大塚角満の ゲームを“読む!”
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ひさびさに書きます“ガンランサー、スキルを語る”。いやあ、いつ以来だろうなこれを書くの……。ていうかじつは、企画を立ち上げたのはいいものの我が心の中でいろいろあって、「もういいかこのネタ……」と自分の中では封印モードになっていたのです。しかし冷静に考えるとまだまだ語りたいスキルがあったことから、「ためしにひとつ書いてみるか」となって、いまキーボードをぱしぱしと引っ叩いている次第であります。その“語りたいスキル”の筆頭だったのが、その名もすばらしい“弱点特効”だったのです。
弱点特効でまず惹かれたのが、これを発動するためのスキル系統の名前だ。その名も“痛撃”。なんとも、いろいろなところが縮み上がりそうな名称ではないか。
俺はこの痛撃と言う単語を見たとき、一瞬にしていろいろな“痛撃シチュエーション”を想像してしまって言葉もなく悶絶してしまったよ。「柱の角に足の小指をぶつけてしまった」というベタなものから始まり、「肘を硬いものにぶつけて痺れが突き抜ける」、「かさぶたを剥がそうと思ったらまだ生身の皮膚につながっていて予期せぬ出血をする」、「ケンシロウに北斗神拳奥義“醒鋭孔”を食らって全身の痛感神経がむき出しになったジャギのようになる」……なんていう身の毛もよだつシーンがつぎつぎに脳裏に閃いてのた打ち回ってしまったというわけだ。
「こいつは恐るべきスキルに違いない……」
俺はそう確信した。
調べてみると弱点特効というスキルは、“有効な部位に当てた攻撃の会心率が高くなる”という効果があることがわかった。ナルホドナルホド。触られるのがもっともイヤな箇所を突っつかれたら、それがたとえ軽く触れる程度でも誰もが「イヤン」となるところ。それが、弱点に触れるたびに強烈な一撃になる確率が高まるなら、それはモンスターに対してこの上ない嫌がらせになるに違いないわな。俺は弱点特効の効果を眺めながら「うひひひひ。これはいいスキルだぞ。弱点特効で急所を突いてモンスターを身悶えさせてやる。ひひひひひ」と下卑た笑いを漏らした。
で、いろいろとやりくりして弱点特効を発動させ、「ひっひっひ」と中年オヤジそのもののニヤけ顔をぶら下げて何度かクエストに行ってみたのだが、意外なことに下卑たオヤジはすぐに姿を消し、それどころか回数を重ねるごとに俺は凛とした気持ちになっていった。そして「これはそんなひねた目で見るようなスキルじゃねえぞ」と強く思った。
弱点特効の恩恵を受けるには、当然のことながら相手の急所をしっかりと攻撃しなければならない。ということは、モンスターの身体的特徴はもちろん、生態や行動パターンもキチンと頭に叩きこんで、的確に有効箇所に攻撃を叩きこむ必要がある。中目黒目黒のように攻撃が弾かれるエフェクトを見て「あ! 変わったエフェクトが出た! ここが弱点ですかねえ?」なんて言っているようでは、一生このスキルのよさはわからないのだ。
弱点特効を身にまとったとき、俺は『角満式モンハン学 〜モンスター編〜』を作っていたときと同じ“プロフェッサー”の顔となって、慎重に、そして効果的にモンスターに攻撃をくわえるようになる。モンスターの弱点なんてたいして知らないから、そこは手探りのアナログ的な作業だ。頭を突き、腹を突き、脚を突き、尻尾を突き……という地道な攻撃をくり返しながら、“特効”が出る急所を探り当てるのだ。
この、手練なハンターだったら誰もがやっている“効果的な場所へのピンポイント攻撃”が楽しくて、俺は弱点特効の威力をさらに高めるための“スキル武装”も整えていった。少しでも会心率を高めるために“見切り+1”をつけ、長く斬れ味を維持させるために“業物”も発動させる。さらに弱点に最大の攻撃を叩きこめるように“攻撃力UP【大】”も強引につけた。これにより、
・弱点特効
・攻撃力UP【大】
・見切り+1
・業物
という、超攻撃的なスキル武装が完成したのである。「戦術なんてどうでもいいから、とにかくモンスターと力と力のぶつかり合いがしたい!」と思ったときに、俺はこのマイセットを装着している。この装備を身につけると、ちょっとだけかっこいい男になれた気がするのだ。
しかし俺、この弱点特効は武器スロットまで使って発動させているのでちょいちょい恥ずかしい間違いを犯すことがある。こんな感じで。
上記のスキル武装になったつもりでリオレイア狩猟に出向いたときのこと。こやつの弱点である頭だけを狙って突きをくり出し、会心のエフェクトが出るたびに俺は躍り上がる。
「うっひょ〜〜〜っ!! 弱点特効すげえわ!! 会心出まくり!! 超気持ちいい!!」
それを聞いた仲間たちも関心して、「へぇ〜。そんなにいいんだ弱点特効って」、「確かに会心出てるね。俺もそれつけようかな」なんて言っている。俺、得意の絶頂に上り詰めて「うん、コレはいいね。ステキスキル。ステキスギル。みんなも発動させるといいよフフン!」と珍しくオヤジギャグなども交えてエラそうな台詞をぶっ放すのだ。
しかし。
狩猟を終えて村に帰郷し、先のレイア戦で活躍した我がスキルを得意げに眺める。ところがそこに、鬼の力で躍動したはずの弱点特効の名前がない。そこで男は、ハタと気づく。
「あ……。レイアに行く前に武器を持ち替えたんだった…………。弱点特効、武器スロ使っているからこれじゃ発動しないんだった…………」
恥ずかしい勘違い男、仲間が「どうやって弱点特効つけようかなぁ〜♪」なんて話しているのを眺めながら、「ウ、ウン、ま、まああんまり無理しなくていいからね……。ハハハ……」と力なくつぶやくのだった。
※いまでは無事、武器スロなしでも上記のスキル武装ができるようになりました。
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大塚角満
週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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