大塚角満の ゲームを“読む!”
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【MH3】第69回 だから俺は、軟らかい
先日、ついにハンターランクが40になった。苦節3ヵ月。250時間という膨大な時間を費やして、ようやく★5のクエストを受注できる身分となりました。めでたいめでたい。ぱちぱちぱち。
ところが、いま俺は喜んでばかりもいられない事態に陥っている。
上位のモンスターと言えばそれはそれはとんでもない攻撃力を誇る連中ばかりなのに、いまだ俺は防具が下位のときから1歩も前に進んでいないのだ。その気になれば上位のクルペッコ防具を一式そろえるくらいのゼニー、素材は持っているんだけど、なかなか踏み切れないのである。なぜか?
最大の理由は、ずっと身につけている現在の防具がスキルとして斬れ味レベル+1、耳栓、龍耐性+10が発動(龍耐性はお守りの効果)しているというじつにすばらしいものだから。とくに斬れ味レベル+1と耳栓は一度味わってしまうとなかなか手離せないほどの中毒性を秘めているため、どうしても「辛いけど、おまえのことはもう忘れるよ……」ってことにならないのだ。人間、長く生きていればこういう局面に出くわすこともママあるわけで、そのたびに俺などは髪の毛が抜けるほど思い悩んでいるのである。……って、妙に意味ありげなたとえ話を書いてみたが、俺が悩むことなんて「今日、どこで飲むかなぁ」とか「昨日からジョギングを始めたけど今日はちょっと寒いからどうしようかなぁ」くらいのものである。基本、信念を貫く男だからな、俺は。
それにしたってこの防具には後ろ髪を引かれる。とくに斬れ味レベル+1なんて上位の防具ではいつ発動するのか見当もつかないので、どうしても簡単にお払い箱にすることができないのだ。
それでもようやく、俺は新しい防具を作る気になった。きっかけは、モンハンフェスタ'09で優勝したartiesのMizunoe君とロックラックで会ったときに交わした、彼との会話にある。このとき、俺は忌まわしきイビルジョーと初遭遇を済ませたばかりで、その圧倒的な存在感と強さに打ちのめされてロックラックの片隅でカタカタと震えていたのである。で、そこに現れた日本一の天才ハンターに向かってついついこんなことを訊ねたのだ。
「Mizunoe君だったら、イビルジョーをひとりでも狩れるの?」
するとMizunoe君はあっさりと「いけますよ〜。それなりの準備は必要ですけど」と答え、さらに「角満さんでも大丈夫ですよ」と言い、続けて「でもそれには、しっかりとした装備が必要ですけど。いま、防御力はどれくらいですか?」と逆に問いかけてきたのです。これに対し、俺はウソをつくわけにもいかなかったので開き直って「143ですっ!!」と元気に回答。するとMizunoe君は能面のような表情で(ネットだから見えないけど)チャット画面に、
「…………………………………………」
とありったけの三点リーダーを打ち、さらにトドメとばかりにひと言、
「角満さん、毎回自害するためにクエストに行ってるようなもんですよそれは」
と呆れ声で言ったのでした。
この天才の言葉が俺に与えた影響は大きかった。そうか。そうだよな。草食竜であるリノプロスの前を通るときですら、「あ、スミマセン、お騒がせして^^; すぐに消えますんで、ホントにゴメンナサイ^^;;」とやたらと恐縮しているようでは先が思いやられる。上位の素材で作る"G装備"は、ジャギィシリーズやクルペッコシリーズといった作りやすいものでも、いまの俺の自慢の装備より遥かに防御力にすぐれているのである。よーし、上位防具を作るぞー!
