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【MH3】第95回 食べたのは、誰?

 たまには軽いネタを。

 とある週末。珍しく何の予定もなく、のんびりと過ごせる時間ができたので、俺はここぞとばかりに「深夜のロックラックライフのために!」と意気込んでモガの村に出向いた。モガの森に散策に出て山菜(草系の素材ね)を集めたり、農場に入り浸って光蟲や不死虫の飼育に励もうと思ったのである。ナンダカンダ言ってこの手の素材を手っ取り早く集めるには、モガの森や農場を利用するのがイチバンだ!! ……ってことに、『3(トライ)』を始めてから297日目で気がつきました。

 モガの森にはいつも、何かしらの大型モンスターがいる。好きなときに出入りができ、悠久の時が流れるモガの森では大型モンスターを狩ろうが狩るまいがハンターの自由なのだが、目の前にリオレウスやラギアクルスといった歯応えあるモンスターが現れれば、ある程度強い武具を身につけた上位ハンターであれば狩らずにはいられなくなるのではなかろうか。

 その日、モガの森では1頭のリオレイアが蛮勇を奮っていた。産卵直後(エリア8の飛竜の巣を調べたら卵があったので産卵直後ってことで間違いない)ということもあって気が立っていたのかめったやたらと好戦的で、動くものを見るや「おるあああぁぁああ!!」と怒鳴って突進してくる。そのイラつき具合は、家の庭でウロつく野良ネコを見て激昂し、怒髪天を衝いて「フンギャラギャ〜〜〜〜!!!」と鋭く吠えて、居間の網戸を突き破って庭に飛び出し、野良ネコに襲い掛かった我が家の愛猫・アクアちゃん(雌・8歳。実話)のようである。

 それほど猛り狂ったリオレイアを見たら、こちらも黙っちゃいられない。俺は作ったばかりで、早く試し突きをしたくてしかたのなかったランス“アトロシスタワー天”を握り直してリオレイアに突進した。イビルジョーのレア素材を使って作ったこのランスは恐ろしいほど強く、リオレイアを圧倒するが、そこはさすが陸の女王。変幻自在のサマーソルトや高出力火炎放射などを駆使して敢然と応戦してきた。

 そんな、ハンターとリオレイアが1対1のタイマン勝負を演じている舞台に、1匹の闖入者が現れた。ドスジャギィである。彼は野次馬根性を丸出しにした狡猾そうな顔をニタつかせて、「なになに? なに話してんの??」とでも言いたげな風情で近寄ってくる。その様子は完全に、場外馬券売り場でなれなれしく会話に割り込んでくる見知らぬ酔っ払いそのもの。俺は心底げんなりした声色で「こっちくんな酔っ払い! 俺とレイアの逢引に入ってくるんじゃねえ!!」とわめいた。しかしドスジャギィは俺の声になど耳を貸さず、やたらとカプカプと甘咬みしてくる。女の子と遊んでいる最中に、赤ら顔のおっさんに腕やら足やらをカプカプと甘咬みされるところを想像してごらんなさいよあなた!! これがこの世の終わりじゃなくてなんであろうか。

 しかしある瞬間、猛るリオレイアが吐いた火球がドスジャギィを直撃した。まあ『モンスターハンター』のフィールドではよく見られる風景である。が、これだけでは終わらないのがリアルな生の営みが広がる『3(トライ)』世界の懐深さ。なんとドスジャギィは火球の直撃にブチ切れ、「なにしやがる!!」と叫ぶやいなやリオレイアに襲い掛かったのだ!! 「『3(トライ)』の世界ではこういうことが起こりうる」ということはわかってはいたが、ドスジャギィがレイアに対して激怒する過程があまりにもはっきりと目の前で展開されたので、俺は思わず爆笑してしまったよ。「うん、そりゃ怒るよなww やっちゃえやっちゃえwww」てな感じに。おかげで狩場の力関係はガラリと変わり、それまでの“リオレイア+ドスジャギィvs.角満”の図式は“角満+ドスジャギィvs.リオレイア”に。ただでさえ劣勢だったリオレイアは窮地に陥り、「こりゃたまらん(汗)」と翼を広げてバサバサとどこかに飛び去ってしまった。ハンター&モンスター連合軍の完全勝利である。ところが、そんな共闘をしても心から分かり合えないのがヒトとケモノの悲しい宿命(さだめ)。リオレイアがいなくなったとたんにドスジャギィはモンスターとしての仕事を思い出したのか、再びガブガブと俺を咬み始めた。俺は、遺伝子の命ずるがままにハンターに襲い掛かるケモノの血に哀れみの涙を浮かべ、そのわりには喜々としてアトロシスタワー天をドスジャギィの脳天に突き刺したのだった。

 ドスジャギィを仕留めた俺は、リオレイアの追跡を始めた。行き先はわかっている。彼女は隣のエリア4に行ってアプトノスを襲い、その肉を食らってスタミナ回復をはかろうとしているのだ。エリア4に駆けつけるとまさに、上空から爪をむき出しにしたリオレイアが、小さな子アプトノスに襲い掛からんとしている場面である。いかん。親アプトノスの前で子アプトノスが食われてしまう! そしてそれ以上に、レイアにスタミナ回復されるとやっかいだった。俺は「いま助けるぞ!!」と叫びながら、リオレイアの鼻っ面にランスの切っ先を向けた。するとなんと、ハンターに続けとばかりに近くにいた親アプトノスがリオレイアに突進! 思いがけない草食竜アタック(?)をお見舞いしたではないか! おおお……。子を想う母の気持ちはかくも強く、たくましいものなのだなぁ……。俺は感涙にむせびながら、親アプトノスに向かって涙声を上げた。「種の壁を越えて手を携え、リオレイアを追っ払おう!!」と。

 しかし俺と親アプトノスの結託もむなしく、リオレイアに襲われた子アプトノスは天に召されてしまった。嗚呼……。やっぱり遅かったか>< すまん、親アプトノス……。俺にもう少し力があれば……>< 力尽きた子アプトノスの横に佇み、呆然とする我が分身。そんな、涙に暮れる俺の身体が「ドン!!」と突き飛ばされてしまった。ナンダナンダ。リオレイアか!? と思って振り向くと、そこにいたのは親アプトノス。つい10秒まえまでのパートナーは、何を思ったのか怒りの矛先を俺に向けてきやがったのだ! ちょ、ちょっと待て! 誤解だ誤解!! 子を食ったのは俺じゃなくてレイアでしょが!! 勘違いすんな!! ……だから押しこくるなって! 押すな押すな! やめろやめろやめろ!!

 何を言っても怒り心頭に発した親アプトノスは聞く耳をもたず、「ずもーずもー」と言いながらやたらと俺を押しこくる。俺は、子を失った悲しみに我を忘れて、自分よりも遥かに強いハンターに向かってくるアプトノスにランスを向けることができず、「やめろやめろ」と言いながらパタパタとフィールドを逃げ回るだけ。その様子を、「なにをやってんだか」という顔で騒ぎの元凶であるリオレイアが遠くから眺めていた……。

投稿者 大塚角満 : 16:49

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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