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【MH3】第7回 『モンハン3(トライ)』、開封式!

 『モンスターハンター3(トライ)』が発売された記念すべき8月1日、俺と江野本ぎずもは一心不乱にファミ通.comの行列リポートや、週刊ファミ通巻頭のニュースページに入れる『3(トライ)』の発売日風景の取材記事を製作していた。恐ろしいことにこの週は週刊ファミ通の締切日が前倒しになっていて、俺は何日もまえから「オウオウ! 8月1日午後1時までに印刷所に誌面データを入稿しろやオッサン」と方々の怖い人たちにプレッシャーをかけられていたのである。そのため、俺はカウントダウンセレモニーを見届けたあとすぐに会社に戻らなければならず、あろうことかソフトは買えずじまい……。しかも、都内各所に散った江野本を始めとする記者軍団にも「今週の入稿、マジでヤバいから、“行列がひと段落したところで『3(トライ)』を買おーっと”などという不埒な気持ちを抱かず、火急すみやかに会社に戻ってくるように!!」とキツく厳命しており、これにより我がファミ通ニュースチームは誰ひとりとして『3(トライ)』を持ち帰ることが叶わなかった。その結果、俺は自分で命令しておきながら内心(か、かっこつけねえで、誰かに「俺のスペシャルパック買ってきて!!」って言っときゃよかった!!)と激しく後悔したのである。

 しかしストイックに仕事の鬼に徹した甲斐もあって、どうにかこうにか本気で締切のヤバかった誌面記事を製作することに成功する。これでなんとか、印刷所のブラックリストに載ってしまう事態を回避できそうだぞ。あーよかったよかった……。こう見えて、俺はやればデキる子なのだ。見くびってはイカンのだ。

 会社の自席でゴキゲンの体で「ナノダナノダ♪」と口笛を吹いていると、ふたつ隣の席でファミ通.com用のリポート記事を書いていた江野本が徹夜明けで充血したデカい目をギョロリと振り向け、「大塚さん、そろそろ印刷所に原稿を持っていかないとマズくないですか?」と疲れの残るかすれ声で静かに言った。へーへー。わかってますよわかってますよ。俺以外の記者諸君は全員、ファミ通.comの記事にかかりっきりだもんね。知ってますって。持っていきゃいいんでしょ、持っていきゃ……。俺はのそのそと立ち上がって、印刷所に行く準備を始める。すると江野本はいきなりデカい声で「にゃー!!」と言い、徹夜明けで痛む膝をさすりながら(徹夜と膝、関係ないけど)出かけようとする俺に向かってこんなことを言った。

「大塚さん、せっかくだから帰りに秋葉原を回って『3(トライ)』を買ってきたら? ……で、ついでにウチの分のクラコンPRO同梱版も買ってきてください♪」

 な、なんだとぉ……!? テメこの、さらに俺を買い物に行かせる気か!!

 でもしかし、これは渡りに船のナイスな提案であった。じつはある事情から俺と江野本はどうしても、この日の午後3時までに自分のソフトを手に入れておく必要があったのである。俺は瞬時に相好を崩し、「おお。そいつはなかなかいいアイデアではないか」と江野本を褒めた。すると江野本はニコニコしながら「でしょー?」と言い、さらに勢い込んで「あ、ウチはクラコンPROのシロですからね。持ってるWiiがシロなので、クラコンもシロシロシロ♪」と付け加えた。俺は「調子に乗んじゃねえ!!」と江野本を一喝し、でもそのわりにはルンルン気分で「いってきまーす♪」と元気に言い、印刷所に向かうタクシーに乗り込んだ。わーい! やっと『3(トライ)』が手に入るぞー!! やったやったー!!

 というわけでついに、俺は『3(トライ)』を手に入れた。買ったのは江野本と同じく、クラコンPROとソフトがセットになった商品だ。俺が秋葉原のヨドバシカメラマルチメディアAkibaに到着したときには、すでにWii本体とソフトがセットになったスペシャルパックは売り切れ。もしもコイツが売っていたら、アプトノスから生肉が剥げるよりも高い確率で、後先考えずに購入していたと思われる。俺、Wii本体2台持っているのに(苦笑)。とりあえずこのタイミングでスペシャルパックが売り切れになっていたことを、俺は神に感謝した。堪え性のないダメなオトナには、「売り切れ!」と強く言うのがもっとも効果的なのである。

 そして俺は『3(トライ)』だけでは飽き足らず、ドーナツ、おにぎり、スナック菓子、天津甘栗といった食材を大量に買い込み、再びタクシーに乗り込んだ。するとすぐに江野本から「テレビが重くて1台たりとも動かせません……」というメールが届く。それに対し「戻ったら俺が運ぶから、ほかの準備よろしく」と簡潔に返し、「あ、スタバのコーヒー買おうと思っていたのに忘れちゃった……」と独り言を言いながらタクシーのシートに身をゆだねた。会社まで10分程度の短い距離だが、少しでも身体を休めておこうと思ったのだ。

 会社に戻った俺は江野本と合流し、大量の食材と『3(トライ)』を持って1階にある会議室に向かった。もっとも広い第一会議室に入ると、そこはまだ机も椅子もテレビも動かされておらず、いつもと同じ風景が広がっている。時間がない。早いところテーブルの配置を変えて、ここにあと4台、テレビを持ってこなければいけないのだ。俺は江野本に言った。

「もう時間がない! 俺がテレビを運んでくるから、えのっちは机、椅子のレイアウト変更と、配線をよろしく!」

 江野本は目を輝かせて、徹夜明けとは思えない元気な声で返事をした。

「はい! 了解です!! 早くしないと、開封式に間に合わなくなっちゃう!」

 ……そう。

 俺たちはこれからここで、『3(トライ)』の開封式を行う計画を立てていたのである!! いつもいっしょに遊んでいる何人かで集まり、みんなでいっせいに『3(トライ)』のソフトを開封して、発売日のヨロコビを共有しようと思ったのだ。もちろん、ケータイで連絡を取り合えるので自宅にいてもロックラックで出会うことはできる。でも、『3(トライ)』の発売日という唯一無二の日をそれだけで終わりにするのは余りにも惜しかったので、せっかくだから仲のいい連中で集まり、リアルにお祭り気分を満喫しちゃおうと思ったのだ。ふたりで酒を飲みながら打ち合わせをしていて“『3(トライ)』の発売日をどう過ごすか”という話題になったとき、江野本がふいに「見るもの、聞くものに感動しまくるに決まっているんですから、いつものメンバーでリアルに集まって、その思いを共有しませんか?」と言ったことが、この企画の発端だ。すぐにEffort Cristal(エフォクリ)のふたりと、芸能事務所所属の超絶テキトーハンター、ゴメさんに連絡を取り、開封式に出席する5名が決定したのである。

「さあ、早く準備してしまおう! エフォクリのふたりはタイムアタックと同じく、早く来るぜー(笑)」

 俺の言葉に江野本は笑って頷きながら、「はい(笑)。バッチリ準備して、楽しい開封式にしましょう!」と言った。

 そして、爆笑の渦となった“逆鱗式『モンスターハンター3(トライ)』開封式”が始まった。以下次回〜!

投稿者 大塚角満 : 01:38

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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