さて問題はどの防具を作るかだ。ざっとリサーチしたところ、ペッコGシリーズだったらいますぐにでも全身を覆うことができるし、仲間のハンターたちも「ペッコGはオススメだよ!」と推薦しているので、素直にこいつを作れば間違いはなさそうである。しかし、そんなに簡単に日和ってしまっていいのか角満よ。作るのが楽で、性能も優秀かもしれないが、それだけで手を出していいのか……? ……って、どう考えてもそんだけの理由があればあっさり作ってしまっていいんだけど、根が天邪鬼なので薦められれば薦められるほど「ペッコGはナシだな」となって、製作候補から外してしまった。こういうところが、オッサンは面倒くさい。
で、紆余曲折を経た結果、まずはギギネブラの上位防具を作ることに決めた。決め手は、見た目がカッコよさそうだったのと、あまり身につけているハンターを見かけなかったから。こういうことをきっかけに防具を作る人って、けっこう多いよねー。問題は、俺ひとりでは上位のギギネブラを狩ることが不可能なことだが(下位でもきびしい)、幸いギギネブラが10匹くらい連なって出てきてもどうにかしてくれそうなハンターがまわりにたくさんいるので、まあ心配ないだろう。俺は、そのときロックラックにいた捨てられた狩人の反撃のジャッ君、はらペッコのヒロ君に「上位のギギネブラ装備を作ることに決めた!! クエスト手伝って!!」と懇願した。ところが、ジャッ君が何気なく発したつぎの言葉で俺の心は簡単に揺れ動く。
「上位の防具かあ。大塚さんはランスがメインだから、アグナコトルの防具もいいですよね。スキルが」
なにぃ……? ア、アグナコトルだと……? そういえば下位の時代にも、アグナコトルの防具を作ろうとしたことがあったな……。でも、うだうだしているうちに現在の斬れ味レベル+1防具ができてしまって、下位のアグナコトル防具は時空の彼方に消し飛んでしまったんだった……。ジャッ君のひと言で今度は上位ギギネブラ防具が時空の彼方にすっ飛び、俺は前言を撤回して「ギギネブラやめた!! 上位アグナコトル狩ってー狩ってー!」とふたりに言ったのである。
そして上位のアグナコトルと初めて対峙したわけだが、まあこいつが強いこと強いこと……。ジャッ君とヒロ君はなんも苦にせずに立ち回っているのだが、俺はアグナコトルに「ジュッ」と触れるたびにとてつもない大ダメージを被って「ひぃぃぃ!!」と泣きながら回復薬グレートをガブ飲み。あっさりと1オチを計上し、その後もひたすら逃げ回って、ふたりがアグナコトルを狩ってくれるのをひたすら待ち続けるという醜態をさらしてしまったのである。うーむ……。他力本願はいまに始まったことではないが、この寄生っぷりはちょっと看過しがたいものがあるな……。
けっきょく俺は「上位のアグナコトルは俺にはハードルが高すぎる! なのでしばらくは、いまのままでいいや!」とじつに本末転倒なことを仲間連中に宣言した。コツコツとクエストをこなしていればそのうちに素材が集まり、ステキな防具を作れるようになるべ。それにやっぱりいまの防具は、スキルと見た目では文句のつけようがないので、慌てて上位防具を作る必要もないよなぁ^^ いやあ、着慣れた防具は心地いいなぁ^^^^ 大騒ぎした挙句に、最終的にはスタート地点に戻ってしまった。このままいくと俺は一生、いまの防具を着続けるかもしれない。
もういっそのこと、誰かがコッソリと俺のWiiの電源を入れて『3(トライ)』を起動し、いま身につけている防具を片っ端から捨てるか売るかしてくれねえかなあ。そうすればスッパリとこの防具のことは忘れて、新しいものを製作するんだけどなぁ。
と言いつつ、この防具が消えていることに気がついた日には、「だだだ、誰だっ!! おおお俺の防具を売り飛ばしたヤツは!!! よよよよよくも俺の斬れ味レベル+1をぉおおお……>< 絶対に許さねえ!!!」と大騒ぎして犯人捜しに血眼になって、下手人をひっ捕らえたらロックラック引き回しの刑にしたうえでそいつのアイテムボックスをモンスターのフンで埋め尽くしてやるけどな……。
大塚角満
週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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