大塚角満の ゲームを“読む!”
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ドタバタしながらもどうにかジンオウガを下し、中目黒目黒がハンターランク3になった。上位まで、もうひと息である。これに気をよくしたのか、目黒はPSPを握り締めたままこんなことを言った。
「大塚さん、このまま一気に上位になっちゃいましょうよ。どのクエストからやります??」
まるで俺が目黒に手伝ってもらっているかのような言い草だが、ここでの主従関係は完全に“逆”である。でも、これはいつものことなので俺は敢然とスルーし、つぎのように目黒に申し述べた。
「んじゃ、いくつかやるかね。俺、キークエなんてまったく知らないんだけど、長年ハンターとして生きてきたカンが働くので外さないと思うし」
目黒、尊敬のまなざしを俺に送りながらこう言った。「おお! さすがっすね! よろしくお願いします!」。
そして俺は「このあたりは100パー間違いないはず」と言いながら、“天と地の領域”(レウス、レイア狩猟)、“轟竜迎撃戦”(砂原のティガレックス狩猟)、“火山炎上”(アグナコトル、ウラガンキン狩猟)、“無双の狩人”(孤島のジンオウガ狩猟)を立て続けに張る。そしてギリギリのところでどうにかこれらのクエストをクリアーし、村に戻ってきた。「ぼちぼち緊急クエストが出るんじゃないかな……」なんて言いながら……。
しかし、緊急クエストはまったく出てくれない。
「あれ……? おっかしいな……」
俺が思う“100パークエスト”は、すべて消化してしまった。緊急が出ないわけがないんだけどな……。
見ると目黒は息も絶え絶えになりながら、「ま、まだっすかね……。このくらいのランクになると、さすがにきびしいですね……」なんて言っている。俺は「もしかしたら外しまくっているかも……」なんて口が裂けても言えず、代わりに「……たぶん、つぎのクエストをやったら緊急になると思うよ」と告げて目黒をクエストに連れ出した。そしてこの行為を5回くり返したころ(苦笑)、ようやく緊急クエストが現れてくれた。
「いやあ長かったっすね!! やっぱり上位への道のりは生半可じゃない!!」
と目黒。俺はどうにも気持ちの落としどころが見つからず、「う、うん、そだね……。そりゃきびしいよね……」とあいまいな返事をする。でもまあ、いろいろなクエストができて楽しかったので、これはこれでよかったんだけどなー。
そして現れた毎度おなじみの緊急クエスト“峯山龍ジエン・モーラン”。女尻笠井とバカをやり、辻本良三プロデューサーとめちゃくちゃなことをやった、いわくつきの緊急クエストである。それに、今度は目黒とか……。俺は、大いなる不安を覚えながら恐る恐る目黒に言った。
「さて、ジエン・モーランが出たわけだけど、やる……? そんで目黒はコレ、やったことある……?」
目黒、自信満々の声で応じる。
「やりましょう! やってやりましょう!! ……ところで、じえん・もーらんってなんですかい???」
またこのパターンか……(苦笑)。
俺は、「舞台は“大砂漠”ってくらいですから、クーラーを10個くらい持ってったほうがいいんですよね!!」と張り切る目黒に、「メグロちゃん、大砂漠はクーラーもホットも必要ないからね。そしてクーラーは10個も持てないからね」と優しく言い含め、とりあえず回復系とピッケルを忘れないようにと進言した。さあ、不安と恐怖が入り混じった緊急クエストだ!
クエストが始まってすぐに「わあ! なんだここは!!」と大騒ぎをする目黒。知らない場所に連れてこられた飼い犬のようにグルグルとベースキャンプの中を駆け巡っているうちに、支給品も取らずに船上に飛び出してしまった。すぐに「しまった! 支給品取ってきます!」と言うも、船上からはモドリ玉でないとベースキャンプに戻ることはできない。当然目黒はモドリ玉など持っていないので、さっそく“支給品ナシ”というハンデを背負うことになったのだった(笑)。
そしてクエスト開始から3分。遠くにジエン・モーランを見ながら船上を走り回っていた目黒が「ん? なんだコレ」と小さな声を漏らした。しかし俺は気にせず、大砲の弾をえっちらおっちらと運びながらジエン・モーラン目掛けてぶっ放し続ける。するとそこに目黒がやってきて、つぎのように語った。
「大塚さん、船の先からばいーんて飛び出すアレ、なんなんですか?」
ん? 何も知らないかと思ったけど、撃竜槍のことは知っていたのか。俺はちょっとうれしくなって、目黒に説明をした。
「あれは、このクエストの最終兵器みたいなものでさ。撃竜槍って言うんだ。対モンスター用のリーサルウェポンってところかな。ホラ、ラオシャンロンのときに決戦場でぶっ放したでしょう。あれといっしょ。……ていうか、よくこの船の先からアレが飛び出るって知ってたな。勉強したんだな」
目黒、震える声でつぶやく。
「り、りーさるうぇぽん…………」
目黒の顔は、いまや蒼白と言っていいほど白くなっていた。な、なんかおかしい……。どうしたんだ……? その反応が少々おかしかったので俺は若干不安になり、恐る恐る目黒に言った。
「何をそんなにビビッてるの……。…………って、オマエまさか!!!」
イヤな予感を覚えた俺はダッシュで舳先まで駆け上った。そしてそこで、キュルキュルと音を立てて回収される巨大な槍の姿を……(苦笑)。俺は怒鳴った。
「メグロォォオオ!!! 開始3分で撃竜槍のボタン押すんじゃねえよ!!w あれ、こっちの切り札だったのに!!!w」
目黒、前衛舞踏のダンサーのようにぽっかりと口を開けたまま、「だ、だって……。ボタンがあれば押したくなっちゃうのがヒトってもので……」とかなんとか念仏のようにつぶやき続けるのだった。
★★★お知らせ★★★
2011年3月12日、13日に秋葉原で開催されるエンターブレイン10周年記念イベント“eb!フェス2011〜10周年感謝祭〜”において僕のサイン会を行う……と先日から告知しておりましたが、事前応募のについては昨日、締め切りとさせていただきました。たくさんのご応募、本当にありがとうございました! 事前応募での当選者は50名様なんですが、抽選の結果これに漏れてしまった方もおられ……。まことに申し訳ありません……。ただ当日枠もございますので、お時間が許される方はぜひぜひ会場まで足を運んでいただければ! サインとともに、僕のショボいギルカももらってやってくださいね(笑)。
大塚角満
週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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