『DARK SOULS』プレイ日記〜
■発売日
2011年12月22日
■価格
1260円[税込]
■ページ数
オールカラー 264ページ


▲『折れてたまるか!』のオビ付きカバー。

投稿者 大塚角満 : 15:46

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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