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【MH3】第37回 光る渦の向こう その1

 ここ最近、狩王決定戦の予選に向けた練習でひたすらクルペッコを追い回していたことが影響してか、プライベートのフリーハンティング(でいいのか?)ではすっかり牙を失った“菜食ハンター”になっている。家庭に戻るといっさい包丁を持たなくなる料理人がいるのと同じように、俺は心休まるモガの村に帰ると愛用のランス(いまだ、スパイラルランス)を脇に置いて、村長と世間話をしたり、看板娘のアイシャちゃんにちょっかいを出したりという牧歌的なモガ村ライフを堪能していたりするのだ。たまに村を出たとしても、行く先は決まってモガの森。時の流れすら吸収してしまうかのようなやさしいモガの原生林の空気に身をゆだねて、キノコやハチミツを採ったり、気が向いたら水に飛び込んでいつまでも泳いでいたりと、本当に自由気ままな時間を謳歌していたのである。

 そう、あのときまでは……。

 いくら菜食主義になったとは言っても村の発展に貢献したいという想いも強いので、看板娘が吐き出してくれるクエストも定期的にこなしていた。チャナガブル、ボルボロス、リオレイア……。遅きに失した感はありながらも、「まぁ、なんとかなるサァ!」と努めて明るく振舞いながら、これらのモンスターと戯れていたのである。

 気がつくと、俺は村★4までのクエストをほぼすべて終わらせていた。菜食主義だあ牧歌的だあと、じつにいい人ぶったことを書いていながら、やることはしっかりやっていたのである。そんな、手強いクエストもさりげなく終わらせてしまうというかっこいい俺に向かって、ギルドの看板娘はポーっと赤面しながらつぎのようなことを言った。

「ついにあのラギアクルスに挑むときが来ましたね!(うろ覚え)」

 そうか……。いよいよ『3(トライ)』の象徴たる海竜に、ガチンコで立ち向かうときがきたのか……。

 かつて、村★1のクエスト“孤島の海中探索”に何の危機感もなくのこのこと出かけていってエリア11の水中に飛び込んだ瞬間、俺の前にユラリと現れた海洋の王。本能的に「いまは絶対に挑んではいけないモンスターだ……」ということがわかりながらも恐怖のあまりWiiリモコンでの操作がぶっ飛んでしまい、やたらとグルグルとカメラを回すだけでラギアクルスから逃げることができない。けっきょく魚雷のような電撃タックルをモロに食らって昇天させられ、「『3(トライ)』で新規導入された海の中にはとんでもねえヤツがいるだ……」という恐怖だけを植えつけられたのであった。

 そんなラギアクルスに、本気で立ち向かわないといけなくなってしまった。

 でも思い起こせば、そもそも俺がこの村に呼ばれたのは頻発する地震の原因であるラギアクルスを討伐することだったので、ここで断りでもしたら「……アンタ、なにしにこの村にきたの……??」と怪訝な顔をされるに違いない。「我がモノ顔で暮らしていた分際で、土壇場で尻尾を巻くとはナニゴトやねん」とエセ関西弁で詰め寄られるかもしれぬ(誰にだ)。そうなったら、エライことだ。俺はラギアクルス撃退に出向く決心をした。

 さあいよいよ、初めてのラギアクルス討伐だ。「よし! いこう!」と決意した瞬間、俺の脳裏に初代『モンハン』で初めてソロでリオレウスに挑んだときの記憶が鮮明にフラッシュバックする。『逆鱗日和』シリーズを紐解いてもそのときの詳細な記録は出てこないのだが(いま思うとなぜ書かなかったのだろう……)、あんときゃ本当にたいへんだったのよ……。ガンナーだった俺は持参した弾丸をすべて撃ち尽くしてしまい、残るダメージソースはペイントボールをめったやたらと投げつけるかローキックの嵐を降らせるくらいしかない……って状況に追い詰められてしまった。そんなとき、アイテムポーチの底に1個だけ転がっていた小タル爆弾を「どうせ無駄だけど……」という捨て鉢な気持ちでレウスの足元で爆発させ、なんとその一撃で討伐を果たしたのである−−。

 このときの記憶が鮮明であるがゆえに、俺は立ち塞がらんとする『3(トライ)』の象徴に恐怖した。またあのときと同じような消耗と絶望が待っているのかと思うと、自然と準備にも力が入ってしまう。回復系のアイテムは、持てるだけ持とう。この時期の俺にとってはハチミツも薬草もアオキノコも貴重品であったが、なけなしの素材をはたいて回復薬グレートを10個生産した。さらに、通常の回復薬と薬草も懐に忍ばせる。本当は秘薬も持ちたかったのだが、原材料がひとつもなかったので(苦笑)あきらめた。秘薬がない以上、さすらいのコックの食事パワーが効いているあいだに(要するに1オチするまでに)大勢を決してしまいたい。よし、今回のテーマは“短期決戦”だっ!!

 俺は「タンキタンキ! タンキで勝負!」と、まるで麻雀でもしているかのような鬨の声をあげながら一路、ラギアクルスが待つ孤島へと向かった。さあ決戦の行方は……?

 以下次回!

投稿者 大塚角満 : 18:14

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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