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大塚角満の ゲームを“読む!”

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【MHP 3rd】第24回 いっしょに成長したいから

 去る12月20日にカプコンが、“『モンスターハンターポータブル 3rd』、PSP向けタイトルとして史上最速の300万本出荷を達成”というリリースを流した。発売からわずか17日でトリプルミリオンの大台を突破。その人気は、「凄まじい」のひと言に尽きる。しかも、こんなにたくさんの本数が出荷されているというのにいまだ品切れの店も多く、「なかなか手に入らない」という声も聞く。もしも需要を満たすだけの本数が出荷されていたならば初速でどれだけの本数に到達したのか? それを考えるとちょっと寒気すらしてくる。

 そんな、“売れに売れている”ことにまつわる、ちょっとほんわかしたお話を書きます。実話ですよ。

 『3rd』が発売されてから10日が過ぎた12月11日、俺はツレとともにさいたま市内の量販店にやってきた。主たる目的は、いろいろとヘタれてきている白物家電を買い直そうかな……というものだったが、それと同等以上に「手に入れたい!」と思っていたものが、何を隠そう『3rd』だったのである。いま以上に品切れになっている店舗が多かった時期で、俺のまわりでも「ぜんぜん売っていなくて買えない……」と嘆いている人がちらほらといた。それでも、量販店は週末販売分をしっかり確保しているだろうという読みがあったので、俺はわりと余裕の体で「買えるとしたらこの店だろう」と本命視していた大手量販店のゲーム売り場に入っていった。

 ゲーム売り場のレジには、長蛇の列ができていた。並んでいる人の多くがファミリー向けのゲームソフトやボードゲームなどを手にしており、ざっと見たところ『3rd』を持っている人はいなそうである。でもこういったお店では、売れ筋ソフトはパッケージを持っていくことなく、レジの人に直接「もんはんぽーたぶるさーどくだちゃい」と申告すれば「ハイハイ、こちらですネ」と倉庫の奥からソフトを出してきてくれることが多い。なので俺は1ミクロンたりとも心配することなく行列の最後尾に並び、ズリズリとレジに向かって牛歩な歩みを進めていったのでありました。

 そして待つこと10分。ついにレジに招き入れられた。俺は平身低頭の態度でレジのおねえさんの前に立ち、頭の中で練習していた言葉をニコニコしながら発声した。

「もんはんぽーたぶるさーどくだちゃい」

 しかし、レジのおねえさんが返してくれた言葉は、あまりにも冷静かつ残酷なものであった。

「申し訳ありませんが、品切れです」

 ……な、なに? い、いまなんつった?

「もんはんぽーたぶるさーどは、品切れでえす!」

 がーーーーーーーん!!!

 ななな、なんたることだ……。まさか俺まで、品切れのビッグウェーブに飲み込まれることになるなんて……。レジのおねえさんが言うには、まもなく再入荷されるだろうが少なくとも現時点では『3rd』の在庫はない、とのこと。す、すげえ。本当に凄まじく売れているんだな『3rd』は……。

 と、感心している場合ではなかった。この店にないとなったら、別のお店を探すしかない!! 俺はツレとともに本命の量販店を飛び出し、近くにある“対抗”の量販店に走っていった。時間をロスするごとに、品切れに近づいてしまうのだ。急げや急げ。

 そしてやってきた2店舗目で、俺たちは『3rd』を発見した。よかった……。ここにこのお店があって本当によかった……。俺たちは『3rd』のパッケージを手に、ほくほく顔でレジにできていた行列に並んだ。すると……。

「あの〜、ちょっといいですか?」

 いきなり、見知らぬ男性に声を掛けられた。店員さんではなく、一般の人のようである。金髪にヒゲをたくわえた、どちらかというとヤンチャな風貌をした男性である(おめえもだろ)。年のころは、20代後半くらいに見える。

 唐突な声掛けに、少々ウロたえる俺とツレ。もしかして俺たち、知らぬうちに列に割り込んだりしてしまったのだろうか? それとも、ほかに何か粗相が!? 俺はわけのわからぬまま、かなりマヌケな声で「はい?」と発言。それを待っていたかのように、ヤンチャな男性はつぎのように言った。

「いま手に持ってるの、『モンスターハンターポータブル 3rd』ですよね?」

 確かに、俺はいま『3rd』のパッケージを手にしている。そこにウソ偽りはないので素直に「ええ、これはまぎれもなく『モンスターハンターポータブル 3rd』です」と応えた。すると男性はにんまりと笑い、さらに言葉を継いだ。

「おふたりで並ばれてて、1本だけソフトを買うんですよね?」

 そうそう。俺はもう、自分の分は持ってるからね。これはツレの分ですよ。その通りその通り。彼の言わんとしていることの真意が見えず、コクコクと頷く俺。すると男性は急に懇願の口調になり、まったく俺たちが予期していなかったことをのたまったのであった。

じつはボクも、『3rd』を買いにきたんです! 何店舗も回ったんですけど品切ればかりで、ようやくここで発見できたんですよ! で、さっき自分の分とツレの分、合わせて2本買おうと思ってレジに行ったんですけど、“申し訳ありませんが、おひとり様1本限りで……”と言われて……。でもどうしても今日、ツレといっしょにゲームをスタートしたいんです!

 いきなりの告白に、しばしポカンとする俺とツレ。そんな俺たちに向かって、彼は話を続けた。

「どうしよう……って悩んでいたところに、おふたりが現れたんです! 『3rd』のパッケージを持っていて、かつ、ふたりで1本しか買われないおふたりが……。……で、たいへんお手数なのですが、お金とパッケージをお渡ししますのでボクのツレの分を買ってきていただけないでしょうか……!

 うは!! そういうことか!!(笑)

 俺とツレは顔を見合わせてにっこりと笑い、男性からお金と『3rd』のパッケージを受け取った。「もちろん、ぜんぜんいいですよ!」と言いながら。すると男性は顔をくしゃくしゃにして喜び、「ありがとうございます! ありがとうございます!!」と何度も何度も頭を下げたのであった。

 ツレがレジに並んでいるあいだ、男性とちょっとだけ話をした。彼は『2nd G』のときから友だちとふたりで狩りをしていたといい、今回の『3rd』もその友だちといっしょに始め、いっしょに成長していきたいと思っていたのだという。でも、ソフトを買うタイミングにタイムラグができてしまうとそれも叶わなくなってしまうので、どうしても今日、2本買って帰りたかったのだそうだ。

「はい、買ってきましたよー♪」

 買ってきたソフトとお釣りを、ツレが男性に手渡そうとした。しかし男性は数百円のお釣りを頑なに受け取ろうとせず、逆に俺たちの手に握らせて、「たったこれだけですけど、お釣りは受け取ってください! 本当に、ありがとうございました!」と言って譲らない。俺たちはペコペコと頭を下げる男性を見てほんわかとした気持ちになり、お釣りを彼の手に戻してからつぎのように言った。

 「そんな、頭を下げなくていいですよw それよりも、今度どこかで会ったらいっしょに狩りましょうね♪

 すると男性は再び顔をくしゃくしゃにし、元気な声でこう言った。

「はい! ぜひ一狩りお願いします!

 あの人、きっと今日もどこかで、友だちとふたりで狩りをしているんだろうな。いつかまた、会えるといいなあ。


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投稿者 大塚角満 : 14:10

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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