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【MH3】第23回 忘れられたふたり、砂原奮闘編 その3

 ボルボロスは『3(トライ)』から新規に登場した“獣竜種”に属するモンスターだ。飛竜種のような翼は持たぬ代わりに、極限まで発達した“脚力”をもって強大な大型モンスターの派閥争い(?)の中で存在を元気に主張している。

 でもこのボルボロスに挑むの、じつは俺は初めてではない。『3(トライ)』の発売まえに開催された先行体験会で相見えているし、製品版でも闘技場モードで何回か、このモンスターの前に立っていた。そういう意味では決して“知らぬ仲”ではない。「やあ、ドーモドーモ。よろしくお願いしまスー」とかなんとか言いながら、とりあえず名刺交換だけはしているS社のWさんと同じくらいの間柄……ってところか。……って、いま“S社のWさん”に該当するゲームメーカーの方々が「お、俺ってボルボロスなのか!!」とアゴを外されたかもしれませんが、S社のWさんは誰でもない架空の人物なのでどうかお気になさらずに……。

 というわけで、砂原を舞台にしたボルボロス討伐の始まりだ! 俺、中目黒目黒、女子大生ハンターのKちゃんは、「とりあえず見つけたらペイントボールね!」と言い合いながらパタパタと走り出す。しかしなぜか俺と目黒のキャラはスピードが乗らず、女の子のKちゃんを先頭に立てて、その後ろをモタモタとくっついていくような形になった。この隊列を見て、Kちゃんが言った。

「……ちょっとw なんでふたりしてウチの後ろについてくるのよw」

 言われた俺と目黒は向かいの席で顔を見合わせ、しかし無言のままキーボードに手を置いてそのときの気持ちを正直に文字にした。

「……だってぇ、ボルボロス怖いんだもの」(大塚)

 狩場では、ジェントルマンシップほど邪魔になるものはない。女の子だろうが子供だろうが、「強い人の影に隠れる!」を実践できぬものは容赦ないガチンコの牙が襲い来るこの世界で生きていけぬのだよ。

 しかしそういうときに限って、物事は悪いほうに悪いほうにと転がっていくもの。このときがまさにそうで、「なんとなくエリアが狭そうなこっちにはボルボロスは来なそうっすよw」とひとりホクホク顔でエリア2に乗り込んだ目黒が、まんまと猛る土砂竜と遭遇してしまった。

「うおおお!! ここにいましたよぼるぼろす!! はやくはやくぼるぼろす!!」

 “電光石火の男”の異名を持つ目黒は、本気で電光石火のスピードでオチやがるので、俺とKちゃんは慌ててエリア2に駆けつけた。

 そして俺は初めて、“自然の世界”でボルボロスと対峙した。前述のとおり、俺は何度かボルボロスを見たことはあったが、それはほとんどが闘技場の中での出来事だった。言ってみればここに現れるそれは、闘技場の関係者からエサを与えられ、寝床も用意された中でぬくぬくと育つ“飼育ボルボロス”といった類のものだ。やることをやってしまえば「あー、今日もいい汗かいた」とタオルで顔を拭う、時給生肉10個くらいで働く“勤労ボルボロス”とも言える(ような気がする)。

 しかし、いま俺たち3人の目の前に現れたボルボロスは圧倒的に“野生”だった。ギラつく敵意、溢れる生命力、ビルドアップされた身体などなど、その存在から放たれるすべてから“野生の匂い”を嗅ぎ取れたのである。“生きるために外敵は問答無用で排除する”という揺ぎない決意が漲った小さな眼からは、悲しいまでの野生の光が照射されていた。

「こいつはまさに、野良ボルボロスだ!!」

 と俺は叫んだ。

 そして実際、ボルボロスは強かった。その動きに明らかな“意思”のようなものが見てとれて、どうにも一筋縄ではいかないのである。猛スピードで近寄ってきたかと思ったらこちらの気勢をそぐようにピタリと止まりワンクッション置いてから攻撃してきたり、円の動きで後ずさりしながらハンターをねめ回したり……。身体も堅く(とくに頭!)、怒り状態になったときのスピードもハンパじゃないので、狩場の天秤がちょっとでもボルボロスに傾いてしまったら、そうそう簡単にハンター側のターンにすることはできないだろう。その証拠に、怒り状態になったボルボロスになぜか付け狙われた目黒が、やめときゃいいのに立ち止まって「ひぃぃぃ!! なんで俺ばっか!!」とチャットで文字を打っている隙を突かれてボルボロスと正面衝突。当たり前のように一撃オチである。

