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【MHP 3rd】第56回 ガンランサー、“納刀術”を語る!

 そのスキルの存在を初めて教えてくれたのは、行きつけのバーのマスターだった。

「大塚さん、納刀術って使ってます??」

 ルパン三世のような顔をちょっとだけほころばせながら、マスターは言う。きょとんとした顔で、俺は応えた。

のうとう……? な、なにソレ」

 まだ『3rd』が発売されて間もないころのこと。俺がそのスキルのことを知らなかったからと言って、誰に責めることができようか。

「一般人のマスターが知っているのに、ファミ通の副編集長であるオメーが知らないってのは、大いに責められていいのではないか?」

 なんて声は聞かなかったことにして話を進める。とにかく俺は、そのとき初めて納刀術の存在を知ったのよ。おろおろしながら、俺は言った。

「え? え? その納刀術ってのをつけると、どうなんのどうなんの?」

 ニヤリと笑って、マスターはこう言った。

「武器をたたむスピードが速くなるんですよ。……これね、猛烈に速いですよ。納刀術の性能に慣れてしまうと、ふつうの納刀がまどろっこしく感じるくらいにね」

 な、なにぃ……? そんなステキなスキルがあったのか!! 俺はとたんに色めきたった。

「そいつはすげえ!! いま付けようすぐ付けよう!!」

 しかし、マスターは声のトーンを若干下げて、こう釘を刺した。

「でも、使いすぎないほうがいいかもですよ。これに頼りすぎてヘタになるかも……」

 そんなことを言われたら、ますます付けたくなるではないか。

 俺はこの話を、身内の大学生・S君に語って聞かせた。「納刀術、効果がすげーんだってさ!」と。するとS君は俺と同様に色めき立ち、「おお! 前から気になっていたんだよね! いま付けようすぐ付けよう!」と言ってさっそく防具を調整して納刀術を発動させた。

「よし、さっそく試してくるよ!」

 そう言ってフィールドに飛び出したS君。武器は確か、スラッシュアックスだったかと思う。そして、「ふむふむ……。ほうほう……。なるほどなるほど……」とブツブツと独り言を言いながら顔を上げ、冷静な声でこう言った。

「確かに速くなるけど、頼りすぎてヘタになる……ってほどじゃない気がするなあ。どちらかと言うと、初めて“砥石使用高速化”を付けたときの感動のほうが大きかったと思うよ」

 なるほど、これはおもしろい! 人によって、もしくは武器によって体感速度がだいぶ違うみたいだな。こいつはますます、俺も試してみなくちゃいけないぞ!

 さっそく俺もアレコレと素材をやりくりし、スキル・納刀術が発動した装備を完成させた。おおお……。コーフンするぜ……。スキルを試すってだけでこんなに心躍ったのって、いつ以来だろうな。もしかすると、初めて“斬れ味レベル+1”を発動させて、斬れ味ゲージに見たことのない色が現れたとき以来かもしれない。

よぉぉおおし!! もう、ガンガン納刀しちゃうぞ!! モンスターがいなくても、抜刀と納刀をくり返しちゃうぞ!!」

 ハンターの本分も忘れ、俺は大ハシャギでフィールドへとくり出した。そしてついに、激烈素敵スキル・納刀術の真価を見たのである!!

「こここ、こいつはスゲエ!! ありえねえ!!!」

 俺はPSPの画面にツバを撒き散らした。

 ではどれほど納刀術がすばらしいのか? 少々わかりにくいかもしれないが、がんばって文字で表してみよう。

 ノーマル状態の納刀が、

 ガシューン。ガタッ、ガタッ、シュポン。

 って感じだとすると、納刀術ハンターの納刀は……!

 ヒュイン!! シュパッッ!!

 てな感じ。思わず文字がナナメになってしまうほどのスピード感だ。それくらい、速い。とくにガンランスのような重い武器だと、体感速度はさらにアップするのかもしれない。ガンランス使いのマスターが「頼り過ぎると不安になるほどのスピード」と言ったのも、大いに頷けるというものだ。

 それにしても、納刀術が発動したハンターはちょっと苦笑してしまうくらい忙しない。猛烈に、せっかちに見える。その仕草は頑固で慌しい昭和一桁のオヤジそのもので、ついついその私生活を覗いてみたくなってしまう。

 納刀術を発動させた昭和一桁オヤジは、仕事終わりで家に帰るなり超早口でこう言うと思うのだ。

おうおう! けえったぞ(帰ったぞ)このやろう! メシだメシ! 早く持ってこいこのやろう!

 奥さん、すでに慣れっこで、ドタドタと納刀オヤジが食卓にやってくるころにはズラリと卓袱台に夕飯が並んでいる。それを見て、納刀オヤジは吠える。

「なにぃ〜!? 米に味噌汁にサバの塩焼きに漬物だとぉ!? まどろっこしいしめんどくせえなこのやろう!

 言うが早いか納刀オヤジ、ご飯に味噌汁をぶっかけたうえに、サバの塩焼きと漬物もその上に乗せる。それを「うりゃりゃりゃ!」と高速でぐちゃぐちゃにかき混ぜて、ずざざざざーと一気にかっこんでしまう。その間、わずか7秒。納刀オヤジは満足そうに口をモゴモゴとさせながら立ち上がり、出し抜けにこう言うのだ。

「寝る!!」

 時計を見ると、まだ夕方の6時。これが、納刀術を身に付けたハンターの日常である。

 でも、これはまだいいほうなのだ。納刀術に加えて、罠師、砥石使用高速化なんてものを発動させてしまった日にはとんでもないことになる。究極のせっかちオヤジは、家に帰るなりこう言うだろう。

「てやんでバーローこのやろう! 風呂だメシだ便所だコンニャロウ!! なに? 順番!? まどろっこしいこと言うな! 全部だ全部! まとめて持ってこい!!

 そして究極せっかちオヤジ、卓袱台を風呂場に持ち込んで湯船に浸かりながら飯をかっこみ、「ブッ」と一発放屁なんかもぶっ放して「出る!! 寝る!」と言って風呂から上がる。その間、わずか4秒。家に帰ってから12秒後には就寝しましたとさ……。

 ……えー、後半、ちょっとわけがわからなくなりましたが、納刀術ってのはこれくらいすばらしいです。……え? せっかちオヤジがぜんぜんすばらしくないからよくわからん?? そういった方はぜひ、実際に納刀術を発動させて試してみましょう(笑)。


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投稿者 大塚角満 : 13:57

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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