「わあ! 一発でちんだ!!」

 チャットなんかしているからだ(苦笑)。

 しかし、こういうところにもボルボロスの知性を感じるのは穿ちすぎなのだろうか? 何が言いたいのかというと、「このメンバーの中でいちばんチョロそうなのはコイツだな」とボルボロスが見事に見切って、目黒に集中攻撃をしてきたとしか思えないのである。これを裏付ける論拠として、一時的に目黒がいなくなった狩場で、今度は俺ばかりが狙われだしたのです(苦笑)。円を描くような華麗なステップから猛スピードで突っ込んでくるボルボロスの動きに翻弄され、こちとら顔面蒼白である。思わず、俺は泣き声をあげた。

「目黒がいなくなったからってこっちに来るんじゃねえ! あああ、あっち行けコラ!!」

 それでも、「かっこいいからやたらと使いたい」という理由だけで出しまくっているキャンセル突き、カウンター突きというランスの新しい立ち回りを駆使してなんとか抵抗。結果、ズバンと一閃、ボルボロスの尻尾にランスの切っ先が当たり、ウチワエビのような大きな尻尾がドスンと大地に落下した。これを見て、俺は狂喜しながらわめきまくった。

「ややや、やった!! 尻尾が斬れた!! 俺が斬った俺が斬った!!

 すると、いつの間にか狩場に戻ってきた目黒が厚顔はなはだしい口調で、「あれ? いま斬ったの、俺じゃなかったでした?w」とボソリ。おまえいまキャンプから戻ったばかりで、しかもボルボロスと100メートルくらい距離が離れていただろうが!! ところが目黒だけでなくKちゃんまでもが、「ウチ、草食種が斬ったように見えたけどw」などと発言。オレオレ! 尻尾斬ったの俺だからっ! 手柄を、アプケロス以上に腹黒いとウワサの草食種・リノプロスなんかに取られてたまるか!!

 そんなことをギャースギャースとわめきながら立ち回っていたら、再びボルボロスのターゲットは目黒へと移行した。シメシメ……。これでしばらくは心穏やかに立ち回ることができるぞ。そう思いながらちょっと冷静になって狩場の様子を眺めていたら、いきなり目黒が「堅くてぜんぜん斬れねえ!」と叫ぶやいなや、ボルボロスの腹の下で孤軍奮闘していたKちゃんの真横に大タル爆弾を設置したではないか! ヌッと現れた危険な物体を見て「ちょ!!ww」とキモを潰すKちゃん。しかし彼女がくり出すランスの打突は止まらず、ものの見事に目黒が置いた大タル爆弾の中心を貫いた。

 ボボボボボボンッ!!

 巨大な爆風にもみくちゃにされるふたりのハンターとボルボロス。すると画面に、つぎのような意外すぎるメッセージが表示されたではないか。

「目黒が力尽きました」

 ……………。

「わあ! 1発でちんだ!!」

 どっかで聞いたようなセリフを叫ぶ目黒に向かって、俺は腹を抱えながら怒鳴り声を浴びせた。

「自分で爆弾置いておいて、あっけなくちぬんじゃねえよ!!www」

 その後もさんざんボルボロスに翻弄されながらも、Kちゃんの武力のおかげでどうにかこうにか討伐には成功。これでようやく、俺はハンターランクが9になった。

 それにしても今回のボルボロス討伐、俺と目黒のふたりだけでは100回やっても成功しなかっただろうな(苦笑)。もうちょっと強くなれるようがんばって装備を整えないと、このモンスターには歯が立たないわ……。そんな、反省しきりの俺に向かって目黒は恐ろしいことをのたまった。

「あの……。僕の緊急ボルボロスが出そうなんですけど、ふたりで行きません?w

 もう、まっぴらゴメンです(苦笑)。

投稿者 大塚角満 : 16:59

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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